ドライアイ 冬は注意

目がしょぼしょぼする。午後になると、見えにくく感じる――。
それは、ドライアイかもしれません。
特に湿度が下がる冬場は、注意が必要です。

涙が目の表面に安定して広がるかが大切。
涙には、水の層、水の蒸発を防ぐ油の層、涙を均一に広げる働きを持つ分子「ムチン」の三つの要素が含まれる。
これらのどこに問題が起きても、涙で覆われない乾いた部分ができる。
その結果、目の表面が傷つきやすくなり、不快感や疲れが出るのがドライアイだ。

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見え方にも影響が出る。
まばたきをすると涙が広がり、通常10秒ほどはクリアな視界が続く。
だがドライアイだと涙が均一に広がらず、5秒以下でぼやけ始める。

ドライアイは涙の水分が減少する型や水分の蒸発が多い型、涙の量に異常はないのに水をはじいて涙が広がりにくい型の三つに大別される。
タイプごとに原因は違うが、現代の生活には危険がたくさん潜んでいる。
パソコンや携帯電話などの画面をじっと見つめるとまばたきの回数が減り、涙が乾く。
空調などの風にさらされても同様で、コンタクトレンズをつけていると涙の蒸発が進みやすい。

ドライアイの定義と診断基準は、ドライアイ研究会が1995年に発表した。
歴史はまだ浅いがドライアイの患者は増え続け、今や眼科を受診する患者の約2割がドライアイと言う。目の表面の環境を改善し、QOLを高めることが目標。ライフスタイルや環境が関係するため、自己管理も大事。

どのように日常生活の工夫をすればよいのだろうか。
まずは「からぶりまばたき」をやめる。
下まぶたと上まぶたが完全につく前に、まばたきをやめてしまう人がいる。これでは、涙が広がらない。意識して時折、しっかり閉じてみる必要がある。
加湿器の活用のほか、マスクをすると自分の吐く息が蒸気として目に届き、天然の加湿器の役割になる。

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意外と知られていないのが、涙と副交感神経との関係だ。
リラックスすると副交感神経が優位になり、涙が多く分泌される。
頑張らなくてはと力んでいると涙は出にくい。
作業を楽しみ、ストレスをコントロールできるとドライアイになりにくくなる。
座りっぱなしでパソコンの画面を見続けるのでなく、1時間に10分程度、休憩を入れて目を休めることも重要だ。

治療の基本となる目薬には、水分を補う成分や保水作用を持つ「ヒアルロン酸」入りがある。
10年末以降、ムチンなどの分泌を促進させる2種類の処方薬が登場。
これまで治りにくかった人にも効くと注目されている。(辻外記子)

◆相談ナビ
約500人の専門医でつくるドライアイ研究会のウェブサイトは、ドライアイの原因や予防法、日常の注意点、治療法、約200人の会員名などを紹介。


出典 朝日新聞・朝刊 2012.2.9(一部改変)
版権 朝日新聞社