高血圧 冬こそ警戒

心臓は1日に10万回拍動しています。
したがって1日に10万の血圧があるということになります。
当然のことながら1日の中でも変化し、ある一定の傾向を持ちます。
季節による変化も頭に入れておく必要があります。
夏の間、血圧が正常だからといって冬を迎えて、高くなっていても気づかない人も
多くいます。
これは降圧剤を飲んでいる人にも飲んでいない人にもあてはまることです。
さてきょうはこんな話題を新聞から拾ってみました。

寒さで上がりやすく

「朝の2時間」余裕を
忘年会 深酒避けて
冬は夏に比べて平均的に血圧が高く、暖かい室内から寒い屋外に出ると血圧が急上昇する
など激しい変動にもさらされる。
高齢者や、もともと血圧が高めの人は脳卒中心筋梗塞(こうそく)などの危険が増す。
健康診断では正常値でも普段は血圧が高い人もおり、注
意が必要だ。

動脈硬化などの原因になる高血圧は「サイレントキラー
(沈黙の殺し屋)」と呼ばれるように、自覚症状がないま
ま進行する。
そこで血圧が高いとわかっていても、ついつい甘く考えがちだ。
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脳卒中のリスク

米国系製薬会社ファイザーのアンケート調査(全国の40歳以上の男女4700人が対象)
によると、高血圧が脳卒中になりやすい病気であることを約94%が認識していたが、
高血圧の人の約38%は医療機関を受診していなかった。
 
受診しない人に理由を聞いたところ、もっとも多いのは「生活習慣を変えて改善しようと
思った」(約47%)、次いで「自覚症状がなかったから」(約30%〉・生活習慣を
変えようと思った人で実際に「変えた」割合も半分弱にとどまる。

自分が高血圧であることを知らない人も少なくない。
年一回の健康診断などでは正常値だが、普段は高血圧といった仮面高血圧のケースだ。
正常でも朝はもともと血圧が高いが、起床時に特に上昇して
しまう早朝高血圧や、昼間の仕事中にストレスや喫煙など
で高くなる職場高血圧がある。

このため家庭や仕事場での継続的な血圧測定が推奨され
いるが、ファイザーの同調査でも毎日チェックしている人はわずかだった。

冬の血圧の注意ポイントはまず「(体が感じる)温度の差を小さくすること」と東京都
老人医療センターの桑島巌副院長は解説する。
冷たいものを触れると血管が収縮しして血圧は急上昇する。
例えば脳卒中などが多い危険時間帯である朝なら、起床時には部屋が暖まってから
着替え、洗顔はぬるま湯を使って温度差を和らげる。
 
出勤などで外出するとき、防寒はもちろんだが、走るなど急な動きが加わると血圧は
さらに上がる。
「あわてて電車に乗ろうと駅の階段を駆け上るなど急な行動は危険で、会社に着いてから
倒れる人もいる」(桑島副院長)。
朝活動を始めてから2時間以内は特に要注意とされ、あわてないで済むよう余裕を持つ
こともポイントだ。
またたばこ1本でも血圧は上がる。
  
入浴時の注意も大切だ。
寒い脱衣所ではだかになると血圧が上昇し、熱い湯につかると熱さの刺激でさらに上昇、
脳出血などの恐れがある。
大きな温度差は熱くてもよくないわけだ。
湯船に長く入っていると今度は血圧が急降下し、脳梗塞心筋梗塞、貧血の恐れがある。
寒い脱衣所に戻ると再び上昇する。
  
このため脱衣所・浴室はあらかじめ暖めておき、湯の温度はセ氏40度ぐらいのぬるめ、
湯船につかる時間は5分など短めにするといった注意が必要。
夜間や早朝のトイレも寒い場所なので、暖かくしておく方がよいという。
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40歳から予防

冬は鍋物などしょうゆやみそを使う食事で塩分が多くなったり、運動不足になったり
しがちだという。
塩分と肥満は高血圧の大きな原因だ。

これからは忘年会などアルコール類を飲む機会が増える季節でもある。
飲酒をすると血管が拡張して血圧が下がるが、「たくさん飲み過ぎると逆に血管が収縮
して血圧が上がる。
深酒をして顔が青白くなっている人がそれ」と東海大学医学部の半田俊之介教授は話す。

はしご酒も危険で、外の冷気による血圧上昇に加え、酔って歩くと激しい運動をしたように
血圧が高まるほか、冬のコートなど厚着も負担になるという。
厚生労働省の健康増進運動「健康日本21」では適量を1日平均純アルコール約20
グラムとしている。
日本酒なら一合、ビールなら中瓶1本、ワインならグラス2杯弱に相当する。
また、飲酒後すぐ入浴すると血圧が下がり過ぎるので、3時間はあけた方がよい。

年を取ると高血圧の人が増える。
そこへ、冬の寒さなどで血圧の大きな変動が加わると危険が大きい。
自分はまだ大丈夫だと思わず、高血圧にならないように「せめて40歳ぐらいから気を
つかってほしい」と半田教授は生活習慣の改善を呼び掛ける。

出典 日経新聞・朝刊 2008.12.1
版権 日経新聞


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