痛風 内臓や魚介類は要注意

痛風生活習慣病の一つ。
重症化すると「風が吹いても痛む」ことが名前の由来と言われます。
血液中の尿酸濃度が高くなり、手足の関節に激しい痛みを伴います。
尿酸値を下げるために、バランスの良い食事、運動を続けることに勝るものはないようです。

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血液中の尿酸値が高い状態が続くと、関節などに尿酸がたまる(結晶化)。
その結晶がはがれ落ちたとき、白血球が結晶を異物と認識して攻撃し、そのときに起こるのが痛風の痛みだ。

厚生労働省国民生活基礎調査(2007年)によると、痛風で通院している患者は約85万4千人。
そのうち、男性が約9割を占める。
長年、患者の動向を調査している帝京大学の藤森新教授(代謝学)は「発症するのは30代が最多で、20代もまれではない。痛みがまだ出ていない予備軍を含めると、患者の10倍、約900万人はいる」と説明する。

尿酸の蓄積は、健康診断でも示される尿酸値で知ることができる。
日本痛風核酸代謝学会のガイドラインは、1デシリットルあたりの血清尿酸値が7ミリグラムを超えると、年齢・性別を問わず「高尿酸血症」と定義、つまり予備軍の仲間入りとなる。
ただ、尿酸値が高くても発症しない人もいる。

現在約2千人の痛風患者を受け持つ、東京・両国の「両国東口クリニック」の大山博司理事長は「痛風を起こす割合は、尿酸値が7ミリ台で1割、8ミリ台で2~3割、9ミリ以上でも4~5割ぐらい。発症しない原因は詳しくわかっていません」と話す。

同クリニックでは、飲み薬と生活習慣の改善を指導し、2年間、尿酸値を6ミリ以下に維持させることを目標にしている。
「そうすれば結晶はほぼ消失します」と大山さん。

尿酸値が高いまま放置すると、心筋梗塞脳梗塞など血管障害のリスクが高くなり、腎不全や尿路結石になる頻度も高くなるという。

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では、尿酸値が高くなりやすいのはどんな人か。
肥満、ストレス、飲酒など生活習慣の乱れ、高尿酸化の「悪役」の代表格、プリン体や脂質の高い食品の過度な摂取が上げられるが、藤森教授は「ファストフードなどの外食が多く、酒を飲む機会の多い働き盛りの30~40代の男性は要注意」と指摘する。

プリン体は細胞に含まれており、生物すべてが持っている。
学会のガイドラインは、プリン体の1日の摂取量が400ミリグラムを超えないことを勧めている。
プリン体の代表的なものは内臓や魚介類。昨今、肉や魚をじっくりと煮込んだラーメンが流行しているが、1杯分で200ミリグラムに達するものもあるという。

しかし、大山さんは「プリン体の摂取量をあまり細かく気にしすぎると何も食べられなくなる」と説明する。
1日分のカロリーが2千キロだった人は1800キロに抑えるとか、酒量をこれまでより減らすとかして、高プリン体をなるべく取らないよう普段から意識することが重要だという。
(石塚広志)

●インフォメーション
痛風財団のサイト(http://www.tufu.or.jp/)で全国の医療機関や食品のプリン体含有量などが紹介されている。
マグロなどに含まれる「アンセリン」には尿酸値を下げる効果があるとして一部専門医に注目されている。
大山理事長が患者約30人にアンセリン抽出の錠剤を3カ月飲んでもらったところ、平均0・5ミリグラム下がったといい、分析を急いでいる。

出典 朝日新聞・朝刊 2010.11.30(「アピタル・元気のひけつ」)
版権 朝日新聞社

<関連サイト>
【尿酸問題】食品中プリン体含有料一覧表
http://blogs.yahoo.co.jp/ms_acupun/7288870.html


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