ふくろう切抜き帖 2008.7.27

イメージ 1

朝日新聞・朝刊 2008.7.23
<コメント>
当院にかかってみえる方や以前かかったことのある方が、時々ですが「はり・きゅう・マーサージなどの治療」についての保険請求のための医師の同意書を書いて欲しいと用紙を持ってみえます。
どういうわけか、鍼灸師保険診療はできず柔道整復師のみ保険診療ができます。
しかしこの際にも病名が限られています。
骨折、脱臼、ねんざ、打撲、肉離れの5つの「けが」に対してだけで、慢性の腰痛や肩こりではかかることはできません。
われわれ保険医は「患者の疾病又は負傷が自己の専門外にわたるものであるという理由によって、みだりに、施術業者の施術を受けさせることに同意を与えてはならない」ことになっています。
つまり、整形外科的な保険診療を医師が行い、西洋医学的治療に限界がある時に初めて同意書を書くということです。
したがって、内科医が容易に同意書を書くということは本来ないことです。
当院でもその旨をお話して原則的に同意書記入はおことわりしています。



メタボ健診 自治体の6割「見直し」1割「廃止」求める

「メタボ健診」に関する調査結果
今年4月から始まった特定健診・保健指導(メタボ健診)について、6割の自治体が見直しを求め、1割は廃止すべきだと考えていることが、全国に806ある市と区を対象にした毎日新聞の調査で分かった。費用は国と県が3分の1を補助する仕組みだが、国の補助単価が実費に届かない自治体が8割近くあることも判明。がんなど他の検診への補助を削減する自治体もあり、メタボリックシンドローム内臓脂肪症候群)以外の対策が後退し始めた実情も浮かんだ。

調査は6月、全国783市と東京23区に実施。551市区(68.4%)が回答した。

特定健診を現在のかたちのまま継続すべきだと思うか」との問いには、347市区(63%)が「問題点を見直すべきだ」、60市(11%)は「制度自体を廃止すべきだ」とした。
「現行制度のまま継続すべきだ」は62市区(11%)。
見直すべき理由は
▽メタボに限定した検査で他の病気を見落とす可能性がある
▽制度が複雑で受診率が下がる
▽医療費抑制につながるか疑問
--などが挙がった。

国は昨年末、国、県の補助額を決める補助単価案として、集団健診2880円(課税世帯の65歳未満の場合、1人あたり)、委託先医療機関などで個人が受診する個別健診5300円(同)と示した。
この単価より実費の方が高いと答えた市区が、集団健診を実施する市区の76%(335市区)、個別健診では79%(397市区)に達し、自治体の持ち出しになる例が目立つ。

今年度から保健事業の縮小・廃止をしたと答えたのは293市区(53%)に上る。
▽がん検診受診者への補助削減
▽人間ドック受診者への補助削減
▽メタボ健診の対象外の40歳未満の健診の縮小
--などが起きていた。

メタボ健診は、受診率などの目標を達成できない場合、ペナルティーとして後期高齢者医療制度への拠出金が増額されるが、「達成可能」は41市区(7%)のみ。
「分からない」408市区(74%)、「不可能」97市区(18%)だった。不可能と答えた市区に対応を尋ねると(複数回答可)、「保険料を上げる」が7割を超えた。


メタボ健診、無料指導8割…財政難に追い打ち

低受診率での罰則回避
メタボリックシンドローム内臓脂肪症候群)の予防のため4月から始まった「特定健診・保健指導(メタボ健診)」で、全国の市町村のうち健診を受けて新たに行う保健指導を無料にするのは、85%に上ることが読売新聞の調査でわかった。

無料化は、保健指導の実施率(受診率)などが低い市町村にペナルティーとして科せられる後期高齢者医療制度長寿医療制度)への負担増を回避する狙いがある。
一方で9割の市町村が国に財政支援を求めており、財政難と新制度との板挟みに惑う市町村の実態が浮き彫りになった。

調査は、今年3~5月にかけて、東京23区を含む1811の全市町村(4月1日現在)を対象にアンケートと電話の聞き取りを行い、1483自治体(82%)の回答を分析した。

特定健診については、384市町村(26%)が無料にした。有料にした市町村の個人負担は、500円~1500円程度で、その多くは、従来の住民健診が有料だったためと見られる。

これに対し、メタボ健診の成否を握る保健指導を無料としたのは、1255市町村(85%)に達した。保健指導は、1人当たり1万数千円~2万円程度と健診の数倍の費用がかかる。

健診対象者の約半数の国民健康保険加入者(2571万人)を抱える市町村で、無料化に踏み切った理由として、
〈1〉受診率を引き上げる
〈2〉外部委託をせずに、自前の保健師などで対応する
――ためが大半だった。

無料化は財政にはね返り、保健指導の質の低下や他の福祉予算が減り、住民サービスへの影響が懸念される。
「国の補助が少ない」などとし、ほとんどの市町村が、財政支援を求めた。

新制度に対し、「国の対応の遅れで準備不足」「ペナルティー制度の廃止を」「医療費削減効果は疑問」などの批判も目立った。

厚生労働省医療費適正化対策推進室の大西証史室長は「無料化する自治体がこんなに多いとは驚きだ。
補助を増やすのは難しく、総務省地方交付税の増額を求めたい」と語り、ペナルティーのあり方も検討する方針だ。

特定健診・保健指導 
市町村など医療保険者が40~74歳の国民を対象に腹囲測定、血圧、血糖、脂質などの健診を行い、異常があった場合に生活習慣の改善を促す保健指導を行う制度。
4人に1人が、保健指導の対象になると見られる。国が定めた実施率に達しない保険者に、後期高齢者医療制度への負担金が最大10%増えるペナルティーが科せられる。

読売新聞 2008.5.12

<コメント>
後期高齢者の健診も始まりました。
75歳以上ではメタボどころか栄養不足を心配しなければならないような体型の方が大半です。
健診をやっていて、こんなことでいいんだろうかとつい思ってしまいます。


ピカチュリン」と命名 網膜の神経回路つくる物質
 目の奥にあって光を感じる網膜の神経回路がきちんとつくられるのに必要なタンパク質を、大阪バイオサイエンス研究所の古川貴久研究部長らのチームがマウス実験で突き止め、米科学誌ネイチャー・ニューロサイエンス電子版に21日発表した。
 光を発するネズミに似た人気アニメキャラクター、ピカチュウにちなんで「ピカチュリン」と名付けた。
 古川部長は「網膜の神経回路ができる仕組みの一端が分かった。人工多能性幹細胞(iPS細胞)などを使った目の病気の再生医療にも応用できそうだ」と話している。
 チームは、視神経の周りで働いているピカチュリンを特定。これが働かないよう遺伝子操作したマウスでは、受光細胞から中枢神経につながる視神経に異常が起きるのを確かめた。通常のマウスに比べ神経伝達が遅れ、動くものを見る視力が落ちていた。
共同通信】2008/07/21

読んでいただいて有難うございます。
コメントをお待ちしています。
井蛙内科開業医/診療録(2)
(内科専門医向けのブログです)
http://wellfrog2.exblog.jp/
井蛙内科開業医/診療録 
http://wellfrog.exblog.jp/
(~H20.5.21)
葦の髄から循環器の世界をのぞく
http://blog.m3.com/reed/
(循環器専門医向けのブログです)