「早食い」の習慣、高い肥満度 よくかめばカロリー消費増目からの刺激が影響?
よくかんで食べることは、あごの筋肉や骨の発達を促し、唾液を増やしてむし歯の予防につながる。
最近の研究で、いわゆる「早食い」か体重増加にも影響することもわかってきた。
2021年11月、早稲田大学スポーツ科学学術院の研究グループが、「ゆっくり味わったり、よくかんで食べたりすると、食後のエネルギー消費が増える」との研究成果を英科学誌に発表した。
平均23歳の学生ら11人に、20ミリリットルずつのココア味飲料10杯を5分間で飲んでもらい、その後90分間に安静時から増加する工ネルギー消費量を測定した。
その結果、30秒間隔で1杯ずつのみ込んだだけの場合は平均3.4キロカロリーだったエネルギー消費が、1杯ごとに30秒口に含んで味わった場合は5.6キロカロリーに、さらに口に含んだ30秒間に1秒で1回かむ動作を加えると7.4キロカロリーに増加した。
この研究グループは、これまでに早食いで咀嚼回数が少ないほど体重が増える傾向があるとの成果も報告。
咀嚼の刺激によって、脂肪細胞の一種でより多くのエネルギーが消費された可能性があると推測する。
たとえ1食4キロカロリーの差でも、脂肪の消費に換算すれぱ年間約600グラムに相当す
る。
食べる量自体がついつい増えてしまう早食いは過食ももたらすため、「体重の増加にはダブルパンチ。ゆっくりとより味わって食べることが大事」と同教授は指摘する。
疫学調査でも、肥満と早食いの強い関係が明らかになってきた。
09~11年度の厚生労働科学研究班の報告によると、千葉県と大分県の特定健診結果約20万人分を対象とした解析で、肥満度が高い人ほど早食いと答えた人の割合が高かった。20歳からの体重増加が大きい人も同様の結果で、早食いの人は太りやすい傾向がある.
歯を失ってよくかめない人はミネラルや食物繊維など栄養バランスが崩れやすいため、歯
科での治療をしたほうがよい。
早食いのタイブによって、よくかんで食べる方法も異なる。
よくかんで食べることは、禁酒や禁煙に比べても取り組みやすい。
生活習慣改善の手段として健康づくりにつなげたい。
参考・引用一部改変
朝日新聞・朝刊 2022.4.16