心臓を若返らせる3大ミネラル

2011.6.28放送のTV番組「みんなの医学」の紹介です。

心臓若返りの法則!「心臓を若返らせる3大ミネラル」とは?

『少し階段を駆け上がっただけで息が切れ、心臓はバクバク。』
年だなぁ…と感じる経験はありませんか?一体、どうすれば心臓の若さを保つ事ができるのか?
調査すると、ある興味深い事実を発見!
それは、急性心筋梗塞の年齢調整死亡率が日本一低いのは「島根県」というデータ。
(※厚生労働省 平成17年 都道府県別年齢調整死亡率)ならば、島根には心臓を若返らせる何かがあるはず!と、早速現地へ向かいました。

まず訪れたのは、これまで3万人以上の心臓を画像診断してきたスペシャリスト 田邊一明先生(島根大学医学部 循環器内科教授)。
先生によると、心臓の老化とは『心筋のしなやかさが失われること』だといいます。
<私的コメント>
以前に、徳島大学循環器内科教授の講演を聴く機会がありました。
冒頭、「徳島県は糖尿病死亡率全国ワースト1」という話から始まりました。
県別でもいろいろあるんですね。



心筋とは?
心臓を動かしている筋肉。心臓は他の臓器とは違い、ほぼ全てが腕や脚と同じような筋肉でできているため、加齢で身体が硬くなるように心筋も硬くなり、しなやかさを失ってしまう。
これこそが、誰にでもおこる心臓の老化。

そこで、心臓若返りのヒントを探しに、田邊先生と共にある島へ向かいました。
そこは、急性心筋梗塞の年齢調整死亡率が島根県で一番低い、つまり日本一低い島、隠岐諸島の最南端に位置する知夫里島(ちぶりじま)。
人口のおよそ半分が65歳以上のお年寄りですが、その多くが今も現役で漁業や牧畜などに精を出しています。


果たして、島の皆さんの心臓は本当に若いのか?
心臓は、左心室が拡張することで心房から血液をとりこみ、収縮することで大動脈から全身へ血液を送り出しています。
加齢により心筋のしなやかさが失われて硬くなると、左心室の機能が低下し、血液を引き込む際に拡張する瞬間のスピードが遅くなるのです。

そこで、心エコーで島の皆さんの左心室の拡張スピードを測定し、年代別平均値と比較して心臓年齢を割り出すことに。

結果、27人中なんと3分の1の9人が実年齢より10歳~20歳も若い心臓の持ち主だったのです!

  図については
  http://kenko.asahi.co.jp/broadcast_dtl.php?broadcastId=61#theme_161
  を参照下さい。

中には、ご夫婦揃って若かった方も。
牧畜業を営む川本巌さんは、78歳にして心臓年齢は60代。
奥様のさち子さんは、71歳で50代の心臓でした!
そこで、お二人の生活を見せて頂き、心臓を若く保つ方法を探ることに。
※お二人には歩数計をつけてもらい、一日の運動量も調べました。

午前5時
 朝食。煮物に目玉焼き、塩鮭、お豆腐の味噌汁、納豆。しかも、ご飯は大盛り!
午前5時半
 二人揃って牛舎へ。牛舎を中心に3ヶ所の牧場を回ります。
午前7時
 30度以上の急傾斜をのぼり、牛を放牧している山へ。毎朝牛に餌をやり、健康状態を確認します。
午前9時
 朝の仕事を終え、帰宅。オヤツにバナナを食べると、お父さんは山へ牧草刈りに。
 お母さんは自家菜園で畑仕事。
 島では、ほとんどの家庭が自家菜園を持っており、野菜はほぼ自給自足です。
午前11時半
 昼食。
 毎日毎食が、島で採れた海の幸・山の幸のゴチソウばかり。
 昼食後は再び仕事へ。
午後6時半
 夕食の支度。
 とにかく品数が豊富で、島で採れる新鮮な旬の食材に溢れた夕食です。
午後8時 就寝。
 歩数計は、巌さん【7985歩】 さち子さん【9540歩】。
 70代にしては、お二人とも立派な運動量でした。

心臓の若さを保つご夫婦の生活から、先生が注目したポイントは?
ご夫婦の生活を田邊先生に観てもらい、心臓年齢の若さのポイントを探ってもらうことに!

