「新ワクチン」 副反応、変異株への効果は
医師が解説「新ワクチン」 副反応、変異株への効果は
2月の医療従事者向けの新型コロナワクチン接種に続き、4月12日からは高齢者への接種が始まった。
だが、新型コロナワクチンは新しいタイプのワクチンであるだけに、その接種に疑問や不安を訴える人も多い。
Q. 新型コロナワクチンの効果はどのくらい続きますか?
A. 日本の予防接種で使われている米ファイザーのワクチンについては、2回目の接種から6カ月間は有効性が維持されることが示唆されている。
今後承認が見込まれる英アストラゼネカ、米モデルナのワクチンについても、2回接種後に最低でも3カ月間は十分に抗体の量が維持されることがわかっており、さらに長い期間の効果持続も期待されている(2021年3月現在)。
どれほど効果が持続するかについての調査は現在進行形で行われており、今後さらに明らかになっていくと思われる。
ワクチンを接種したらマスク不要? 変異株にも効果ある?
Q. 新型コロナワクチンを接種したらマスクをしなくてもよいですか?
A. 新型コロナワクチンは接種してから免疫ができ始めるまでに約2週間かかり、その間は効果がない。
また、免疫が体の中に作られても、感染を100%防いでくれるわけではありません。
したがって新型コロナウイルス感染症の流行が続いている間は引き続き、感染しないようマスクや手洗い、ソーシャルディスタンスの確保を継続する必要がある。
今後、多くの人へのワクチン接種が進み、感染流行が収まってくれば、元の生活スタイルに少しずつ戻していくことが可能になると考えられる。
Q. 新型コロナワクチンは新型コロナウイルスの変異株にも効果がありますか?
A. 一般論として、ウイルスは絶えず変異を起こしていくもので、小さな変異でワクチンの効果がなくなるというわけではない。
また、米ファイザーのワクチンでは、新型コロナウイルスの変異株にも作用する抗体が作られた、といった実験結果も発表されている。
ただし、一部の新型コロナウイルスの変異株についてはワクチンの効き目が低下することを示唆する報告もあり、データの蓄積やワクチンの改良が進められている。
承認申請がなされた新型コロナワクチンの審査にあたっては、変異株に関する情報も含め、引き続き様々な情報を収集しつつ、適切に有効性、安全性などを確認していくことになる。
Q. ワクチンの副反応はどんな仕組みで起こるのですか?
A. 新型コロナワクチン接種の目的は、新型コロナウイルスの目印(たんぱく質の一部)をヒトの免疫に覚えさせることだ。
そのために若干の免疫反応を人工的に起こす。
ワクチンは、免疫反応をちょうどよい塩梅で起こすことで、予防効果はしっかり出るが、副反応は少なくなるように設計されている。
しかし、免疫反応には個人差があり、まれに反応が強く出すぎてしまう人がいる。
そのため熱が出たり、だるさを感じたりすることがある。
他の副反応としてはアレルギー反応がある。
例えば米ファイザーや米モデルナのmRNAワクチンに含まれる「ポリエチレングリコール」という成分は、化粧品や歯磨き粉などに含まれていて、日常的に触れる機会が多い物質だ。
そのためワクチン接種前に、すでにポリエチレングリコールに対してアレルギー反応を起こすようになっている人もいる(スギ花粉にさらされているうちに、ある時、体がアレルギー反応を起こすようになりスギ花粉症を発症するのと同様のプロセスだ)。
こういった人はmRNAワクチンを接種した際に、アレルギー反応を起こしてしまうことがある。
また、英アストラゼネカなどのウイルスベクターワクチンでも、ワクチンに使用されているアデノウイルスの殻に対してアレルギー反応が起きる場合があることが知られている。
Q. 新型コロナワクチンには、具体的にどんな副反応がありますか?
A. 新型コロナワクチンの局所反応として、注射部位の痛みや腫れ、発赤などが見られる場合がある。
その他の全身性の反応として、だるさ・倦怠感、頭痛、筋肉痛、関節痛、発熱などが報告されており、基本的には2回目の方が1回目よりも頻度が高いことが報告されている。
また、高齢者は若年者に比べてこうした副反応が少ないことがわかっている。
いずれの場合においても、ほとんどが軽度から中等度の症状で、数日以内に改善し回復している。
痛みや発熱の症状が出た場合は、解熱鎮痛薬を使用して症状を和らげることも可能だ。
なお、頻度は極めてまれ(20万人に1人程度)だが重篤なアレルギー反応(アナフィラキシー)も報告されている。
このアレルギー反応は、他のどのような薬やワクチンにも起こりうるものであり、新型コロ
ナワクチンに特有の副反応ではない。
参考・引用一部改変
日経Gooday 2021.4.22