食物アレルギーの食事制限

アレルギーの治療や予防については、いまだに誤解や偏見がはびこっています。
食物アレルギーの誤った診断が原因で過剰な食物制限を続けたり、本来なら可能な
予防接種まで受けられなくなっているのが現状です。
食物アレルギーは発達段階にある小児患者も多いため、誤解に基づく負担は心身の成長
への影響も大きいのです。


#食事療法とは?
食事療法は、アトピーの原因となる食物アレルゲンを除去し、アトピーを治す治療法
です。
主に血液検査や皮膚テストなどの検査から、アレルギー反応のあった食材を除去します。

食物アレルギーがアトピーと関係してくるのは小学生以下の子供や赤ちゃんが多く、中
学生以上になるとあまり関連してきません。 腸の未発達が食物アレルギーと関わってい
るので、成長とともに徐々に除去した食品が食べられるようになります。 大人の場合、
食物アレルギーはアトピーよりも蕁麻疹として出ることが多いです。

過度な食事制限は発達障害になる可能性もあるので、医師との相談が大切です!



#本当にアトピーが悪化するかが重要!
食事療法でよくあるパターンは、除去しなくても良い食品を除去してしまうことです。
アナフィラキシーのように強烈なアレルギー反応や、食べた直後に赤い斑点が出る強い
アレルギー反応の場合は確実に除去ですが、 そうでない場合は負荷検査をした方がハッ
キリとわかります。
アトピーの原因と考えられる普段食べているものを一品除去し、アトピーの変化をみます。
次に除去したものを再び食べて、アトピーの変化をみます。
アトピーに変化がなければ、その食品は原因でないので次の食品を試すやり方もあります。



#食事日記のススメ
今日何を食べたか、それを何日も覚えるのは無理ですよね。
食事日記をつければ、いつ何を食べたか?が明確になり、アトピーの原因となる食品の判明
に役立ちます。

アトピーが悪化する食べ物がわかれば、自分でコントロールもできて対策も立てられます。


#食事療法の効果・メリット
□子供の場合、未発達の消化器官が原因での悪化を防げる
□食物アレルギーテストの結果は、赤ちゃんの食事の献立作りに役立つ
□農薬や添加物を減らすことで、体内で発生する活性酸素の量を減らせる
□脂質を減らすことで過酸化脂質を減らせる
アトピーコントロールがしやすくなる

#食事療法の不安要素・デメリット
□除去食の場合は、栄養面での不安がある
□原因である食物アレルギーを除去しても変化がないことが多い
□献立作りが大変
□質の良い食材は値段が高い

アナフィラキシーショックが出るような食品は絶対除去です!

アナフィラキシーの場合は医師の指導の下、最終的な負荷検査で食べても大丈夫と結果が
出てから食べられます。
アナフィラキシーを発症すると生死に関わるので、自己判断で少しくらい食べても平気と
いう考え方は危険です。

■血液検査で強いアレルギー反応がみられても、実際には食物アレルギー引き起こさない
ことも少なくない。
■一般の患者だけでなく、医師でも誤解に基づいて診断する例がいまだに多い。
■必要に応じて医師の観察のもとで実際に食べてみる「負荷試験」も必要な場合もある。
■この試験で食べられない食物を絞り込むのが正しい治療法といえる。
■子供の食物アレルギー発症を予防するため、日本では20~30年前から妊娠、授乳中に
アレルギーの原因食物の摂取を控える指導が広く行われている。
しかし、最新の研究ではこれも誤りと分かり、食事制限に予防効果がないことがほぼ確
認された。
にもかかわらず国内では元々、学会がガイドラインなどで食事制限を推奨したことがな
いため、そのためもあって明確に否定されていない。
■卵アレルギーがあってもインフルエンザワクチンの摂取に問題のないことが多い。
(国産ワクチンは精製段階でアレルギーの原因成分の大半が除去されている)
■国の予防接種ガイドラインは、重症の卵アレルギー患者には薄めたワクチン液を皮膚に
注射してアレルギー反応が起きるか事前に調べる皮膚テストを行うように推奨している。
■初めて接種する場合には安全性を確認してから接種するとよい。


