山登り

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国挙げての「メタボリックシンドローム内臓脂肪症候群)解消」らしい。
「運動でやせればいいのに」と言われている人も多いのでは?
そんな時、気になる話を聞きました。
「登山はエアロビクスの最高峰」というのです。
「山でキトキト(地元の方言で『生き生き』)」を合言葉に、富
山県黒部市で6月にあった日本登山医学会で取り上げられました。

  ■ □ ■
 
空気の薄い山間地で過ごして健康に生かす「高所治療」という考えは以前からあった。
19世紀にはオーストリアの医師が山地で肥満治療を実施。
ロシアなどでは低酸素の空気で高血圧を治療している。
ヒマラヤ登山者がやせて帰ってくることや、山岳民族は大体やせていることも知られ
ている。

そこに注目したのが、黒部市民病院の高桜英輔・高所医学研究所長らだ。
12年前から、立山(3003メートル)などで、高所環境を健康促進に役立てる研究を
進めてきた。
 
肥満で、軽い糖尿病の20人に2泊3日、立山・室堂平(2450メートル)で過ごして
もらった。
すると、安静時も運動時もエネルギー消費が平地より8.3%高まった。
この傾向は太った人に顕著だったという。
血液を調べると、脂肪の分解に重要な役割を果たすホルモンが増えていた。
血糖値が下がりやすくなるなど、高桜室長は「メタボ改善に有効なことが分かりました」。
 
また、山本正嘉・鹿屋体育大教授(運動生理学)は、健康づくりの観点から、登山を
勧めた。
ウオーキングや水泳など他の運動に比べて、「飛び抜けて優れている」というのだ。
そのわけは「登山は、他の運動ではこなしにくい運動量を、長い時間楽しみながらできる」
からだ。
 
米スポーツ医学会は昨年、健康増進に「高強度の有酸素運動が必要」という指針を出して
いる。
「高強度」とは、ジョギング程度の運動だ。
平地の歩行だけでは、心肺や脚などの筋肉への負荷が不足しているという。

その点、荷物を背負っての登山は十分な負荷をかけられる。上り坂では、脂肪分の代謝
活発になる。
太ももの筋肉を伸ばしながら使う下り坂では、瞬発力を出す「速筋」を使う。
速筋は糖分を使うため、糖代謝が改善され、糖尿病に効果があるという。
速筋が衰えやすい中高年にやはり魅力的だ。
上りがきついなら、とりあえず車で行き、下りだけ歩くという方法もある。
    
   ■ □ ■
 
これから本格的な夏山シーズンだ。
しかし、やたらに山に登ればいいというわけではない。
山本教授は「運動は薬と同じ。どちらも適量が重要です」と強調する。
急に始めると、ひざなどの関節を痛め、筋肉痛になる。
転倒、滑落事故などが目立つのも中高年だ。

そこで山本教授が提案しているのが、安全で適度な運動の目安になる「運動処方」の導入。
それぞれの体力、経験にあった登山ができるシステムづくりだ。
たとえば初心者なら「最初は行動時間3時間以内、標高差
500メートル以内。近所なら○○山へと指導する。
指導者育成が急務だが、山本教授は、事故のない登山のためにも、ぜひ実現させたいと
考えている。

出典 朝日新聞・朝刊 2008.7.20
版権 朝日新聞社

<コメント>
昨年の夏、八ヶ岳の近くの標高2000メートル級の山に夫婦で登りました。
2000メートルといっても車である程度のところまで登れるので大したことはありません。
慣れないことをしたせいか夫婦そろって両足の親指の爪がダメになってしまい、爪が生え変
わったのは1年後のつい最近です。
トホホ。


読んでいただいて有難うございます。
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