ぎっくり腰

誰にも起こる「ぎっくり腰」 音なし増加中

床積みの本をどかそうとしたら、息をのむほどの激痛が腰に――。
ドイツ語で「魔女の一撃」とも呼ばれるぎっくり腰は、決して中高年特有のものではない。
いつ襲われるか分からないぎっくり腰から身を守るには? 

医学的には急性腰痛症と呼ぶぎっくり腰。
腰を構成している腰椎、椎間板、靱帯、筋肉のいずれかに負担がかかり、断裂したり損傷したりした状態をいう。
だが、医者にかかっても、その炎症個所を突き止めることはできない。
椎間板ヘルニアや圧迫骨折などと違い、レントゲンや磁気共鳴画像装置(MRI)などの検査機では映らないからだ。

整形外科のある専門医は「おなか側にある椎間板の線維輪がぴりっと裂けると、前にかがめなくなる。反対に、背中側にある椎間関節を傷めると、後ろに反らせない」と説明する。

日ごろの何げない姿勢も腰に負担をかけている。
例えば前かがみ。
直立状態から、ひざを伸ばしたまま前にかがむと、腰への負担は1.5倍。
前かがみで座ると2倍近くに。
終日デスクワークに追われる人たちは要注意だ。
さらに、その状態で物を持ち上げると、負荷は約3倍にも。
腰周囲の筋肉が物を持つ用意ができていないのに、さらに急な力がかかると、各組織が破綻する。

いすの背に腰を当て姿勢良く座る。荷物を持ち上げるときは、ひざを曲げて腰を下ろす。
掃除機をかけるときは腰を曲げずに済むようホースの長さを調節する……。
日常生活の姿勢に注意を払うことが大切だ。

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だが、それでぎっくり腰が防げるかというと、そうはいかないのが難しいところ。
せきやくしゃみで起こる人もいるし、最近は“音なしのぎっくり腰”が多い。
グキッという衝撃を感じないままぎっくり腰になり、痛みがひどくなって気づく。
「何となくおかしい」と思いつつ就寝し、翌朝動けない状況になるケースもある。

予防策はあるのか。
専門家は「“しっぱなし”がいけない」と言う。
座りっぱなし、歩きっぱなし、さらには寝っぱなしも。
同じ態勢を続けると筋肉が疲労しきり、伸筋と屈筋のバランスが崩れ、ピリッとくる。
体のどこかに“たまり”をつくってはいけない。
ふらふら動いて体をリラックスさせておくことが重要だ。

日ごろからの予防策として、座位でのもも上げやスクワットなど、体幹のバランスを良くする筋力運動も良い。
ひざを浮かした腹筋もいい。
おへそを見る程度に上半身をかがめるので十分だ。

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#様子見ながら動く
では、不幸にもぎっくり腰になったら――。
まず、大事なのは冷やして炎症を抑えること。
保冷剤あるいは氷をビニールに入れてタオルでくるみ、患部に当てる。
湿布は氷より表面の冷却効果が小さく、逆に皮膚温を上げることもあるので、氷で冷やす。
痛みが消えるまでは安静第一。
ただし寝込むのではなく、1~2日は様子を見ながら、3~4日目からは普通に動く。
無理のない程度にストレッチをするのもいいという。

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腰をゆっくり反らすマッケンジー体操(上の図)は効果があるといわれる。
この体操で痛みが改善する理由の一つとして、椎間板内の髄核のずれが適正な位置に整復されるためと考えられているという。

痛みがあるときには、腰椎を支えるコルセットを使う方法もあるが使用は3週間を限度に。
常用すると腹筋が落ちてしまう。

出典 日経プラスワン2010年9月25日(一部改変)
版権 日経新聞



<きょうの一曲>
Bill Charlap at the Village Vanguard
http://www.youtube.com/watch?v=4Og-DP_kaAg


<自遊時間>
ラップで機内アナウンス(日本語字幕つき) The Rapping Flight Attendant
http://www.youtube.com/watch?v=fD-yyMzF8lI



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島根 清 黄葉の白樺林 油彩 M10号
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