ペットどどう暮らす?

感染症の誘因 擬人化しないで

最近、集合住宅でも犬を飼ってもいいケースが増えて来ています。
我が家の周囲も集合住宅が多いのですが、小型犬を飼ってお見えになるケースが
増えました。
朝、夕はワンちゃんの散歩ラッシュの様相を呈しています。
ペットは勿論ワンちゃんだけではありません。
患者さんで、集合住宅に住みながら一部屋を放し飼いの文鳥やインコの部屋にして
みえる方もみえます。
新婚家庭でペットを飼ってて赤ちゃんを授かってさてどうしようというケースも
あるでしょう。
きょうはペットと日々の暮らしについてとりあげてみました。

新聞記事の紹介です。

  • * * * *

川崎市のCさん(29)は会社員の夫(29)と長男のH君(2)と3人暮らし。
「家族」にはウサギ2羽もいる。
飼って7年目だ。
H君を産む前は家の中で放し飼い。
一緒に眠ることもあったが、妊娠がわかったとき、祖父に「衛生面で心配だから、
ウサギを手放したら」と心配された。
 
ウサギの皮膚に感染したカビや、ウサギの鼻炎や肺炎の原因となる菌が、まれに
人にうつったりすることがある。
でも、Tさんは手放すことを考えられない。
結局、居間から離れた部屋でカゴに入れることにした。
H君は最近、ウサギに絵本を読んであげたり、ボール遊びをしようと外に連れ出そう
としたり。
一緒に遊びたくて仕方がない様子だ。
 
「ペットは情操教育で効果が大きい。しかし、擬人化せず、人と区別して付き合う
ことが大切」。
日本大学生物資源科学部のM教授(獣医学)は、動物のもつ病気の人への感染を防ぐ
という観点から、こう強調している。
人と動物が共通にかかる感染症約200のうち、ペットが原因のものが40前後
あると説明する。
 
最近子どもに多いのが「ネコひっかき病(バルトネラ症)」。
原因のバルトネラ菌をもつ猫にひっかかれたり、かまれたりして感染し、熱やリンパ節
の腫れなどの症状が出る。M教授の調査では、菌は全国平均で猫の
約7%が保有し、都市部や外飼いはさらに保菌率が高いという。
まれに犬やノミからも感染する。
対策には、ペットに触った後の手洗いと、ペットの健康への気配りが欠かせない。
 
接触れる時間の少ない鳥やカメにも油断はできない。
鳥のフンにいる菌が部屋に飛び散リ、人の呼吸器を通じてオウム病が移る可能性もある。
カメがおしっこした水槽の水を触ったた手で食べ物を口に入れ、サルモネラ病に感染する
恐れも指摘されている。
 
感染症の症状は風邪と間違えやすい。
医師の診察をうける際、「猫を室内で飼っています」というように、ペットとの
暮らしを伝えることが大切、とM教授。
風邪と間違えられ、効かない抗生物質を投与される場合もあるという。

***

「既に飼っている人は、改めてペットを飼うことの意味を、これから飼おうとする人は、
本当に『飼いどき」なのか、慎重に考えて」
 
赤川クリニック(東京都杉並区、産婦人科・内科・小児科)院長のAさんは少し辛口だ。
赤ちゃんを育てながらペットを飼う大変さをこう指摘する。
 
飼いたい場合、犬や猫などペットに、子どもを「新しい家族の一員」と認識させる必要
がある。
良好な関係を築くためにどう対応すればいいか、獣医師のTさん(専門・動物行動学)に
聞いた。
ペットは、赤ちゃんがいないときに可愛がられると、「赤ちゃんがいなけれ
ば、自分はもっと可愛がってもらえる」と思ってしまうことになるので絶対避けて、
とTさん。
「平等に愛情をかけている」ことを伝えることが大切だ、という。

子どもが成長すると予期しない事態も起こる。
口の中に指をつっこんだり、シッポをつかんだり、ペットにとって理不尽なことばかり。
猫は自分から高い場所に跳んで逃げることができるが、犬はそうはいかない。ペットに
かかるストレスをいかに解消できるかが鍵になる。


出典 朝日新聞 2008.6.7
版権 朝日新聞社

<参考サイト>
動物由来感染症ハンドブック
http://www.med.or.jp/kansen/animal/
日本医師会のサイトです。イヌ、ネコ、トリ、ウサギ、ハムスター、輸入動物について
とりあげられています)



読んでいただいて有難うございます。
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