酒を飲んだ翌日には

酒を飲んだ翌日には…ウーロン茶・紅茶が有効
師走は日ごろの疲労がたまり、忘年会などで酒を飲む機会も増えて、体調を崩す人が少なくない。
体の中で最も大きな内臓は肝臓だ。肝臓は食べた栄養素の貯蔵と加工・再合成を行うとともに、老廃物や体内に取り込まれた様々な有害物質を分解・無毒化して胆汁や尿として排出する。

アルコールの処理も肝臓で行われる。
アルコールは酵素の働きで、アセトアルデヒドに分解され、さらに酢酸、最終的には炭酸ガスと水にまで分解される。

酵素が少なかったり、飲んだアルコールが多すぎると処理しきれず、毒性が強いアセトアルデヒドなどがたまり、頭痛や吐き気、めまいなどの原因となる。翌日までつづくと「二日酔い」だ。

二日酔いの予防策は、飲みすぎないことだが、これが難しい。
そこで、肝細胞の中の酵素が重要な働きをしてくれる。
酵素の多くはタンパク質からできているので、日ごろから肉や納豆、豆腐など高タンパクな食事をして酵素を増やし、肝機能の低下を防ぐ。

また、手っ取り早い予防法は、牛乳やヨーグルトなど乳製品をとることだ。
アミノ酸は悪酔い防止の効果もある。チーズたっぷりのピザやグラタン、冷ややっこ、揚げだし豆腐、枝豆、卵料理、ロールキャベツなどを、肉や魚と一緒に食べると良い。

肝臓によいタウリンは貝類やイカ・タコに多く、イカ刺し、するめ、たこ焼き、あさりの酒蒸しもお勧め。
アルコールは脂肪に溶けやすいので、サラミや鳥の空揚げなどをつまみにするのも良い。
おでんや大根サラダは胃を守り、アミラーゼを増やし、膵臓の働きを助ける。

深酒は消化管の働きを低下させる。水分は排せつできずにたまり、「水毒」となる。
血液がドロドロになってスムーズに流れないので、血液循環も悪化し、体温が低下、風邪を引きやすくなる。
殺菌効果の高いにんにく料理やビタミンCを多くとることは風邪や冷えの予防になる。

飲んだ翌日は早めに水分をとり、吐き気予防の効果があるウーロン茶や利尿作用のある紅茶を飲もう。
体を温めて、血行を促進するキャベツ、かぼちゃ、かぶのほか、肝臓の働きを助けるあさりやしじみのみそ汁を食べよう。
                       (東京ミッドタウンクリニック 特別外来医師)
出典 日経プラスワン 2010.12.11
版権 日経新聞


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