20歳過ぎたら体重減にも注意

20歳過ぎたら体重減にも注意 死亡リスク、中高年で高まる

成人後に体重が増えた人よりも、減った人の方が、中高年での死亡リスクが高い
との研究結果を厚生労働省研究班(主任研究者=津金昌一郎・国立がんセンター
予防研究部長)が23日発表した。栄養不足による免疫力の低下などが影響している
可能性があるという。日本では肥満の健康リスクが強調されがちだが、体重減にも
注意が必要であることを示す結果だ。

研究班の斉藤功・愛媛大学准教授が岩手、秋田、長野など10都府県の40―69歳の
男女約9万人を13年間にわたり追跡調査。
20歳のころと比べて体重が「5キロ以上減少」「5キロ以上増加」「変わらない
(増減5キロ未満)」の3グループに分類し、何らかの原因で死亡するリスクとの
関連を調べた。男女とも半数程度は5キロ以上増えており、5キロ以上減っていた
のは約1割だった。

追跡期間中に死亡したのは計6494人。男性では、体重が減ったグループの死亡
リスクは、変わらなかったグループの1.44倍だった。
逆に、増えたグループの死亡リスクは0.89倍と小さかった。
死因別では、体重減の人はがんや循環器疾患のリスクが高まった。
女性でも同様の傾向であった。

成人後に体重が減った原因は喫煙や栄養不良、糖尿病などが複合的に影響して
いるとみられる。

斉藤准教授は「日本では肥満のリスクが強調され過ぎているが、加齢とともに
太るのは自然なこと。むしろ体重が減ると死亡リスクが高まる傾向は海外の研究
でも示されている」と話し、健康管理に注意を促している。

出典 日経新聞・夕刊  2009.4.23(一部改変)
版権 日経新聞

<コメント>
十分な検証がされないままスタートした特定健診
要するに肥満が諸悪の根源というコンセプトです。
医師の多くは昨年のスタートの時点から大いなる疑問を抱いていました。
厚生労働省研究班」が何をいまさらといった感じです。

そして今年度も従来どおり特定(メタボ)健診は続けられます。

<番外編>
循環器病、複数のメタボ要因で死亡リスク2倍厚労省研究班
http://health.nikkei.co.jp/news/top/index.cfm?i=2009041605960h1
■高血圧などのメタボリックシンドローム内臓脂肪症候群)の関連
要因を複数持つ男性が循環器病(心臓・脳疾患)で死亡するリスクは、
要因を持たない男性の約2倍になることが16日、厚生労働省研究班の
大規模疫学調査で分かった。
肥満があってもなくても傾向はほぼ同じだった。
■日本では、内臓脂肪型肥満(男性が腹囲85センチ以上、女性が同90
センチ以上)に加え、高血圧、高血糖、脂質異常の3つのうち2つ以上を
併せ持つ状態をメタボとしている。
研究班は「現行の診断基準は肥満でない高リスク者を見落とすおそれが
ある」と指摘している。


赤身肉の摂りすぎは寿命を縮める
http://health.nikkei.co.jp/hsn/news.cfm?i=20090402hj001hj
■赤身の肉および加工肉の多い食事を摂取していると、癌(がん)や
心疾患だけでなく、アルツハイマー病や消化性潰瘍などさまざまな疾患
により寿命が短縮することが米国立癌研究所(NCI)の研究で明らかにされ、
米医学誌「Archives of Internal Medicine(内科学)」3月23日号に掲載
された。
■研究の筆頭著者によると、これまでにも数々の研究で赤身肉の摂取と癌
の発生率との関連が示されており、今回の知見はそれに一致するものだと
いう。