<参考および引用サイト>  一部改変
食事療法の基礎知識 | アトピーの悩み解決!アトピー性皮膚炎改善ガイド
http://www.atopi.org/cure/meal/

<参考記事>  日経新聞・朝刊 2009.7.26



<きょうの一曲> 
Glenn Gould Plays Bach's prelude and fugue in E major
http://www.youtube.com/watch?v=wZ_PJvAYlX4&feature=related






<自遊時間>
#初の裁判員裁判、開始へ=午前に選任手続き、6人決定-隣人殺害事件・東京地裁
http://dailynews.yahoo.co.jp/fc/domestic/citizen_judge_system/
■3日午前の選任手続きに来るよう、抽選で地裁から呼び出し状を送付された裁判員
候補者は73人。
うち、病気や親族の介護などの理由で事前に辞退が認められた人は、呼び出しを免
除される。
■集まった候補者は、地裁職員から事件概要について説明を受け、事件とのかかわり
などを尋ねる質問票に記入する。
■その後に秋葉裁判長が、事前提出された質問への回答などを基に候補者に質問。
辞退希望者について、当日の辞退を認めるかを判断する。
■事件関係者ら不公平な裁判をする恐れがあると判断された人は選任されない。
裁判長の質問には検察官と弁護人が立ち会い、各4人まで理由を示さず不選任とする
ことを求めることができる。
■残った人で抽選をし、裁判員6人と補充裁判員3人が選ばれる。 
■米国では2008年1月、米小児科学会が妊婦や授乳中の母親に同様の食事制限を推奨
していた過去の声明を取り下げている。




<コメント>
いよいよきょうから裁判員制度がスタートします。
私は以前から、この制度は国民の義務なのか権利なのか疑問に思っていました。
罰則規定があるようなので納税と同じように義務なのでしょう。
ある宗教関係者の団体では、罰金を払ってまで参加しないよう意思表示をしていま
す。

この制度についてはいろいろな意見をお持ちの方も多いと思いますが、私自身は反
対の立場です。

裁判官や弁護士は司法試験に合格した専門家(プロ集団)です。
彼らに一般常識があるかどうかは別問題として、被告人は公正な「裁き」を受ける
権利があります。
ロシアンルーレットみたいに裁判員が選ばれる。
しかも全く法的知識のない一般人。
良識も知識もな人(少なくとも裁判官や弁護士は知識はあります)が選任される
可能性すらあります。
それは選任する裁判官には良識がないということから始まった制度でもあるから
です。
一国の総理に「常識がない」と言われた医師達でさえ、患者さんに診断を下す時に
一般の方を交えて相談しながら診断することはありません。
裁判は一般市民を交えて判決を下すほど軽いものでしょうか。

人命を救うことが仕事の医師という職業の性格上、宗教者と同じで死刑判決は下せ
ません(下せない立場です)。
上のニュースの「公平な裁判をする恐れがあると判断された人は選任されない」に
該当します。

昨夕のニュースのキャスターがはっきり反対の立場をとっていて少しビックリしま
した。
検察庁の方です。


裁判員制度」も、「成人は何歳からか」という議論も国民から(民意で)湧き上が
ってきた議論ではなく唐突でした。
「上から目線」を強く感じます。

民主党関係者のスキャンダル(?)も、どういったルートで出て来たかということ
も考えないで事の良否の議論をいきなり始める。

国民のレベルが試されています。
選挙も同じです。
結局は、選挙終盤は浪花節になっています。

島国の平和ボケもほどほどにしたいものです。

<関連サイト>
日曜版 「再考・裁判員制度
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy/archive/2008/01/20



読んでいただいて有難うございます。
コメントをお待ちしています。
井蛙内科開業医/診療録(3)
http://wellfrog3.exblog.jp/
(H20.12.11~)
井蛙内科開業医/診療録(2)
http://wellfrog2.exblog.jp/
(~H20.12.10)
井蛙内科開業医/診療録 
http://wellfrog.exblog.jp/
(~H20.5.21)
(いずれも内科専門医向けのブログです)
葦の髄から循環器の世界をのぞく
http://blog.m3.com/reed/
(循環器専門医向けのブログです)