子どもの予防接種

子どもの予防接種 生後2カ月から、複数同時も

感染しても重い症状にならないようにするためとはいえ、予防接種の注射はやはりいやなもの。
乳幼児はほかにもさまざまな予防接種を年に何度も受けるため、本人も家族も大変だ。

予防接種は、かかると重症化したり、合併症で後遺症が残ったりする恐れがある感染症に対して、あらかじめ免疫をつけることで身体を守る健康対策で、自治体の事業だ。
日本での予防接種メニューは、「定期」と「任意」の2種類に分けられる。
 
定期接種は、国が勧めるもので、「受けるように努めなければならない」とされている。
ほとんどの自治体で公費(無料)でできる。
昔からあるBCG(結核)、日本脳炎、麻疹(はしか)、風疹に加え、ここ5年で種類が増えた。
小学校入学前の子どもを対象にしたものでは、2013年から肺炎球菌とインフルエンザ菌b型(ヒブ)が、14年には水痘(すいとう、みずぼうそう)が加わり、今年10月からB型肝炎も仲間入りした。
ただ、0歳児に麻疹・風疹ワクチンを接種するなど、定期でも予防接種法で定める接種年齢でなければ任意の扱いとなる。
 
日本小児科学会が推奨する予防接種のスケジュールでは、定期接種だけで7歳までに8種類20回以上、1歳になる前に5種類13回もある。
一番早いものは、生後2カ月だ。
 
生後6カ月ごろから、感染症にかかりやすくなる。
それまでに十分な免疫をつけるため、小さいうちに必要な回数の接種を済ませておくことが必要だ。
保育所で集団生活をするようになると、子ども同士で感染の機会も増える。
 
必要とはいえ、乳児を毎月かかりつけ医に連れて行き、予防接種を受けさせるのは大変。
負担軽減策として、両腕や太ももなどに複数のワクチンを打つ「同時接種」がある。
欧米で安全性に問題ないとされ、同時接種によってワクチンの有効性に影響が出たり、発熱や腫れなどの副反応を訴える割合が高まったりしないという研究報告もあり、国は、医師の判断と保護者の同意のうえで認めている。
子どもにとっては、痛い思いをするのが1度で済みます。
 
ただ、副反応で重い健康被害が出た場合、同時接種だと、何のワクチンが原因なのかが判別しづらい場合がある。
現段階では、接種と健康被害との因果関係が否定できなければ、国の救済制度の対象になるそうです。
 
一方の任意接種。
おたふくかぜ(ムンプス)、毎年のインフルエンザなどは原則として自己負担だ。
他に、ロタウイルス髄膜炎菌やA型肝炎など様々な種類がある。
副反応で重い健康被害がある場合は、医薬品医療機器総合機構法による救済制度があるが、給付額が定期とは異なる。
 
任意と名前がつくものの、多くの小児科医が、「接種をしてもしなくてもどちらでもいい、と思われたら困る。基本的には子どもに必要なワクチンだ」という。
子どもがかかりやすいムンプスは、後遺症で難聴になる事例も出ている。
小児科医や保護者のニーズをくみ取り、任意接種で助成金を出す市区町村は少なくない。
子どもの健康対策に、家庭の経済事情で差がついてはいけないという考えだ。
 
ムンプスとロタウイルスの2種類の任意接種がほぼ無料でできる千葉県いすみ市では、接種率が8割超担当お母さんたちの関心の高さがうかがえる。

 
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参考
朝日新聞・朝刊 2016.11.5