モデルナ製ワクチン

モデルナ製ワクチンの有効性、ファイザーと遜色なく 大規模接種で使用

新型コロナウイルスのワクチンについて、厚生労働省は米モデルナ製と英アストラゼネカ製の承認の可否を近く判断する方向だ。

国内では米ファイザーと独ビオンテックが共同開発したワクチンが最初に承認されて接種が進む。

有効性などに大きな差は無く、接種を急ぐ必要がある。

 

モデルナ製は承認を前提に、24日から東京都と大阪府で始まる大規模接種で使われることになっている。

モデルナ製はファイザー製と非常によく似ており、遜色がないと考えていい。両

方ともメッセンジャーRNA(mRNA)という遺伝情報物質をワクチンとして投与する仕組みだ。

mRNAをもとに体内でウイルスのたんぱく質が作られ、新型コロナに対する免疫がつく。

 

発症を予防する効果はファイザー製で95%、モデルナ製で94%と同程度で、非常に高い。

接種の1回目と2回目の間隔がファイザー製は3週間、モデルナ製は4週間としているほか、ワクチンを保管

する温度など運用面での細かな違いはある。

 

副作用にも大きな差はない。

最も多いのは注射した部位の痛みや腫れで、全身の症状として倦怠感や頭痛、筋肉痛、発熱などがある。ほとんどの副作用は接種から1~2日後までに症状が出るが、数日のうちに回復する。

接種直後のまれな副作用としては、急激なアレルギー症状である「アナフィラキシー」が起きる場合があ

る。

 

一方、アストラゼネカが英オックスフォード大学と開発したワクチンは「ウイルスベクター」という技術を使う。

人体に無害なウイルスをベクター(運び屋)として利用し、新型コロナウイルスたんぱく質を作るための遺伝情報を体内に運ぶ。

遺伝情報をもとにウイルスのたんぱく質が作られ、免疫がつくという点ではファイザーとモデルナのmRNAワクチンと同じだ。

 

アストラゼネカ製も2回の接種が必要だ。

約3万人が参加した米国での臨床試験(治験)では発症予防効果が76%、65歳以上の高齢者に限れば85%という結果が出ている。

ファイザー製やモデルナ製よりは少し低いが、6割程度とされるインフルエンザワクチンと比べても十分に高い効果がある。

アストラゼネカ製はセ氏2~8度の冷蔵で保管でき、mRNAのような冷凍庫が不要だ。

アストラゼネカ製の主な副作用はファイザー製、モデルナ製と似ている。

注射した部位の痛み、全身の倦怠感や頭痛、発熱などだ。

まれな副作用として血栓の発症が報告されており、欧州では接種対象を高齢層に限るなどの動きがある。

 

 

武田、モデルナ製ワクチン追加供給へ協議 5000万回分

業のモデルナが開発した新型コロナウイルス向けワクチンについて、追加で5000万回分を供給する協議を進めていると明らかにした。

日本政府とモデルナの3者で協議を進めており、ワクチンの確保が進めば2022年初頭にも供給するという。

武田の2021年3月期の決算説明会で明らかにした。

ウェバー社長は「供給する具体的なスケジュールは決まっていない」としつつも、「3者で早期のディスカッションを進めている」とした。

 

武田はすでにモデルナ製ワクチンの国内供給を担う契約を結び、9月ごろまでに5000万回分(2500万人分)のワクチンを供給をする予定だ。

今年3月には厚生労働省へ承認申請。5月10日には国内の臨床試験(治験)データを提出し、供給準備を進めている。

 

モデルナ製ワクチンを巡っては、米ファイザー製に比べて輸送しやすいのが利点とされる。

政府は5月24日から始まる大規模施設での接種で使う方針だ。

武田はライセンス生産を予定する米ノババックスのワクチンについても、22年初頭から約1億5000万回分の供給を始める協議を進めていると明らかにした。

国内のワクチン供給体制の整備が進みつつある。

 

参考・引用一部改変

日経新聞 2021.5.11

 

 

*主要3ワクチンの特徴

メッセンジャーRNA  

    モデルナ、ファイザー

ウイルスベクター

  アストラゼネカ

 

発症予防効果

  95%    ファイザー

      94%    モデルナ

      76%    アストラゼネカ

 

保管方法

  冷凍(零下20度程度)   モデルナ

      超低温冷凍(零下70度程度)ファイザー

      冷蔵(セ氏2~8度)     アストラゼネカ