ワクチン接種後の発熱、NSAIDsも使用可

ワクチン接種後の発熱、NSAIDsも使用可

https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/di/trend/202106/570860.html 

厚生労働省はこのほど、一般人向けのウェブサイト「新型コロナワクチンQ&A」において、新型コロナウイルスワクチン接種後の発熱や痛みに対し、アセトアミノフェン以外にイブプロフェンロキソプロフェンナトリウム水和物などの非ステロイド抗炎症薬(NSAIDs)も使用できることを示した。

 

新型コロナウイルスワクチン接種後の発熱などについて、市販の解熱鎮痛薬で対応することも考えられるとし、厚労省はウェブサイト上で解熱鎮痛薬の具体的な種類を提示した。

ワクチン接種の広がりとともに、接種後の発熱や痛みなどに備えてアセトアミノフェン含有OTC薬の需要が急増しており、一部品薄になっている製品もある。薬局やドラッグストアなどにおいて正確な情報提供が求められる。

 

なお、ワクチン接種後、症状が現れる前に解熱鎮痛薬を予防的に繰り返し内服することは、現状では推奨されていない。

 

また、前述のウェブサイトでは、

(1)他の薬を内服している場合や、妊娠中・授乳中、高齢者、胃・十二指腸潰瘍や腎機能低下などで治療している、

(2)薬などでアレルギー症状や喘息を起こしたことがある、

(3)激しい痛みや高熱など症状が重い、または症状が長く続いている、

(4)ワクチン接種後としては典型的でない症状が見られる

――場合には、主治医や薬剤師に相談するよう求めている。

 

ワクチン接種の直前または直後に解熱鎮痛薬を服用することで、その免疫原性が妨げられる可能性があるという報告がある。

 

乳児を対象としたチェコの試験では、ワクチン接種直後に予防的にアセトアミノフェンを内服する効果を評価している。

肺炎球菌、Hib、ジフテリア破傷風、百日咳のワクチン接種後に獲得された抗体価を測定したところ、アセトアミノフェン使用群では有意に低い抗体価となっていた。

 

同様に、B型肝炎ワクチン接種後副反応に対するアセトアミノフェンの効果を見た成人の比較試験がある。

予防的に複数回内服すると抗HBs抗体価がわずかながら下がってしまうという結果だった。

ただ、もう少し時間を後にずらして待機的に複数回内服した場合、抗体価に有意差はつかなかった。

 

他方、生後6~47カ月の乳幼児を対象にインフルエンザワクチンを接種した直後にアセトアミノフェンイブプロフェンプラセボのいずれかを内服させた比較試験では、単回の解熱鎮痛薬投与によって抗体の陽転化や乳幼児の症状(不機嫌、不眠、発熱)への影響を評価している。

この研究では、解熱鎮痛薬を使用した場合とプラセボを使用した場合で、抗体陽転化に統計学的有意差は見られませんでした。

 

このように、今のところ結果はまちまちだが、ワクチンの種類や対象者によって、また介入方法によっても結果が異なるのかもしれない。

少なくとも、解熱鎮痛薬を積極的に使用した方がよいということはなさそうだ。

 

COVID-19ワクチンに対する解熱鎮痛薬の影響を解析する臨床試験は、世界のどこかで行われているだろうが、調べても出てこない。

 

現時点では世界保健機関(WHO)は、「解熱鎮痛薬の使用はワクチン接種前またはワクチン接種時に推奨されないが、ワクチン接種後副反応がある場合は認められる」と明言しており、米疾病対策センター(CDC)もこれについて同意している。

 

この方針に従えば、「接種後に副反応がしんどいようなら解熱鎮痛薬を内服してもいい」ということなる。

 

 

<参考>

厚労省 ワクチンを受けた後の発熱や痛みに対し、市販の解熱鎮痛薬を飲んでもよいですか。

https://www.cov19-vaccine.mhlw.go.jp/qa/0007.html