「健康表示」

イメージ 1

イメージ 2

「健康」表示、正しく知る

取りすぎには注意  紛らわしい表現減らす
日ごろ口にする食品には「ミネブラルたっぷりの岩塩」「低カロリー」「糖質オフ」
など健康への好イメージをうたった言葉があちこちに書かている。
ただ、目に飛び込んでくる字面だけ見て体に良そうと早合点するのはよくない。
表示の本当の意味を正しく理解することが重要だ。
スーパーの食品売り場に並ぶ様々な塩。
パッケージには「ミネラル豊富」「天然塩」「健康によい」などの字句が躍る。
しかし、業界自身が表現の行き過ぎを認め、規制を始める。
製造業者や輸入販売業者などでつくる団体が表示に関する統一ルールを決め、今年
4月に公正取引委員会に認められた。
 

新ルール実施へ

今月から同団体で各商品について審査を始め、今秋から新ルールに基づく公正マーク
の付いた塩が店頭に並ぶ予定だ。
紛らわしい表現が減るのを機会に、日々の塩分摂取量や健康への影響などの理解を
深めたい。
 
新ルールでは海水や岩塩など原材料名を記載するほか、原産国名を書くことになった。
イオン膜や溶解、天日など濃縮・結晶化する際の製造方法も書き記す。
例えば「原材料は天日塩(95%メキシコ、海水(5%日本)、工程は溶解、平釜、
焼成」といった具合だ。
にがり(塩化マグネシウム)や海洋深層水を含んでいると示す場合にも一定の基準が
できた。

一方、「天然」「自然」といった言葉を「天然塩」のように直接「塩」につけて修飾
する表現はできない。
ミネラルたっぷり、健康によい、なども禁止された。
客観的な表示のみとなる。
社団法人・日本塩エ業会のO理事は「人気の高い岩塩などが体によいミネラルを含むのは
確かだが、そもそも塩自体の摂取量が少ないので取れる量はわずかだ」と指摘する。

日本人の一日の平均的な塩取量のうち、家庭で調理用に使う塩が占めるのは1割弱に
すぎない。
大半はみそやしょうゆなどから間接的にとっているか、外食で知らずに摂取している。
「この塩を使えば健康になれる」などと過信するのは禁物だ。
 
尾方さんが勧める塩選びの基準は使い勝手。
「塩の種類や製造方法を優劣とは考えないほうがいい」。
釜で炊いた塩は溶けやすく、粒もそろっていて使いやすい。
岩塩は粒が大きく溶けにくいが、ステーキを焼く時などに使うとおいしい塩味が楽しめる。
料理に合わせて上手に塩味を引き立たせられれば、塩分のとり過ぎ防止にもつながる。
 
多くの加工食品に記載されているカロリー表示にもルールがある。
国の栄養表示基準は分析誤差や実際の体への影響などを考慮して定めてあ
り、「ゼロカロリー」や「ノンカロリー」の表現は食品100グラム(飲料100ミリ
リットル)あたり熱量5キロカロリー未満が条件。
「カロリー控えめ」「低カロリー」「カロリーオフ」は同40(飲料は20)キロカロリー
以下。
カロリーを抑えられるのは、砂糖の代わりにキシリトールなどの糖アルコールを甘味料
として使っているからだ。

糖にもいろいろ

糖類も食品100ぐらむ(飲料100ミリリットル)あたり0.5グラム未満なら「無糖」
シュガーレス」、同5グラム(飲料は2.5グラム)以下なら「低糖」や「微糖」と書ける。
コーヒー飲料は基準が少し異なり同5グラム以下でも低糖や微糖と表現できる。
 
京都府の50代の男性運転手は太り気味で食生活の改善などに自分なりに取り組んだが、
なかなかやせられない。
ダイエット教室を主宰する国立病院機構京都医療センターのS予防医学研究室長が詳しく
聞くと、昼食後に眠くなるのを防ぐため缶コーヒーを飲む習慣があった。
砂糖が多く入っており、「知らず知らずのうちに肥満を助長していた」(S室長)。
 
ビール各社がこぞって売り出した糖質カットのビールやビール系飲料。
確かにカロリーは低いが「飲む量は増やさないで」とS室長は訴える。
摂取量が増えれば低カロリーの効果は薄れる。
しかもアルコールには内臓脂肪の蓄積作用もあるので要注意だ。
 
表示で特に誤解しやすいのが「砂糖不使用」。
果糖やショ糖、ブドウ糖などが含まれている可能性がある。
「カロリー表示を確認するのが第一。100グラム当たりの表示なのか、その品全体での
値なのかも見極めて欲しい」と食品科学広報センター(東京・千代田)のOさんは注意を
促している。  


医療専門のブログは別にあります。
井蛙内科開業医/診療録 
http://wellfrog.exblog.jp/
(内科専門医向けのブログです)
葦の髄から循環器の世界をのぞく
http://blog.m3.com/reed/
(循環器専門医向けのブログです)


出典 日経新聞・朝刊 2008.5.18
版権 日経新聞