大腸がんの腹腔鏡手術

大腸がんの腹腔鏡手術
■大腸がんに対する腹腔鏡手術は1990年代前半から国内でも行われるようになり、
腹腔鏡手術を施行する施設は徐々に増えてきています。
■この腹腔鏡手術は最近10年間の大腸がん手術の進歩で最も大きなものといえます。

炭酸ガスで腹部を膨らませて、腹腔鏡を腹部の中に入れその画像を見ながら
小さな孔から器具を入れて手術を行います。

■がんを摘出するために1ヶ所、4~8cmくらいの傷が必要です。
一方従来の大腸がん手術では通常15cm以上の傷口ができます。
手術時間は開腹手術より長めですが、小さな傷口で切除が可能ですので、術後の
疼痛も少なく、術後7~8日前後で退院できるなど負担の少ない手術です。

■がんが盲腸、上行結腸やS状結腸、上部直腸に位置し、内視鏡的治療が困難な
大きなポリープや早期がんが腹腔鏡手術のよい対象と考えられています。

■一部の専門施設ではがんが横行結腸や下行結腸、下部直腸に位置した場合や、
進行がんでも腹腔鏡手術が行われています(リンパ節の切除を必要とする進行
がんに対しても適用)。
(要するに、横行結腸や下行結腸、下部直腸の場合は技術が要るようです)
■直腸がんの手術の時には、腹腔鏡手術の方が通常の開腹手術のよりも手術
部位が見やすくなります。

■しかし、進行がんに対しても開腹手術と同等の安全性や治療成績が得られる
のかについては今後の検討が必要です。
(ここが一番の問題点といえます。開腹術よりも予後がよいということは考え
にくいので現段階では患者さんも、慎重に選択する必要がありそうです)

■現在、国内では進行がんに対する腹腔鏡手術と開腹手術の臨床比較試験が
実施されています。

■腹腔鏡手術は近年開発された手術手技であり、特殊な技術・トレーニングを
必要とし、外科医のだれもが安全に施行できるわけではありません。

■現在、腹腔鏡手術の最大の問題は、どこの施設でも安全に腹腔鏡の手術が
施行できるわけではないこと、すなわち大腸がんの腹腔鏡手術の専門医が
限られていることです。

■腹腔鏡手術を希望する場合には専門医がいる病院を受診し、開腹手術と比較
した長所、短所の説明を十分に受けて、腹腔鏡手術か開腹手術かを決定して
下さい。

<参考および引用サイト>
大腸がん :[がん情報サービス]
http://ganjoho.ncc.go.jp/public/cancer/data/colon.html
国立がんセンターのがん情報サービスです)
<関連サイト>
治療:腹腔鏡(ふくくうきょう)下切除術
http://www.onaka-kenko.com/earlydetection/digestive-organ/large-intestine-cancer/lc_043.html