OZAWA

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昨夜、何気なくNHKハイビジョンをかけたら小澤征爾がオーケストラの指揮をしている光景が飛び込みました。
放送から流れる音楽でベルリオーズの「幻想交響曲」とすぐにわかりました。
以前この音楽をかけながら昼寝をするのが日課だったこともあったものですから。
しかし妙に目が冴えます。
素晴らしい演奏です。
思わずボリュームを上げました。
オーディオ装置からの音は出ません。
ちょうどワルツの場面でした。
カメラがパンをして全体を写すと指揮のOZAWAと団員が一緒になってワルツ(第2楽章:舞踏会)とともに揺れています。
まさしく一つになって。
こんな演奏風景を見たのは初めてです。
N響の硬さはありません。
何故だか自由です。
そして音とリズムがまさしく一体となって。
指揮棒を持たないOZAWAの手からはすばらしい音が魔法のように繰り出されて来ます。
シャルル・デュトワでもN響でこんなすごい「幻想」はやっていなかったのに。
あのデユトワはモントリオール交響楽団と「幻想」の名盤を出していますが、そんなのは吹っ飛んじゃいそーな迫真の演奏です。
あのシャルル・ミュンシュボストン交響楽団の録音さえも真っ青です。
(そういえばOZAWAもミュンシュボストン交響楽団つながりですね。)
先入観も事前情報も無しで見始めたものですから、新日本フィルかなとか思いながら一人で(一杯飲みながら、ピッチを上げて)観ていました。
至適な時間が流れて行きます。

よく見ればオーケストラの団員はどうやら見慣れたN響ではなさそう。
年齢も国籍もバラバラ。
ソロで活躍している見慣れた演奏家も入っています。

演奏が終わって、万雷の拍手。
しかし、流石というか日本人の限界(美徳?)というか
ここはスタンディングオーベーションでしょっていう場面だったのに誰一人立ちません。
世界のOZAWAの凱旋なのにです。

そこに女房がひょっこり。
「あなた。これOZAWAさんとサイトウ・キネン・オーケストラよ。」
「やっぱしそうだったんだー。道理で息が合ってる訳だ。」

OZAWAは聴衆そっちのけで楽団員の中に分け入って楽団員一人ひとりに言葉をかけながら握手を求めています。
すごい気配りです。
同胞って感じです。
桐朋学園が「同胞学園」になっていす。
こんな光景初めてみました。
思わず年甲斐もなく(或は年相応に)涙が出てきました。
「ブラボー!」
一杯やりながらのテレビを前にして何の遠慮も要りません。

指揮者と楽団員は対等。
私は「対等キネンオーケストラ」とその場で名付けました。
みんなそれぞれこの日のためにスケジュールを調整して松本に駆けつけてくれた演奏家達なのです。

CDやDVDにして世界に発信して欲しい。
吉田秀和氏の評論も是非聞いてみたい。
音楽評論家の長老、この吉田秀和氏は斎藤秀雄氏とともに小澤征爾氏、中村紘子氏らを育てた人です。

師を慕う弟子達が純粋な気持ちで、素晴らしい音楽を奏でたいと一同に集まる。
何と素晴らしいことでしょうか。

そして世界のOZAWAの偉ぶらない態度。
人柄が何より素晴らしい。
ひょっとしてこのことは音楽以上かも知れない。
そのことが理屈抜きで素晴らしいハーモニーを生み出しているんだなあと実感した次第です。

そういえばウイーンフィルとのニューイヤー・コンサートもよかったなあ。
カルロス・クライバーも最高だったけど)

今のタイミングで、「文化勲章は?」「国民栄誉賞は?」って感じですよね。
でも本人はそんなの要らないって言うかなあ。
下世話な話に急直下。

その後、居間に戻ったらドラマをやっていました。
「真ん中の俳優、誰だか分かる?」
「????」
「OZAWAの息子よ。」

すっかり現実に戻ってしまい、高揚した気持ちも酔いも醒めてしまいました。
あーあ、いい気分だったのにー。

私の心にはOZAWA、でも別の人の心にはYAZAWAかも知れない。
心の中にOZAWAもYAZAWAもある人
              ・・・それはそれで。


きょうは健康と関係ない話になっていました。
たまたま、きのうの朝日新聞には、日野原重明先生の「音楽療法」の話が掲載されていました。
今回は、この「音楽療法」に関連したお話としてお許し下さい。

Seiji Ozawa
http://www.universal-music.co.jp/classics/artist/ozawa/ozawa.html
新日本フィルハーモニー交響楽団
http://www.njp.or.jp/njp/profile/profile_ozawa.html
シャルル・デュトワ
http://ja.wikipedia.org/wiki/シャルル・デュトワ
シャルル・ミュンシュ
http://ja.wikipedia.org/wiki/シャルル・ミュンシュ
オーケストラコンサートBプログラム
http://www.saito-kinen.com/j/program/orc_b/
(料金をみて現実に引き戻らされます。やっぱり一杯飲みながらの自由席が。)
ベルリオーズ 「幻想交響曲」のちょいとしたお話
http://www.mmjp.or.jp/MIYAJI/mts/compors/beruli.html
サイトウ・キネン・オーケストラ
http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A5%B5%A5%A4%A5%C8%A5%A6%A1%A6%A5%AD%A5%CD%A5%F3%A1%A6%A5%AA%A1%BC%A5%B1%A5%B9%A5%C8%A5%E9
嬉遊曲、鳴りやまず―斎藤秀雄の生涯
http://www.amazon.co.jp/%E5%AC%89%E9%81%8A%E6%9B%B2%E3%80%81%E9%B3%B4%E3%82%8A%E3%82%84%E3%81%BE%E3%81%9A%E2%80%95%E6%96%8E%E8%97%A4%E7%A7%80%E9%9B%84%E3%81%AE%E7%94%9F%E6%B6%AF-%E6%96%B0%E6%BD%AE%E6%96%87%E5%BA%AB-%E4%B8%AD%E4%B8%B8-%E7%BE%8E%E7%B9%AA/dp/4101354316
(賢治の童話「セロ弾きのゴーシュ」の楽長のモデルは、斎藤だった? 小沢征爾秋山和慶堤剛、岩崎洸、藤原真理前橋汀子…。多くの逸材たちはいかに鍛えられたか。)
吉田秀和
http://d.hatena.ne.jp/keyword/%B5%C8%C5%C4%BD%A8%CF%C2
~特集~ 指揮者カルロス・クライバー
http://enjoy-pc-web.hp.infoseek.co.jp/CarlosKleiber.shtm