国内の新型インフルエンザの死亡率

昨日は地域医師会の休日診療所の日直の日でした。
もう1人の先生と2人で朝から夕方まで救急患者の診療をしました。
救急といっても実際は休日の診療というだけです。
例年のこの時期は、診療所の駐車場に入りきれないぐらいの患者さんで溢(あふ)れます。

覚悟して行ったのですが、思ったほどの混み具合ではなく、結局90人弱の患者数でした。
患者さんの9割以上がインフルエンザを疑わせる高熱の症状でした。
前日の午後からの発熱の方が多く、発熱後の時間的経過が短いこともあって簡易検査陰性が3/4程度でした。
こういった場合のその後の治療方針は迷います。
抗ウイルス剤を投与すべきかどうか、患者さんが小児の場合にはお母さんと相談する時間がかかってしまいます。
なかには「解熱剤も抗ウイルス剤も飲ませたくない」という考え方のお母さんもみえます。
それはそれで正しいのです。
インフルエンザ脳症と抗ウイルス剤との関係がいまだに結論が出ない現状があるからです。
解熱剤についてもアセトアミノフェンが100%安全であるというわけではありません。
処方する医師の側にもインフルエンザに関する知識があればあるほど迷ってしまいます。

ワクチンについても同様です。
昨日の患者さんの中にも新型インフルエンザワクチンの予約をしていて、簡易検査で陽性に出た方が数人いました。
当然、ワクチンの予約はキャンセルしていただくように指示をしました。
流行の最中(さなか)にワクチンを接種する現状はどう考えても変です。

さて、休日診療所のスタッフに今回の新型インフルエンザにかかった人がいるかどうか、あるスタッフに聞いてみました。
答えは誰一人かかった人はいないということです。

当院の職員も近隣のドクターもかかったという話は聞いたことがありません。
濃厚接触者を自負する私も同様です。
私は季節性インフルエンザワクチンは毎年接種しています。
しかし新型インフルエンザワクチンは接種していません。
今後も接種する予定はありません。



新型インフル、海外より低い死亡率 国内死者100人
8月15日に国内で初めて沖縄県の50代男性の死亡が報告されてから、4カ月近くで100人になった。

死亡者の報告は8~9月は週2~4人ほどで推移していたが、感染が広がるにつれ、10月下旬からは週10人ほどに。
11月は死者44人にのぼり、12月もすでに13人だ。

厚生労働省の発表などによると、100人の年齢別でみると、18歳以下が29人で約3割を占める。
そのうち9歳以下は24人。
多くは持病のない子だ。

年齢が低いほど免疫機能が未熟で体力もない。
さらに患者の8割が未成年で、感染が子どもを中心に広がり患者そのものの数が多い。

一方、40代以上の患者は全体の1割にも満たず、感染はまだそれほど広がっていないが、死者は58人いる。
この年代は持病のある人が多く、いったん感染すると重症化しやすいためだ。

新型インフルが季節性と違うのは、重い肺炎などを起こしやすい点だ。
死者の半数近くは、肺炎などの呼吸障害が原因。死者の持病で多かったのはぜんそくなどの呼吸器疾患と、糖尿病だった。

胎児を攻撃しないよう免疫力が低下している妊婦も重症化しやすいとされ、海外では死亡例があるが、国内ではまだ報告されていない。

国立感染症研究所の推計では新型インフルの患者は累計1264万人。
単純計算すると現時点での致死率は0.001%ほど。
季節性は、インフルで弱ったところに細菌性肺炎を起こした場合なども含めた数字でそのまま比べることは難しいが、0.1%とみられるシーズンもある。

国際的にも日本の死者は少ない。
世界保健機関(WHO)の11月中旬のまとめでは、人口100万人当たりの死者数は日本は0.2人。
米国の3.3人や豪州の8.6人より大幅に少ない。

欧州疾病対策センターECDC)によると、12月4日現在で、死者は世界で9634人。
一番多いのは米国で1817人。
次いでブラジルの1528人などが目立つ。

日本小児科学会の予防接種・感染症対策理事、野々山恵章・防衛医大教授は、日本の死者が少ない理由を「患者が医療機関を早く受診し、抗ウイルス薬も速やかに処方されているため」と分析する。

米医学誌の論文などによると、米国やカナダ、豪州などでは、発熱などの症状が出てから入院までの日数が平均3~6日。
これに対し、防衛医大病院など東京周辺の3病院ではわずか0.54日だった。

東北大学の押谷仁教授(微生物学)は、海外では成人の死亡例も多いが、日本では成人の発症が少ないことも、死亡率の低さに影響している可能性があるとし、「成人や乳児に感染が広がると、重症者が増えていく恐れがあり、注意が必要だ」と話す。

イメージ 1



読んでいただいて有難うございます。
コメントをお待ちしています。
井蛙内科開業医/診療録(4)
http://wellfrog4.exblog.jp/
(H21.10.16~)
井蛙内科開業医/診療録(3)
http://wellfrog3.exblog.jp/
(H20.12.11~)
井蛙内科開業医/診療録(2)
http://wellfrog2.exblog.jp/
(H20.5.22~)
井蛙内科開業医/診療録 
http://wellfrog.exblog.jp/
(H19.8.3~)
(いずれも内科専門医向けのブログです)
葦の髄から循環器の世界をのぞく
http://blog.m3.com/reed/
(循環器専門医向けのブログです)