体につくカビ

昨日は


をとりあげました。

今日は「体につくカビ」です。




カビは人体にも繁殖することがあります。
カビによる病気は「真菌症」と呼び、正しい治療をしないと治りにくいのが特徴です。


足の指の間がかゆい・・・

足水虫(足白癬)かも・・・
症状
足の指の間や足の裏が赤くなる、皮膚がふやけて白くなる、水ぶくれができるなどの症状にかゆみが伴う。

主な原因
角質を栄養とするカビが繁殖することで起こる。
近年女性の間で増えている背景には、ストッキングなどの着用や靴を履く時間の増加により、足に湿気がこもりやすい環境にあることが考えられる。

対策・治療法
清潔を保ち、通気性を良くしておくことが最も効果的な予防策。
靴は3足程度をローテーションし、定期的に乾燥させるとよい。もし足がかゆいなどの症状を自覚したら、皮膚科医に相談を。


白や黄緑っぽいおりものがあり、膣がかゆい・・・

カンジダ膣炎かも・・・
症状
ドロっとした、あるいはぽろぽろ状の白や黄緑がかったおりものがあり、膣、および陰部にかゆみを伴う。

主な原因
カンジダ菌は誰でも持っている菌。
抵抗力の低下や、抗生物質の投与によりカンジダ菌を抑える善玉菌(常在細菌)が除菌されることなどで発症するケースが多い。

対策・治療法
通気性の良い下着をつけ、清潔を保つ必要がある。
おりものの異常や膣のかゆみを感じたら、早めに婦人科へ受診を。
パートナーにも感染していると、お互いにうつし合う「ピンポン感染」により再発する可能性もある。


夏なのに咳がとまらない・・・

夏型過敏性肺炎かも・・・
症状
毎年梅雨頃から夏にかけて、頻繁に咳が出る。発熱や息切れを伴うことも。
秋以降になると自然に治まる。

主な原因
空気中に浮遊するある種のカビの胞子を多く吸いこむことで、肺にアレルギー反応が起こる。
このカビは湿気を好むため、水回りやエアコン内部に繁殖し、エアコンの使用とともに飛散されることも。

対策・治療法
できるかぎりカビが繁殖しにくい環境を整え、エアコンはこまめに掃除をしよう。
長引く咳や発熱がある、毎年夏になると症状が出る場合には夏型過敏性肺炎を疑い、内科に受診を。


頭皮のフケが増えた・・・

脂漏性皮膚炎かも・・・
症状
赤みを帯び、かゆみを伴い、フケが多く見られる。

主な原因
頭皮の皮脂が過剰に分泌され、毛穴に老廃物が溜まり炎症が起きる。
同時に、老廃物や皮脂を食べるカビの増殖も、炎症に関与している。

対策・治療法
1~2日に1度洗髪し、清潔を保つ。ヘアカラーなどの刺激は頭皮のダメージの原因に。
頭皮が赤くなり、かゆみもある場合には皮膚科へ。
脂漏性皮膚炎の治療をしたうえで、抗真菌剤の併用が有効。


背中や腕のニキビが治らない・・・

マラセチア毛包炎(毛のう炎)かも・・・
症状
通常のニキビと異なり、腫れの程度の低い赤いツブツブ状の点々ができる。
背中や胸、腕などにできやすい。

主な原因
頭皮の皮脂を食べるカビと同じ、常在菌であるマラセチア菌の影響が考えられる。
ただし、ニキビの原因にはホルモンバランスの乱れや、カビではない細菌の影響も考えられるため、一概には言えない。

対策・治療法
梅雨~夏頃に症状が目立つようならば、マラセチア菌による炎症の疑いが。
その場合、抗生物質での治療は効き目がなく、抗真菌剤を用いると症状が改善されるが、再発しやすい。
マラセチア菌は人の体に常に存在する真菌のため、完全に除菌できない。


<参考および引用サイト>
体にカビが生える!真菌症の恐怖
http://features.beautystyle.jp.msn.com/healthcare/feature/medical/1005kabi/05.htm



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出典 日経新聞・朝刊 2010.6.6
版権 日経新聞




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