(新型コロナ)職場でワクチン接種、考慮することは 若年層・2回目に多い副反応、「特別休暇」設ける動き
新型コロナウイルスのワクチンを職場などで希望者に接種する「職域接種」が、全日空や日本航空で先駆けて始まった。
現役世代を中心に接種の動きが加速する可能性がある。
ただ接種後は、発熱や倦怠感といった副反応が生じる場合もあり、仕事への影響も考慮する必要がある。
職域接種はワクチン(モデルナ製)接種を行う医師や会場の確保、接種の順番など課題も多いが、接種券が届く前でも接種は可能。
経団連は企業の職域接種や、従業員が接種を受けやすい休暇制度づくりに取り組むとしている。
担当者は「従業員の接種が現実的になり、動き出した企業は多いのではないか」という。
職場でのワクチン接種で気になるのが「副反応」だ。
厚生労働省の調査では、副反応が表れるのは高齢者層よりも若年者層の方が高い傾向にある。
新型コロナウイルスのワクチンでは、まれに生じる重いアレルギー反応「アナフィラキシー」の他にも様々な副反応がある。
■ 頭痛・疲れ・発熱、生じる可能性も
厚労省によると、ワクチンによる代表的な副反応は頭痛、関節や筋肉の痛み、疲労、寒気、発熱など。
現在国内で接種できる2種類のワクチンとも、主な症状は共通している。
同省の研究班が6月9日に発表した「中間報告」によると、ファイザー製のワクチンを先行接種した医療従事者ら約2万人のうち、明らかに差が生じたのは接種回数によるもので、37.5度以上の発熱は、1回目の接種後は3.3%だったが、2回目では38.5%に増加。
多くの場合は翌日に発熱し、3日目に解熱したという。
倦怠感は23.2%が69.5%に、頭痛も21.4%が53.6%に増加したという。
接種する場合は副反応の可能性を考慮し、職場内で接種日をずらすなど勤務を調整した方が無難だ。
ワクチンの副反応が勤務に影響する可能性を見すえ、従業員のワクチン接種に向けた「特別休暇」を設ける動きが広がっている。
携帯電話大手のソフトバンクは5月中旬、ワクチン接種後に従業員や家族に重い副反応が出た場合、最大2日間の特別有給休暇が取得できる制度を設けると公表した。
職域接種とワクチン特別休暇制度を併用しながら、従業員が接種しやすい環境づくりに取り組むという。
担当者は「社内での接種が進めば、従業員から外部に感染が広がらないようにできる」としている。
■ 希望しない人に配慮した方式で
接種するかどうかは自己判断だが、接種を受けたくない従業員らが接種を求められるという懸念もある。
同社は専用の予約サイトを立ち上げる。
従業員個人による申込制で、「職域接種以外を希望する従業員のほか、接種自体を希望しない従業員にも配慮した形で進める」(広報担当者)としている。
接種は自己判断だが、接種後のメリットは約95%の発症を抑える効果が確認されていること。
<コメント>
発症しなければ重症化も、その分減るのは当然です。
ワクチン接種をしておけば、万が一発症しても未接種者より重症化が少ないというデータがあれば接種促進の理由付けになります。
新型コロナウイルス感染による致死率が高齢者ではるかに高い事実があります。
流行直後から現在に至るまで、この事実は変わりません。
現時点で、若年者を含む非高齢者の感染が感染拡大の最大原因です。
しかし、致死率から考えた場合には、高齢者の優先接種や接種推奨は当然です。
高齢者に副反応が少ないというのは、免疫力の低下を意味しており、感染時の重症化の「裏返し」の客観的事実ということになります。
デメリットは副反応だが、仮にアナフィラキシー症状が出ても適切な対処を行えば死亡に至る可能性は極めて低い。
ちなみに、専門家はメリットの方が高いと考えている場合が多い。
参考・引用一部改変
朝日新聞・朝刊 2021.6.15