インフルエンザ… 今年はA香港型が9割

インフルエンザの流行が本格化している。
今季は、2009年春~10年に大流行した「新型」(H1N1)はごくわずかで、A香港型が9割を占める。
インフルエンザウイルスの特徴や注意点、予防法にはごんなものがあるだろうか。(野村昌玄)


インフルエンザウイルスはA、B、Cの三つの型があり、大きな流行を引き起こすのは、AとBの二つだ。

表面は、ヘマグルチニン(H)とノイラミニダーゼ(N)という2種類のたんぱく質のトゲに覆われ、人の鼻の穴や喉の粘膜などに取り付き、Hのトゲで細胞内に侵入。
新たに増殖したウイルスは、Nのトゲで細胞から切り離されて増えていく。

A型の場合、Hが16種類、Nが9種類あり、人間に感染するもの、鳥や豚など動物にしか感染しないものがある。
A香港型はH3N2、ヒトへの大流行が懸念される強毒性の鳥インフルエンザはH5N1だ。
B型はほぼ人にしか感染せず、HとNはそれぞれ1種類だ。

09年の発生当初、若年層に死者や重症者が目立ったH1N1は、高齢者が重症や死亡の中心になるなど特徴が通常の季節性インフルエンザと変わらなくなった。
国は11年3月、「新型」から季節性の「インフルエンザ(H1N1)2009」へ呼び方を変えた。

国立感染症研究所感染症情報センターによると、全国の小児科や内科など約5000医療機関の1施設あたりの患者数は、11年12月初めに流行の目安である1を超えた。
流行は中部・中国地方を中心に始まってから四国・関西地方にも広がり、最新週(12年1月16~22日)は22・73人に増えた。

ウイルスの内訳は、A香港型が5シーズンぶりに流行の中心となり90%を超え、B型が9%。
一方、インフルエンザ2009は1%に満たない。

同センター主任研究官の安井良則さんは「A香港型は、乳幼児には脳症、高齢者は細菌感染による肺炎を招き、重症化するケースも目立つ。ここ数年流行から遠ざかっていたこともあり注意してほしい」と呼びかける。

インフルエンザは主に、せきやくしゃみでつばが飛ぶことによる「飛まつ感染」と、ウイルスが付着した手で口や鼻などに触れる「接触感染」で広がる。

予防の基本は手洗い。手のひらや手の甲、指先や手首などを最低15秒以上、せっけんと流水で洗う。
せきやくしゃみなどの症状があれば、マスクを着用。ティッシュなどで口と鼻を押さえ、周囲から1メートル以上離れることなどを心がける。

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国立感染症研究所感染症情報センターが公表している発生動向調査は、全国の医療機関の受診者数を1週間ごとに集計する。
このため、実際の状況からは10日前後の遅れが生じる。

そこで同センターは2009年4月から、全国の薬局に協力を求め、薬局が抗インフルエンザ薬を処方した数を集計。
患者数を推定する「薬局サーベイランス」をウェブサイト上で公開している。

前日のデータに基づく推計値が翌日には公開されるため、現在の状況に近い傾向がわかる。

全国の薬局の13%にあたる約6700か所が参加。
過去2シーズンとの比較や、都道府県別の流行状況なども示される。

出典 読売新聞 2012.2.4
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