過度な飲酒「脳萎縮」招く? 認知症の原因にも 脳ドック検診で確認を
飲み過ぎは体によくない。一部のがんになるリスクが高まるだけでなく、認知症と関係があるとみられる「脳の萎縮」を進行させるとの見方もある。
体質的にアルコールをあまり受けつけないタイプの人が飲酒量を増やした場合、最も気をつけなければならないと専門家は指摘する。
Aさんは若い頃からお酒が大好き。
平日は仕事後に缶ビール(500ミリリットル)2~3本、週末には朝から晩まで飲み明かすことも。
「まさかアルコールで脳の萎縮が進行するとは思ってもみなかった」
平日は仕事後に缶ビール(500ミリリットル)2~3本、週末には朝から晩まで飲み明かすことも。
「まさかアルコールで脳の萎縮が進行するとは思ってもみなかった」
2008年、米ウェルズリー大学などの研究チームは、飲酒量が多いほど脳全体の容積が縮小するとする調査結果を発表した。
平均年齢60歳の男女1839人を飲酒量に応じて5グループに分け、磁気共鳴画像装置(MRI)を使って脳容積を測定した。
最も萎縮の割合が高かったのが大量飲酒者のグループだった。
一方、全く飲まないグループの萎縮の割合が最も小さく、アルコールと脳の容積の間には有意な関連性が認められたとした。
平均年齢60歳の男女1839人を飲酒量に応じて5グループに分け、磁気共鳴画像装置(MRI)を使って脳容積を測定した。
最も萎縮の割合が高かったのが大量飲酒者のグループだった。
一方、全く飲まないグループの萎縮の割合が最も小さく、アルコールと脳の容積の間には有意な関連性が認められたとした。
国内でも千葉大学の研究者らが同じような結果を報告している。
10年ほど前の研究だが、脳萎縮の特徴とされる前頭葉の「隙間」を計測したところ、日本酒換算で1日2合以上飲酒するグループの脳萎縮発現率は38.2%で、これ以下の飲酒のグループと比べて13ポイント以上も高かった。
10年ほど前の研究だが、脳萎縮の特徴とされる前頭葉の「隙間」を計測したところ、日本酒換算で1日2合以上飲酒するグループの脳萎縮発現率は38.2%で、これ以下の飲酒のグループと比べて13ポイント以上も高かった。
東京医科大学病院の羽生春夫教授は「脳の萎縮は加齢に伴って50歳以降に始まるのが通常だが、飲酒量の多い人はそれよりもやや早く始まる傾向にある」と指摘する。
過度な飲酒が悪影響を与えるのは何も脳だけではない。
アセトアルデヒドはDNA(デオキシリボ核酸)を傷つけ細胞をがん化させる。
喉頭がんや食道がんなどになる危険性が最も高いのは、ある程度は飲めるタイプで、日本人の約4割が該当する。
体質的には酒に強くないにもかかわらず、「慣れ」によって飲み過ぎてしまうため、病気を引き起こすリスクを高めてしまうようだ。
喉頭がんや食道がんなどになる危険性が最も高いのは、ある程度は飲めるタイプで、日本人の約4割が該当する。
体質的には酒に強くないにもかかわらず、「慣れ」によって飲み過ぎてしまうため、病気を引き起こすリスクを高めてしまうようだ。
飲酒の習慣を改めるにはアルコールをいきなり断つのではなく、まずは、節酒を心掛けることが大切だ。
酒への依存度を知ることから始めよう。インターネットなどに掲載されているスクリーニングテストを利用すれば誰でも手軽に判断できる。
「日記」つけ節制
次に飲酒量をどこまで減らすのか目標を設定する。
慶応義塾大学の加藤真三教授は「できるだけ具体的に目標を設定した方が効果的」という。
設定したら「飲酒日記」を毎日つける。
飲んだ相手や酒の量などを細かく記録し、達成できたかどうかを「○」「×」で書き留める。
減らそうとする努力を「見える化」するのが長続きさせるポイント。
次に飲酒量をどこまで減らすのか目標を設定する。
慶応義塾大学の加藤真三教授は「できるだけ具体的に目標を設定した方が効果的」という。
設定したら「飲酒日記」を毎日つける。
飲んだ相手や酒の量などを細かく記録し、達成できたかどうかを「○」「×」で書き留める。
減らそうとする努力を「見える化」するのが長続きさせるポイント。
脳がどの程度萎縮しているのか確認するには「脳ドック」を受けるしかない。
東京クリニック(東京・千代田)には年間2000人弱が脳ドックの検診に訪れる。
「脳の萎縮具合を直接目にすることは、禁酒や節酒のいい動機づくりになる」(笹沼仁一・健診センター長)。
検診がきっかけで酒を断った人も多くいるという。(上林由宇太)
東京クリニック(東京・千代田)には年間2000人弱が脳ドックの検診に訪れる。
「脳の萎縮具合を直接目にすることは、禁酒や節酒のいい動機づくりになる」(笹沼仁一・健診センター長)。
検診がきっかけで酒を断った人も多くいるという。(上林由宇太)
ひとくちガイド
《ホームページ》
◆飲酒と健康の関係について基本的な情報を得るには厚生労働省の「e―ヘルスネット」
http://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/alcohol/a-01-013.html
《ホームページ》
◆飲酒と健康の関係について基本的な情報を得るには厚生労働省の「e―ヘルスネット」
http://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/alcohol/a-01-013.html