【心筋若返りポイント①】仕事
まず、先生が注目したのは仕事の様子。
斜面を登ったり下ったりすることで、“第二の心臓”と呼ばれる脚の筋肉が鍛えられていると思われます。
川本さんに限らずこの島の人々はみな、脚の筋肉が鍛えられていることが心臓年齢の若さに繋がっていると考えられます。

【心筋若返りポイント②】食事
特に注目したのは、「バナナ」と「海藻」。
知夫里島では、昔からバナナが貴重なオヤツ。
島の人たちの多くが毎日1本は食べていると言います。
実は、バナナにはマグネシウムカリウムが、そして海藻にはカルシウムが豊富に含まれています。
全身に血液を送り出すポンプである心臓は、絶え間なく拡張と収縮を繰り返しており、心筋の拡張にはマグネシウムが、そして収縮にはカルシウムが作用しています。
この2つのミネラルを十分に摂る事が心筋の若さを保ち、正しい拍動を刻むカギ!
そして、もう1つのミネラル、カリウムは体内の過剰な塩分を排出して高血圧を防ぎ、心臓への負担を減らすことで心筋の若さを保つのに役立ちます。
川本さんを始め、島の人たちは、「マグネシウム」「カリウム」「カルシウム」の3つのミネラルを摂っていることが、心筋の若さを保つ大きな要因だと考えられます。

心筋そのものが老化することで機能が落ちていきますし、動脈硬化によって血液(栄養)が十分に心筋に行き渡らない事も、機能が落ちる原因となります。
そうなると細胞が死滅し、心筋のしなやかさが失われてどんどん硬くなっていきます。
若い心臓はコンニャクのような弾力がありますが、細胞が死んで硬くなると硬式テニスボールのような硬さになります。
一旦硬くなると元に戻りませんので、そうなるまでに食生活などを改善することによって、しなやかな心臓を維持することが大切です。


Q:加齢によって衰えた心筋を若返らせるには?
A:ポイントが大きく2つあります。
動脈硬化を予防し、心筋に負担をかけない。
② 3大ミネラルを多く摂る食生活や運動をすることで、心筋に十分な栄養を行き渡らせる。
これらを実現することで、機能をある程度アップさせることができます。

【心臓を若返らせる!】家庭でできる 心筋若返りレシピ
バナナ、魚、海藻類を毎日食べる事で、心筋に欠かせない3大ミネラルを豊富に摂っていた、島根県知夫里島の人たち。
その食事内容を、順天堂大学の管理栄養士・髙橋徳江先生に分析してもらうと…

知夫里島の平均的な食事に含まれる3大ミネラルの摂取量は、ミネラルの不足しがちな日本人の平均値(※1)はもちろん、厚生労働省が勧める1日の理想摂取量をも大きく上回っています。そして、カルシウムとマグネシウムの比率が2対1と、ベストなバランス!さらに、良質のたんぱく質をしっかり摂っています。たんぱく質は全体のカロリーの20%を摂取するのが目安ですが、知夫里島の1日平均たんぱく質摂取量はまさにその通り。』

つまり、このゴールデンバランスの食事こそが心筋をしなやかに若々しく保つ秘訣だと考えられます。

しかし、毎食これだけの品数を食べるのは至難の業…。
そこで、知夫里島のゴールデンバランスを一皿で摂れる夢のメニュー作りに挑戦!

レシピ作りをお願いしたのは、もちろん…
カリスマ家庭料理研究家奥薗壽子さん
知夫里島の皆さんは、沢山のお野菜を召し上がっていてこの量を摂られていると思うのですが、それを一皿に食べられる量でまとめるのは非常に難しいかと思います。』

3大ミネラルを豊富に、しかもバランスよく一皿に凝縮するのは、さすがの奥薗さんにも簡単にはいかないよう…。
果たして、奥薗さんはこの難問をどう解決するのでしょうか?

【今回の条件】
知夫里島の一食の3大ミネラルの平均摂取量をクリアした上で、
● カルシウムとマグネシウムのバランスが2~3対1
たんぱく質が総カロリーの20%程度
…というゴールデンバランスを目指すこと!!

『心筋を若返らせる!ゴールデンバランス ワンプレートレシピ』
●鶏そぼろのバラ寿司 1人分739kcal、たんぱく質34g
●サバのお好み焼き  1人分664kcal、たんぱく質39g
●サラダ鉄火丼    1人分917kcal、たんぱく質39g


<私的コメント>
島根大学医学部といえば家森・元教授(当時は島根医大)が有名です。
家森先生は、世界各地を歴訪して食事と健康の関係についてのフィールドワークをされた有名な先生です。
随分以前になりますが、家森のされた業績についてはこのブログでもとりあげました。

さて、この番組では血圧のことについては触れていないようです。
それが少し残念でした。
カリウムマグネシウムを多く摂取していれば血圧も下がっている可能性があります。
もちろん運動も血圧を下げます。
血圧が下がれば心臓への負担も軽くなるからです。

出典 たけしの健康エンターテインメント!みんなの家庭の医学 6月28日放送 19:00 - 21:48
版権 テレビ朝日

    
イメージ 1

    
    2011.7.18撮影 蓼科・長野 「オーベルジュエスポワール」
(これはホテルの竃です 汗)




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