足の巻きづめ

足の巻きづめ、放置で歩行困難も

手のつめに比べて足のつめはふだん目に触れることが少ないだけに、無関心になりがちだ。
つめが巻いて皮膚に食い込む状態になっていたら要注意。
ひどくなると炎症の痛みで歩けなくなることもあり、高齢者の場合は転倒骨折の原因にもなりかねない。
予防にはつめの切り方と靴の選び方がポイントになる。

#患者の7割女性
つめが巻いて皮膚に炎症が起きるほどの状態を「陥入爪(かんにゅうそう)」と呼ぶ。
名前こそ聞き慣れないが、程度が軽いものも含めれば日本人の10人に1人が陥入爪があるともいわれる。足に合わない靴を履き続けたり、深づめをしたりすると起きやすい。
特に足の親指に多い。
若い人から高齢者まで幅広く見られ、患者の約7割が女性だという。

都内に住むKさん(79、仮名)は約4年前から、両足の親指のつめが徐々に巻き始めた。
つめの端が皮膚に食い込んで赤く腫れ、「痛みで歩くのもつらい」状況に。
足の上にまな板を落としてケガをしたのがきっかけだったが、もともと先の細い靴を履いており、普段からつま先に負担がかかっていたことも原因だったようだ。

Kさんは整形外科を受診し、形状記憶合金のワイヤを使ったつめの矯正を始めた。
また、先の細い靴は捨て、余裕のある靴を履くようにした。
矯正を始めるとすぐにつま先の痛みはなくなり、数カ月でつめも平らに戻った。今では「以前のように元気に歩けるようになった」という。

巻きづめや陥入爪になると、普通の人に比べて下肢の力が弱くなる。
特に高齢者だとつまずきや転倒を起こしやすく、寝たきりの原因にもなりかねない。

糖尿病の人も注意が必要だ。指先の血行が悪く、痛みも感じにくいため、気づかないうちに炎症が進行してしまう。
細菌感染にも弱く、最悪の場合は指が壊死することもある。


ある医師は「陥入爪になった時、いくら痛いからといって、つめの角を切ってしまうのはよくない」と話す。
皮膚に食い込んだつめの角を切ると、一時的に痛みは解消されるが、つめが無くなった部分は肉が盛り上がり、つめを圧迫して巻きづめを悪化させる。
つめが伸びると肉の部分に食い込んで再び痛み出す。
この悪循環が続くと巻きづめがどんどん悪化し、皮膚に深く食い込んで重症化してしまう。

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#手術より矯正で
陥入爪の治療はこれまで、手術でつめの一部を取り除く方法が主流だったが、再発する場合も多かった。Kさんのように形状記憶合金のワイヤなどを使い、巻いたつめを平らに矯正する方法が一般的になった。足の痛みは矯正を始めてすぐになくなる場合が多く、つめの形も数カ月~半年ほどで元に戻るという。
医療技術の進歩もあり、たいてい矯正で確実に治せるようになった。
元に戻せない手術はなるべく避けた方がいい、という医師も多い。

程度の軽い陥入爪なら、自宅での処置でも痛みを和らげられる。
つめと皮膚の間に清潔な綿を詰め、炎症を起こした部分につめが当たらないようにする。
テープを足の指に巻いて皮膚を引っ張り、つめが皮膚に食い込むのを防ぐ方法もある。

東邦大学医療センター大森病院・皮膚科の中村元泰医師は「はじめは病院でやり方の指導を受けた方がよいが、一度覚えれば自宅で処置できる」と話す。
この方法で痛みを和らげ、つめが伸びてくれば自然に痛みがなくなる。

つめは一生伸び続けるもの。
矯正などで巻きづめを平らにのばしても、その後注意を怠れば再びつめが巻いてしまう。

巻きづめや陥入爪を予防するポイントとして、東京医科歯科大学付属病院の高山かおる講師は、まず「正しいつめの切り方を覚える」「足に合った靴を履く」の2つを指摘する。

つめを切る時には、つい指の形に沿って丸く切ってしまいがちだが、つめの角を残して四角く切る「スクエアカット」がよい。
つめの角はやすりなどを使って少し落とす程度にとどめる。
深く切りすぎないように注意し、指の端から1ミリほど伸ばした状態にする。

靴はつま先にゆとりがあり、かかとや足の甲がしっかり安定するものを選ぶ。
つま先が細い靴や重たい靴はつめに負担がかかるため、なるべく避ける。
ヒールの高さは3センチ以下にとどめるのがよいという。

日常生活でよく歩くことも大事だ。
地面をしっかり踏みしめるように歩くと、つめに下から力がかかり、平らになっていく。
また、つめ水虫にかかるとつめが厚く変形し、巻きづめを起こしやすくなる。
普段から足や靴を清潔に保つようにしたい。

つめが少しでも痛いと感じたら、つめに異変はないか、靴が足に合っているかを意識する必要がある。
                                  (柏原康宏)

出典 日経新聞・朝刊 2010.9.24
版権 日経新聞


<番外編>
NHK朝の番組に「あさイチ」があります。
朝連のすぐ後に放送され、ちょうど私の朝食の時間です。

朝のまだウオーミングアップが出来ていない頭には、スタジオの背景がケバい、女性陣がハイテンションでハシャギ過ぎと、苦手な番組です。
4月の番組のスタート時には「下ネタ」が多すぎる、と週刊誌で叩かれました。
要するに、朝食を摂りながら観るには相応しくないテーマが何故か多いのです。

2010.9.30は「足のトラブル解消法 第2弾」でした。
http://www.nhk.or.jp/asaichi/2010/09/30/01.html

足の指先の「水虫」「外反母趾」や「巻きづめ」がテーマです。
足先の話ですから究極(?)の下ネタです。

しかし、職業柄つい観てしまいました。

昨日(2010.10.1)は吉瀬美智子さん(女優)がプレミアムトークのゲストでした。
しっかり観ましたが、これは「お口直し」です。
http://www.nhk.or.jp/asaichi/2010/10/01/01.html










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佐伯祐三 『人形』 リトグラフ
http://www.seikougarou.co.jp/sell/saekiyuzo/705.html
(私的コメント;佐伯祐三の有名な絵画ですが、どうしても八代亜紀にみえてしまいます)



他に
井蛙内科開業医/診療録(4)
http://wellfrog4.exblog.jp/
(H21.10.16~)
井蛙内科開業医/診療録(3)
http://wellfrog3.exblog.jp/
(H20.12.11~)
井蛙内科開業医/診療録(2)
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(いずれも内科専門医向けのブログです)
「井蛙」内科メモ帖 
http://harrison-cecil.blog.so-net.ne.jp/
葦の髄から循環器の世界をのぞく
http://blog.m3.com/reed/
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があります。