オーバートレーニング

イメージ 1

「水上を走る謎のバシリスク
出典 週刊文春 2008.5.22
版権 文芸春秋社

イメージ 2


インタビューで楽天の野村監督が、長生きの秘訣を話していました。
「亀はじっとしていて長生きする。運動はあまりしないほうが長生きできるよ。」
さんざんプロ野球で活躍したかつての名選手のひと言。
信じていいのでしょうか。

朝イチで脈測り 疲れ把握

健康な体を作ろうと、週末などにトレーニングに汗を流す人は少なくありません。
でも、ちょっと頑張り過ぎていませんか。
疲労がとれないまま運動を重ねると、体調を崩すことだってあります。
何事も、過ぎたるはなお及ばざるがごとし、です。
    
   ■ □ ■
 
「トレーニングをしすぎると一種の慢性疲労の状態になります。スポーツ医学では
オーバートレーニング症候群と呼ばれています」
 
こう話すのは国立スポーツ科学センター(東京)の川原貴・統括研究部長だ。
 
私たちの体のエネルギー源は、トレーニングをすると消耗し、どうしても疲労物質
が蓄積する。
それに筋肉も壊れる。
 
ただ、その後にしっかり休養し栄養をとることで、疲労物質が取り除かれ、筋肉も
修復されてたくましくなっていく。

このサイクルをうまく繰り返すようにしないと、トレーニングの効果が得られず、
身体機能の向上は望めない。
ところが、体が回復し切っていない状態でトレーニングを続けてしまう。
すると・・・。

初めは疲労を感じないが、これまで平気だった強めのトレーニングがこなせなく
なる。
そのうち日常生活でも疲労が抜けず、軽めのトレーニングさえ難しくなる。
やがて動悸に加えて、不眠、体重減少、うつなどに。
休養しても一向に回復しない。
検査をしても特に数値に異常はみられない。
そうなると元の状態まで回復するのに半年~1年近く要することもあるという。
 
川原さんの経験では、受診してくるのは陸上の長距離選手が多いそうだ。
「体力要素が大きい競技だし、不調がタイムにはっきり表れるので自覚しやすいこと
もあるのではないか」と話す。

   ■ □ ■

しかし、「最近は市民スポーツや愛好家のレベルでもみられるようになった」と、
早稲田大スポーツ科学学術院の坂本静男教授(内科医)は指摘する。
 
背景にあるのが、健康ブームだ。
市民マラソンでも「サブ4(4時間以内)」「ザブ3(3時間以内)」を目指すなど、
日ごろから厳しいトレーニングを自らに課している人も少なくない。
ブレーキをかけてくれる指導者がいないと「タイムが上がらないのは練習が足りない
から」と思いこみ、さらにトレーニングの強度を上げ、ますます状態が悪くなる、という
悪循環に陥ってしまう。
 
どうやって予防すればいいのか。
 
坂本さんも川原さんも、朝起きた時に脈拍をとる習慣を身につけることを勧める。
痙労はまず脈拍に表れてくるからだ。
1分間で5~10拍以上増えているようなときは、トレーニングを控えたり、抑えたり
する必要がある。
 
毎日、体重を量って、急激な減少に注意することも大切だ。
毎日体温を測り、体温上昇がないかチェックすることも「体の変調を早めに発見するのに
役に立つ」と坂本さん。
「より健康で、強い体を作っていくためには、トレーニングと同じぐらいその後の回復が
重要なのです」
 
何よりも、まず、その意識を持つことから始めたい。
             
出典 朝日新聞・2008.5.18
版権 朝日新聞社



読んでいただいて有難うございます。
コメントお待ちしています。

医療専門のブログは別にあります。
井蛙内科開業医/診療録(2)
(内科専門医向けのブログです。)
http://wellfrog2.exblog.jp/
井蛙内科開業医/診療録 
http://wellfrog.exblog.jp/
(~H20.5.21)
葦の髄から循環器の世界をのぞく
http://blog.m3.com/reed/
(循環器専門医向けのブログです)
があります。