甲状腺異常

甲状腺の病気では、いろんなな症状が出現します。
したがって「自律神経失調症」や「更年期障害」、だるさや無気力があれば「うつ病」、
動悸息切れの症状では「心臓病」、体重減少が起これば「がん」、むくみのために
「腎臓病」、高血糖や尿糖があった場合には「糖尿病」、血圧が上がる場合には「高血圧」、
物忘れしやすくボーッとしている人では「認知症」などの病気と間違えられます。

甲状腺の病気ときちんと診断を受け、適切で確実な治療を受ければ、見違えるほど元気
になり、まったく健康な人と同じような生活ができるようになります。

ホルモンの多少が様々な症状に

疲れやすい、やせた、動悸がする、暑さに弱くなった、寒がりになった、便がゆるい、
便秘しやすい、気力が出ない・・・。
こんな症状があったら、どんな病気を疑うだろうか。
心臓や消化器の病気、更年期障害うつ病など、思い浮かぶものはたくさんある。

     ■ □ ■
  
でも、本当は、甲状腺に原因があるかもしれない。
甲状腺は首の前面、のど仏の下にあるチョウが羽を広げたような形の小さな臓器だ。
甲状腺疾患専門の伊藤病院(東京都渋谷区)の伊
藤公一院長は「心と体を元気にする甲状腺ホルモンを分泌しています」と話す。
 
脳の下垂体から出る甲状腺刺激ホルモン(TSH)の働きかけで甲状腺甲状腺ホル
モンがつくられ、血液にのって全身に運ばれる。

甲状腺ホルモンが過剰になる(甲状腺機能亢進症)と、新陳代謝が盛んになり過ぎ、
常に運動しているのと同じ状態になって、体に負担がかかる。
脈が速くなってドキドキし、胃腸が盛んに動いて便がゆるくなる。
汗をかき、暑がりになるなどだ。

亢進症の代表がバセドウ病
「目が突出する病気と思われるが、目に症状が出るのは2,3割で、実は全身の病気
です」

逆に、ホルモンが少なくなる(甲状腺機能低下症)と、無気力、冷え、便秘、肌の乾燥
などが現れることがある。
原因として最も多いのが、橋本病だ。

検査では血液中の甲状腺ホルモンやTSHの量を調べる。
指で触れたり、超音波で検査したりして甲状腺の腫れをみる。
 
治療は、亢進症はホルモンをつくるのを抑える薬、低下症はホルモンを補う薬をのむ。
バセドウ病アイソトープ治療や手術をすることもある。
治療が遅れると、心臓に負担がかかって不整脈や高血圧になることがあり、要注意だ。
 
治らない、難しい病気と思われがちだが、「必要な時に適切な治療を受ければふだん通り
に生活できます」と伊藤院長。
ストレスをためないこと、禁煙することなどを注意点にあげる。
 
    ■ □ ■

甲状腺の病気は男性より女性に多く、特にバセドウ病は20、30代の女性に多い。
見かけは元気そうなので、周囲から病気であることを理解されず、本人も気づかないこと
もある。
バセドウ病なのに気づいていない人が女性で200人に1人、男性で1000人に1人
いるといわれる。
 
気になるのは妊娠や出産への影響だ。
東京都予防医学協会の百渓尚子・内分泌科部長は「きちんと治療し管理すれば、安全に
出産でき、授乳も可能です。無用な不安や間違った思いこみをしないように」とアド
バイスする。
百渓さんは、毎回の検査値などを書き込める手帳を患者に渡している。
自分の体の状態を正しく知ってもらうためだ。
 
甲状腺の病気は、症状も経過も一人ひとり違います。大切なのは、気にしすぎず、
でもちゃんと治療すること。時間をかけて診てくれる医師にかかってください」 
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出典 朝日新聞・夕刊  2008.7.28
版権 朝日新聞社

<参考サイト>
伊藤病院
http://www.ito-hospital.jp/
甲状腺の病気や治療について紹介しています)
田尻クリニック
http://www.j-tajiri.or.jp/thyroid/
甲状腺の病気別について詳しく解説しています)
甲状腺疾患講座
http://www.hahoo.jp/~koujyousen/menu.htm
ためしてガッテン あなたの知らない甲状腺の真実
http://www3.nhk.or.jp/gatten/archive/2008q2/20080528.html

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J トレンツ リャド(Torrents Llado)
薄明かりのヘネラリフェ (遺族サイン)
http://www.art-hiroba.com/rw/mo/hanbai/ac/artist/sid/8569/

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