血液からツヨくなる!熱中症対策

熱中症は、予防できる!とよく言われます。
しかし、そうは言っても心配なのが、お年寄りや持病のある熱中症弱者と呼ばれる人たちです。
まわりの人たちが一緒になって、正しい対策を知り、教えあって、声をかけあって予防することが大切です。

以下は、2011年7月13日放送のNHKのTV番組、「ためしてガッテン」です。

血液からツヨくなる!熱中症で死ぬもんかSP

電力不足の今年の夏、
日本列島は、“暑さ対策”一色!
連日のように熱中症のニュースや対策が報道されています。
ところが!
繰り返し伝えられている熱中症対策の中に、大きなまちがいがあったんです!!
そこで見つけました!
ちゃんと効果のある熱中症対策を!

☆塩分補給の真実
☆暑さに強くなるウラ技
☆効率的に涼しくなれる方法

えっマチガイなの?あの熱中症対策
去年の夏、そして今年の夏と、連日報道されている熱中症対策。
そんな中すっかり定着してきたのが、“塩分補給”の重要性。
汗で塩分が失われるため、積極的に補給しようと心がける人が増えています。
ところが!!
塩分補給の重要性を呼びかけてきた専門家の先生が、今年になって突然、そんなちまたの風潮に対して、
「マチガイだ!」と指摘し始めたのです。
いったいなぜでしょうか?

塩分補給の真実はコレだ!
私たちは、汗でどのくらいの塩分を失っているのか?

暑い環境で日常生活
屋外で激しい運動

の2つの場合で比較すると・・・

汗で失う塩分量は、ケタ違いに運動の場合の方が多かったのです。
これは、大量の汗をかく場合には、汗腺における塩分の再吸収が追いつかないためです。
つまり、塩分補給をしっかり意識すべきなのは、「大量の汗をかく場合」。
ところが、私たち日本人は、塩分に関しては必要量をはるかに上回る量をふだんの食事で摂取しているため、日常生活でジワジワと汗をかく場合には、さらに意識して塩分を補給する必要はなかったのです。
去年から今年、あふれる熱中症対策情報の中で、「塩分補給が大切」というフレーズだけが一人歩きして、「大量の汗をかくときは」という大事なひと言が抜けてしまっていたことが誤解の原因と思われます。

塩分補給を意識する目安は、
☆玉の汗を長時間かくとき
☆腕などを水洗いしてからなめてもしょっぱいとき
※汗の水分はすぐに蒸発しているため、肌に残る塩分は濃くなっています。

その際は、0.1~0.2%の食塩水、ナトリウム量で換算すると40~80mg/100ml程度のスポーツドリンクなどがおすすめ。
とにかく夏の日常生活における脱水予防には、こまめな水分補給を心がけてください。

発見!暑さに強くなるウラ技
暑さに強い体とは、汗をかきやすく、体温が上がりにくい体。

以前ガッテンでは、運動をする習慣によって、汗をかきやすくなり、暑さに強くなるとお伝えしました。
運動自体に、その効果はもちろんあるのですが、最近の研究で、さらに効率的な方法が見つかったのです!
それは、運動後に、あるモノを飲むこと。
答えは、なんと牛乳。

ポイントは、牛乳に含まれるたんぱく質です。
運動後にたんぱく質をとると、アルブミンが合成されます。
アルブミンには水分を保持する働きがあるため、血液中にアルブミンが増えると、水分が引き込まれ、
血液量が増えるのです。

血液は、汗の材料でもあるため、血液量が増えると、汗をかきやすくなったり、皮膚血流の増加による熱放散をしやすくなったりして、体温が上がりにくい体になるのです。
※牛乳でなくても、たんぱく質を含むものには、効果が期待できると考えられています。
※運動は暑い時間帯を避けて行ってください。
※高血圧の人は医師の指導に従ってください。
※脂肪のとりすぎにはご注意ください。

暑さ撃退!涼しくなるツボ
電力不足の今年の夏、知りたいのが、電気を使わず涼しくなる方法。
体を冷やすなら、どこを冷やすのが効果的か保冷剤を使って実験してみました。
すると、おでこ、首、脚の中で、最も冷たいと感じたのは、おでこだったのですが・・・
最初は体が涼しく感じられたものの、後になると、逆に暑くなったり汗が出たりと訴える声が。

その理由は、皮膚表面の温度を見てわかりました。
皮膚表面(指先)の温度が低下していたのです。
これは、実は体が熱を逃がさないようにする反応です。
おでこは、体の中でも最も冷たさを感じやすい所。
おでこを冷やしすぎると、冷たさを敏感に感じて、熱を逃がさないようにしてしまうのです。
※冷やす温度によってはこの反応がおきないこともあります。

実験で、最も快適に涼しくなったのが、首でした。

首は、熱中症になった場合に、冷やすことがすすめられている場所の一つ。
太い血管があるため、効率的に体を冷やすと考えられているのです。
※冷やしすぎや長時間の冷却は避けてください。
<私的コメント>
「首に太い血管」は頸動脈のある部分です。
うなじには太い血管は走っていないので、その点を注意して下さい。


今回のお役立ち情報 塩分補給のポイント
熱中症対策には「水分と塩分の補給を」というのは、もはや常識。
ところが、私たちは日頃から食事で、必要量をかなり上回る塩分を摂取しているため、日常生活でジワジワと汗をかく分には、水分をこまめに補給していれば、通常の食事で塩分は十分です。
過度に塩分をとると、逆に高血圧などで健康を害するリスクも。
ただし、運動や屋外で作業をする場合など、大量の汗をかく場合は、汗腺における塩分の再吸収が間に合わず、大量の塩分を失ってしまいます。
その場合は、適度に塩分(食塩水濃度0.1~0.2%、ナトリウム濃度40~80mg/100ml)を含むスポーツドリンクなどを摂ることがおすすめです。

暑さに強くなる方法
暑さに強い体とは、汗をかきやすく、体温が上がりにくい体のこと。
最近の研究で、効率的に暑さに強くなる方法が見つかりました。
それは、運動後に牛乳などのたんぱく質を含む飲料を飲むこと。
運動後にたんぱく質をとると、血液量が増え、汗をかきやすくなったり、皮膚血流の増加による熱放散をしやすくなったりして、体温が上がりにくい体になるのです。
速歩き30分の後、牛乳300ml飲むと効果的。
運動や牛乳の量が、一度では大変、という人は、2回、3回と分けて行っても効果があると考えられます。

※牛乳でなくても、たんぱく質を含むものには、効果が期待できると考えられています。
※運動は暑い時間帯を避けて行ってください。
※高血圧の人は医師の指導に従ってください。
※脂肪のとりすぎにはご注意ください。

涼しく冷やすツボ
体を冷やすなら、どこを冷やすのが効果的か。
すぐ思いつくのはおでこですが、おでこを冷やしすぎると、冷たさを敏感に感じて、熱を逃がさないようにする反応が起こりやすいと考えられます。
おすすめは、首。首は、救急救命士など専門家向けのマニュアルで、熱中症になった場合に、冷やすことがすすめられている場所の一つ。太い血管があるため、効率的に体を冷やすと考えられているのです。
※冷やしすぎや長時間の冷却は避けてください。

出典 NHK総合テレビためしてガッテン」2011.7.13(一部改変)
版権 日本放送協会



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