次の新型コロナワクチン、有望なのは吸入型?

次の新型コロナワクチン、有望なのは吸入型?

https://medpeer.jp/news/198974

長引く新型コロナウイルス感染症(COVID-19)との闘いに終止符を打つための切り札として、一部の専門家の間で吸入型ワクチンの開発に期待が寄せられている。

吸入型ワクチンは、より少ない用量で、より効果的に人々を新型コロナウイルスから守ることができるため、世界のより多くの人々にワクチンを行き渡らせることができる可能性を秘めているという。

そんな吸入型ワクチンの開発に関する報告が、「Cell」に2022年2月8日発表された。

 

報告された吸入型ワクチンは、ヒト、またはチンパンジー由来のアデノウイルスベクターを用いたもので、3種類の新型ウイルス抗原〔スパイクタンパク質のS1領域、全長ヌクレオカプシドタンパク質、RNA依存性RNAポリメラーゼ(RdRp)〕を発現させる。

 

研究グループは既にマウスを用いた研究で、この吸入型ワクチンの安全性と強力な免疫応答の誘導について確認していた。

この結果に基づき、同ワクチンの第1相臨床試験を開始。

新型コロナウイルスのmRNAワクチンを2回接種した健康な成人を対象に、同吸入型ワクチンによる免疫増強効果について検討している。

 

この吸入型ワクチンは、ネブライザーを使って口から吸入して肺まで届ける。

肺の免疫系に刺激を与えた場合に得られる免疫の質は、一般的な筋肉注射によるワクチン投与で刺激した場合に得られる応答とは本質的に異なる。

 

注射によるワクチン接種の有効性は証明済みではある。

しかし、新型コロナウイルスのような呼吸器系ウイルスに対して最も強い防御効果が求められる部位である鼻や肺で抗体が作られるには、注射では誘導された免疫応答が全身を循環する必要がある。

 

それに対して、吸入型ワクチンにより誘導される免疫応答は、新型コロナウイルスなどの病原体への曝露に備えて肺に待機している細胞が動員されるため、より強力となる。

そのほかにも吸入型ワクチンには、「新型コロナウイルスが最も大きなダメージをもたらす肺の奥深くでも免疫応答を誘導できる」ことや、「これまでよりも少ない量のワクチンで従来と同程度の効果が得られる」といったメリットがある。

さらに、1回当たりのワクチンの使用量が減ればワクチン不足の状態に陥らずに、より多くの人々に接種できる可能性がある。

 

一方、他のグループも、鼻から噴霧するタイプのワクチン(経鼻スプレーワクチン)が、mRNAワクチン接種済みのマウスにおいて、鼻と喉の免疫記憶細胞と抗体を増加させたとする動物実験の結果を、1月26日に査読前の論文投稿サイトに報告している。

 

現在使用されているワクチンのプラットフォームをベースに粘膜免疫を得られるよう改良することは、現在だけでなく、次のパンデミックに立ち向かうためにも重要だ。

 

ワクチン設計において、吸入型ワクチンは次なる重要なイノベーションとなる。

また、毎年の季節性ワクチンの平均的な有効性が十分とはいえないインフルエンザなど、新型コロナウイルス以外の呼吸器感染症に対するワクチンの防御効果の向上にもつながる可能性がある。

(HealthDay News 2022年2月15日)

 

コメント;

注射と違って痛くないのは福音といえますが、乳幼児とか大人でも認知症の人などの吸えない人には使用出来ません。

吸入ワクチンの効果がどのくらいで発現するのか、予防効果や重症化を防ぐことを目的とした場合、吸入間隔は何カ月毎なのかも知りたいものです。

ごく最近、昨年2回、そして3回目を40日前に接種(いずれもモデルナワクチン)された方が家庭内感染で来院されました。

酸素飽和度も95%と低く、咳もひどい状態で、ワクチンの効果に疑問を抱いてしまいました。

少なくとも「重症化を防ぐ」といわれても、各感染者のフォローができないため、その実感もありません。