ヘドロ 体に大敵

この度の東北地方太平洋沖地震により被災されました方々に、心よりお見舞い申し上げます。
犠牲になられた方々、そしてご遺族の皆様に対し、深くお悔やみを申し上げます。
また、福島第一原発事案(事故)で避難中の方々、そして計画停電中の首都圏の方々にお見舞い申し上げます。
また、被災者支援や原発復旧作業などの災害対策に全力を尽くしてみえる皆様に敬意を表します。


有害物質ある恐れ 素手は避けて

被災地では、大津波が運んだ泥やごみがヘドロとなって家屋にまで流れ込んでいる。
ヘドロはいやな臭いの元になるだけでなく、乾くと粉じんとなって空気中に飛び散る。
病原性微生物や有害物質を含んでいる恐れもあり、注意が必要だ。

宮城県石巻市では海岸から内陸へ約4キロにわたってヘドロが流れ込んだ。
いまも20~30センチ積もっている場所があり、ヘドロが入り込んだ自宅の2階で暮らしている被災者もいる。

市の担当者は「作業員や市民、ボランティアで片づけたり消毒薬をまいたりしているが、あまりに量が多すぎる」と嘆く。

対応すらできていない地域も多い。
同県気仙沼市の担当者は「相当な量があるが、把握しきれていない」。岩手県宮古市も「悪臭を放っているが、人手が足りず、処理はこれから」という。

ヘドロには海底の堆積物や砂利のほかに、ごみや下水、廃材など様々なものが混じっている。
赤痢菌やチフス菌などの病原性微生物や、重金属、ポリ塩化ビフェニール(PCB)といった有害物質が含まれている可能性がある。
日本学術会議も5日、公衆衛生の確保や有害廃棄物対応を念頭においた処理・処分を緊急提言している。

 
具体的には、どう気をつけたらいいのか。

京大の森沢真輔名誉教授(環境リスク工学)によると、水分を含んだヘドロが皮膚につくと炎症が起きることもある。
ヘドロの除去作業にあたる場合はゴム手袋を着用し、素手で触らないことが大切だ。
森沢名誉教授は「色やにおいなどに異常を感じた場合は、自治体や消防、警察に知らせ、対応を相談したほうがいい」と話している。

粉じんになったヘドロ対策にはマスクが重要だ。
肌を露出するのも避けたい。
外出後は手洗い、うがいをし、衣類や髪についた粉じんを払い落とす。
避難所などでは靴の裏についたヘドロを落とし、建物内に持ち込まないようにしたい。


防じんマスク正しく

ヘドロやがれきなどの処理で粉じんを吸い込む危険がある人に向けて、環境省やメーカーがマスクを正しく使うよう呼びかけている。

「被災地の様子を映像で見ると、使い方が間違っている人がいる」と言うのは大手マスク会社の住友スリーエムの担当者だ。

マスクから鼻が出ていたり、顔とマスクの間が開いていたり。
話をするときにマスクをわざわざ外している人もいる。
あごまで覆わないと、話しているうちにマスクがずれてしまう。
担当者は「必ず説明書通りに使ってほしい」と言う。

マスクの種類も使い道によって違う。

せきやくしゃみでつばが飛ぶのを防ぐ「サージカルマスク」は避難所内での風邪やインフルエンザ、ほこり対策には十分だが、がれきの撤去などの際には密閉性が高い「防じんマスク」が必要だ。
アスベスト石綿)などの有害物質が大気中に舞っている可能性があり、サージカルマスクでは防ぐ効果が薄いという。

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出典 朝日新聞・朝刊 2011.4.9
版権 朝日新聞社


<きょうの一曲> 
ベートーヴェン 交響曲第7番第4楽章
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