「集団免疫」いつになったら
ワクチン「1日100万回」到達 新型コロナ
急ピッチで進む新型コロナウイルスのワクチン接種について、政府は感染拡大を防ぐ「切り札」として期待する。
医療従事者や高齢者らを含め、「1日100万回接種」にも到達した。
ただ、免疫をもっていない人にも予防効果が及ぶ「集団免疫」が得られるのか、見通せていない。
■人口6~7割の接種、最低限か
ワクチンには、接種した本人を感染症の発症や重症化から守る効果が期待される。
さらにウイルスに感染すること自体を防げれば、接種率が高まることで流行は収まっていく。
接種していない人も間接的に守られることになる。
集団免疫としての期待だ。
世界で接種が進む中、いくつかの研究でその効果も示唆されはじめている。
16歳以上の国民約600万人を対象にしたイスラエルでの研究では、未接種者と、ファイザー製のワクチンを2回接種して2週間以上たった人とを比較。
症状の有無にかかわらず検査で感染が見つかる頻度は、未接種者で1日10万人あたり91.5人だったのに対し、接種者では同3.1人で、感染予防効果は95.3%と推定されている。
では、どこまで接種率が上がればよいのか。
新型コロナの場合、最も初期の分析から試算すると、少なくとも人口の6~7割の接種率が必要と考えられている。
感染力の強い変異株ではさらに高い割合が必要になるかもしれない。
国内では、1回でも接種した人が20%ほど、2回接種した人は10%ほどだ(6月28日時点)。
接種率をさらに高めないと、集団免疫の実現は難しそうだ。
政府の新型コロナ対策分科会の尾身茂会長は16日の会見で、ワクチン接種が進むことで「一定程度のプロテクション(保護)は個人レベルでは与えられる」としながら、「小さいクラスター(感染者集団)は起きると踏んでいる。集団免疫というレベルはそう簡単にはできない」と説明。
8日の参院厚生労働委員会でも、7、8月ごろの集団免疫の実現を「とても早すぎる」と指摘した。
感染抑制の効果を得るためには、感染を広げやすい人に接種が進むことも重要だ。
国内のワクチン接種は、医療従事者から始まり、65歳以上の高齢者へと広がった。
6月に入って職場などでの接種も始まったが、感染者の多くを占める若い世代にワクチンが行き渡る時期はわからず、集団免疫の実現が見通せない理由となっている。
ただし、6~7割といわれる必要な接種率は計算上のもの。
社会の中でマスクの着用が徹底されるなど、感染の広がりが断たれる要素があれば、集団免疫に必要な接種率はもっと低くなる可能性がある。
一方、接種が進んだ国でも再び感染者が増加している。
1日あたりの感染者数が1月のピーク時に6万人を超えた英国では、接種を1回でも終えた人が人口の約6割を超えた。
だが、いったん2千人台になった1日の感染者数が、6月下旬には再び2万人を超えた。
変異株の影響や、接種した人の感染予防が緩んだ可能性なども指摘されるが、そもそも集団免疫の成立が難しい可能性も示している。
ある専門家は「ワクチンで重症化を防げるようにはなるが、集団免疫の予測は難しい。コロナで集団免疫を達成できるかも証明されていない。」という。
<コメント>
しかし、一般的には「ワクチンで重症化を防げる」という話はあまり出てきません。
当然のことですが、感染が起きなければ、重症化も起きないことになります。感染率と死亡率は簡単に数字で出すことが出来ます。
そういったデータは、ワクチンが普及しつつある現時点で、もうそろそろ発表されるのではないかと思われます。
データを国民に公表することによって、ワクチン接種政策がさらに前に進むのではないでしょうか。
もちろん、接種を進めるのは大事だが、新型コロナの流行がワクチンだけで収束する状況にはない。
当然、感染対策も進めることが大事となる。
参考・引用一部改変
朝日新聞・朝刊 2021.6.30