疫学調査とは

昨日の新聞に「疫学調査」についての記事が載っていました。
耳慣れない言葉と思われる方も多いでしょうが
□□がんセンターなどで発表され皆さんがメディアで知る
「○○すると△△がんになりやすい」といったことは、この「疫学調査」によって明らかにされるのです。

疫学調査とは、集団を対象として人間の健康および異常の原因を宿主・病因・環境あるいは遺伝の各面から包括的かつ統計的に研究・調査する方法です。

たとえば生活習慣病の一つである「脂質異常症」が動脈硬化の発症に深くかかわっていることは、疫学調査によって明らかになっています。

以下は新聞記事の紹介です。

イメージ 2


イメージ 1


出典 日経新聞・朝刊 2009.10.25
版権 日経新聞


<関連サイト>
疫学 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/疫学

疫学調査とは - はてなキーワード
http://d.hatena.ne.jp/keyword/%B1%D6%B3%D8%C4%B4%BA%BA
<コメント>
このブログには興味深いサイトが紹介されていました。
インフルエンザワクチンの免疫補助剤に不妊化作用 
http://d.hatena.ne.jp/hira333/20091019/p13
[健康]ワクチン接種
http://d.hatena.ne.jp/newmoonakiko/20091011/p1




<番外編>
##メタボ腹囲の新エビデンス 女性「80cm」から心血管リスク 端野・壮瞥町研究で
女性のメタボリックシンドローム(MetS)の診断基準を再検討する上で、大きなインパクトとなるエビデンスが端野・壮瞥町研究の最新解析で明らかにされた。
2005年に日本動脈硬化学会など8学会がまとめたMetS診断基準では、女性の腹囲基準は「90cm以上」としているが、札幌医科大の研究グループによって女性MetSの心血管リスクは「80cm以上」で有意に高まることがあらためて分かった。
 
心血管疾患の複合リスクであるMetSの診断基準は、日本動脈硬化学会や日本肥満学会、日本内科学会など8学会によって05年4月に公表された。
MetS診断の必須項目である腹囲は、男性85cm以上、女性90cm以上とされているが、実際に基準値が心血管疾患発症の予測に役立つかについては、多くの議論がある。
 
札幌医大内科学第二講座の研究グループではこのほど、北海道端野・壮瞥町での前向き追跡調査について1994年8月から07年末までの13年間にわたる約2000人の住民健診データを解析し、女性における心血管疾患の発症リスクが「80cm」を境に高まることを突き止めた。
 
かつて同グループでは、6年間分のデータで解析を行ったものの、女性は男性に比べMetSが約3分の1と頻度が低い上に、心血管疾患の発症が少ないために、統計学的な有意差は認められなかった。
今回の解析では、追跡期間を倍に延ばし、データの検出力を高めた。
その結果、女性では腹囲が80cm以上の人では80cm未満の人と比べて相対リスクが2.3倍になることが有意差をもって示された(P<0.05)。
 
80cmを基準値とする考えは、日本の代表的な前向き追跡研究である久山町研究(福岡県)の結果からも支持されている。
研究グループの島本和明教授は「端野・壮瞥町研究の結果は、久山町研究の結果を証明したことにもなる。
日本人女性では、腹囲80cmから心血管疾患のリスクになることは間違いない」と話す。
 
脂質代謝異常や高血圧、糖代謝異常といったリスクの集積によるソフト・エンドポイントの評価ではなく、心血管疾患の発症を前向きに検証したハード・エンドポイントの評価で、明確な結果が出たことにも意義がある。
 
一方のMetS頻度が高く心血管疾患発症数が多い男性については、すでに久山町研究で90cm以上、大迫研究(岩手県)で87cm以上、端野・壮瞥町研究で85cm以上-が有意にリスクになることが示されている。
島本教授は「日本人男性では85-90cmの間に基準値がある。さらに整理が必要だが、幅があるのは各疫学研究によって背景が違うため」と考察する。

#“90cmまで大丈夫”は間違い
厚生労働省は、特定健診・保健指導制度を08年度から開始するに当たり、保健指導の介入基準として8学会が示したMetS基準を採用した。
そのため必須項目の腹囲については男性85cm以上、女性90cm以上となっている。
健診現場でも混同されがちだが、この基準値はハイリスク者に対する介入のための基準値であり、MetSの診断基準としては正しくないという考えが大勢を占めつつある。
 
限られた医療資源で効率よくハイリスク者をケアするには、介入のための基準も必要だ。
「日本での心筋梗塞の発症数は、女性は男性の4分の1程度。効率よくハイリスク者に介入することを考えれば、(絶対リスクで)男性の腹囲85cmに相当する90cm以上を女性の介入基準とすることは妥当」と島本教授は話す。
 
ただ、「女性では80cmから心血管疾患リスクになることは確かであり、“90cmまで大丈夫”と言う考えは間違っている。医師は80cmを超えていたらリスクがあることを伝え、自ら気を付けるように促していただきたい」とした。
 
現在、東京大大学院・門脇孝教授を班長とする厚労省研究班によって疫学研究のメタ解析が進められている。
今年度末に提出される報告書を基に、8学会のMetS診断基準は見直し作業に入り、女性の腹囲基準は80cmに改まる公算が大きい。診断基準が変われば、特定保健指導の介入基準にも影響する可能性がある。

出典 Japan Medicine



<きょうの一曲>
Procol Harum - A Whiter Shade Of Pale
http://www.youtube.com/watch?v=p8jJ1ORIOes&feature=channel




読んでいただいて有難うございます。
コメントをお待ちしています。
井蛙内科開業医/診療録(3)
http://wellfrog3.exblog.jp/
(H20.12.11~)
井蛙内科開業医/診療録(2)
http://wellfrog2.exblog.jp/
(~H20.12.10)
井蛙内科開業医/診療録 
http://wellfrog.exblog.jp/
(~H20.5.21)
(いずれも内科専門医向けのブログです)
葦の髄から循環器の世界をのぞく
http://blog.m3.com/reed/
(循環器専門医向けのブログです)