流性食道炎

逆流性食道炎 食べ過ぎ飲み過ぎが原因に

宴会料理は油っこいものも多い。
げっぷが増えて、胸のあたりがチリチリ熱いような感覚があったら、逆流性食道炎かもしれない。
 
食事をすると胃がふくらみ、上の方の胃壁から胃酸が垂れてくる。
食べた物の上に胃酸の層ができた状態で、食道の胃に近い部分が緩むと、胃酸が胃から食道へ逆流するという。
 
食道の粘膜は、胃壁と違って胃酸に弱い。
胃酸に長時間さらされると粘膜に炎症が起こり、ただれた状態になる。
胸焼けがしたり、口の中に苦みや酸っぱさを感じたりするのは、典型的な逆流性食道炎の症状だ。
 
食道の下部が緩むときは通常、食道から胃の方向へ食べた物を移動させる蠕動(ぜんどう)運動と一緒に起きるので逆流は起きないが、さまざまな原因で逆流が生じることがあるという。
主な原因に、油っこい食事とアルコールがある。蠕動運動が弱まっていなくても、アルコールや高脂肪食は胃酸分泌を促し、食道下部のゆるみも起こりやすくなる。
 
早食いも要注意。
無意識に空気を多くのみ込んでしまうので、その空気を外に出すためにげっぷが増えるからだ。
げっぷをすると、空気とともに胃酸も食道を上っていくことになる。
 
食後すぐに寝てしまうのもよくない。
胃酸の逆流が最も起きやすい食後の時間に体を横たえることになり、胃酸が長く食道にとどまるからだ。
睡眠の質が下がり、夜中に目を覚ましてしまう人もいる。
夕食から就寝までは3時間ぐらいあけてほしい。
すぐ寝たいときは、上半身を高くして寝る工夫をしよう。
 
人間ドックで食道や胃の内視鏡検査を受けた約1500人を調べたある研究で、逆流性食道炎は40代男性に多く、女性は50代以降に増加する傾向があったという。
 
男性は肥満と喫煙の影響がみられた。
肥満は常におなかを締めつけている状態なので胃酸の逆流が起きやすく、喫煙は食道下部を緩める可能性がある。
 
女性では飲酒や、揚げ物など油を使った料理を頻繁に食べることが、発症のリスクを高めていた。
また、閉経後になりやすい骨粗鬆症で背骨が曲がったり、肥満になったりすると、腹圧がかかって胃酸の逆流を招くという。
 
軽いものなら生活改善で治る。
食べ過ぎ飲み過ぎに気をつけ、油っこいものや刺激の強い香辛料を控えめにする。
太らないようにし、おなかを締めつける洋服も避けたほうがよさそうだ。
 
<関連サイト>
日本消化器学会 「患者さんと家族のための胃食道逆流症ガイドブック」
http://www.jsge.or.jp/files/uploads/01_gerd.pdf


逆流性食道炎・チェックポイント>
逆流性食道炎、あなたは大丈夫?
① ⬜︎ 胸のあたりがチリチリと熱い
② ⬜︎ 口の中にすっぱい感じがある
③ ⬜︎ 食後のげっぷが最近増えた
④ ⬜︎ 就寝前に食事をすることが多い
⑤ ⬜︎ 食べ過ぎが続いている
⑥ ⬜︎ お酒をたくさん飲んでいる
⑦ ⬜︎ 油っこいものをよく食べている
⑧ ⬜︎ 早食いの癖がある

①~③は逆流性食道炎の典型的な症状です。一つでも該当する人は、食生活を見直しましょう。
④食べてすぐ寝ると胃酸の逆流が起きやすくなり、睡眠の質も落ちます。
⑤、⑥食べ過ぎやアルコールの過剰摂取は胃の働きを悪くします。
⑦油っこいものは胃酸の分泌が増えます。
⑧早食いはのみ込む空気の量も多くなり、げっぷが増えます


出典
朝日新聞・夕刊 2015.12.21(一部改変)