血管・骨・肌・内臓を早く老化させる犯人が判明!

昨夜のTV健康番組「みんなの家庭の医学」。
興味深いタイトルだったので観られた方も多かったのではないでしょうか。
実は、この番組で「犯人」とされる「AGE」は医学会でも注目されており、私も最近糖尿病関連の講演会で番組に出て来る山岸昌一教授のお話を聞いたばかりです。
以下は番組の要約です。

血管・骨・肌・内臓を早く老化させる犯人が判明! 全身の老化を徹底予防

老け顔、顔が老けるのは年齢だけが原因ではない。
血管、骨、肌、内蔵を早く老化させる犯人が判明!

●新事実、老け顔の人は早死にする危険性が高い
デンマーク大学医学部・クリステンセン教授のお話。
研究対象になった双子、老けて見える方、913人の双子の老けて見えたほうが死亡率が1.9倍高い。老け顔の人は全身の老化も早いということか?

●見た目の老化ポイント
神戸大学・市橋名誉教授のお話。

1目尻のしわ
2下まぶたのしわ
3ほうれい線
4くちもとのたるみ
5顔全体が落ちる

柔軟性年齢、転倒などで骨折などのリスクが高まる
血管年齢、高くなるほど動脈硬化が起こる可能性が高い、脳梗塞心筋梗塞の可能性も。

●老けて見えるほど、体の中で老化も高いことが判明している
久留米大学・山岸昌一教授のお話。

老化を進める悪玉物質の存在がある。
AGEというのが原因?
AGEこそ、全身の老化を進める原因物質であることが判明。
血管の中の写真に写る黒いつぶつぶ。

正常な骨、AGEが溜まると、白い骨が茶褐色になり、AGEが溜まった骨のほうが折れやすい。
目も同じで、AGEのせいで網膜の血管が切れやすくなる。

AGEで皮膚の繊維が変形して弾力性を失う。
弾力性がなく、たるんだり、しわが伸びなくなる。
白目に見える黄色いしみ、これもAGEの塊です。

●なぜAGEが体に溜まるのでしょうか?
老化はパンツのゴムひも 使っていると緩むと思っていた。
そういった単純な話ではないことがわかてきた。

肌や脳に悪玉物質であるAGEが溜まるのが原因とわかった。
たんぱく質にあるものがくっつくと老化を早めるAGEになる。

コラーゲン たんぱく質の代表 細胞と細胞を繋ぐ接着剤の役割をしている
体のいたるところにあり、真皮の70%、骨の30%血管の20%
牛のアキレス腱のコラーゲン こんにゃくみたいにぷるぷるしている。
あるものをがくっつくと、茶褐色になる。

たんぱく質に糖分がつくとAGEになる
(浦島太郎の玉手箱にはいってたヤツだなとたけし院長)
原因の透明の液体。飲むと甘い。水あめみたい。
液体はガムシロップ。

特に問題は、血管の壁のコラーゲンに糖分がくっつくと、血管がAGEに変化。
カチカチになって、動脈硬化が起こる。
その結果脳梗塞心筋梗塞につながる。
つまり、同じ年齢でAGEが多く溜まっていると老けて見えて、少ないと若く見える
AGE年齢検査というのでわかる。

●AGEが高くなる原因
血糖値が高い、血糖はエネルギーになる 
糖分があまるとたんぱく質とくっついてAGEになる
AGEを多く含まれる食品を食べる。

●AGEが多く含まれる食べ物や飲み物とは?
2004年食材ごとAGE量を調べたものがある。
AGEが少ないのは牛乳、野菜、炭水化物
AGEが多いのが魚、肉、脂肪の多い食べ物

食品に含まれる量は多くないので神経質にならなくていい。

●調理法によってAGEの量が変わる
焼くのとゆでるので量が1.5倍も変わる。
AGEが最も多くなる鶏肉の調理法は、から揚げ。
アメリカのデータでは、ゆでるのがAGE1に対し、焼く6倍、揚げる10倍。
高温になると肉の中にあるたんぱく質と糖分が結合しやすい。
しかし食べ過ぎなければ大丈夫。
焼いたり揚げたり高温で調理するのは食欲増進、食中毒の予防になる。

卵の調理法では玉子焼きが一番老化を早める。
スクランブルエッグや、オムレツに比べて目玉焼きは加熱時間が長く高温でAGEが溜まる。
ゆで玉子のAGE量は、スクランブルエッグの半分程度でゆで玉子が実は一番AGEが少ない。
(調理時間が長いものほど熱が加わり、AGEを形成しやすい)

●どうやってAGEを防止するのか?
らくらく出来るAGEをためず、体を若く保つ方法。
一般の健康診断は空腹時血糖だけなので食べた後の血糖はわからない。
血糖は正常だと食べて上がっても、2時間後には戻る。
だが、老化すると血糖が戻るまでに時間がかかり、AGEが作られやすい状態になる。

●食後の血糖値を下げる方法
1日一食はAGEの低い方法で調理する
野菜から先に食べる 糖尿病や高血圧の防止になる
食後10分で運動をする 皿洗いでいい。

血糖値が一番上がるのが食後1時間後、すぐ体を動かすことで血糖値を下げられる。


老化を防ぐ解決法:AGEを抑えるには
http://kenko.asahi.co.jp/doctor/broad_120529.php
(山岸昌一教授のコメント)
■我々人間は、毎日の食事でとる炭水化物などの糖分をエネルギー源として活動しています。
小腸から吸収された糖分は、血液の流れにのって全身の細胞に運ばれ人間の体を動かしているのです。
糖分が血液中にどれくらい存在するかを示すものが、検診などで測る「血糖値」です。
人間に欠かせない糖分ですが、過剰摂取し血液中にあふれかえってしまう状態(高血糖)が続くと、糖尿病などの生活習慣病のリスクを高めてしまうのです。

■しかし、その血液中にあふれかえった糖分が老化をも引き起こすとしたらどうでしょう?
実は糖分は老化とも深い関わりがあることが最近分かってきたのです。
血糖値は高くないから自分は大丈夫と思っている人や検診で異常なしと診断された人でも、意外と食後に血糖値がポーンと跳ね上がってしまい、糖があふれている人が結構いらっしゃいます。
こういう方の体の中で起こっている現象を説明しましょう。

■あふれかえった糖分は、血管や筋肉、内臓など体を構成するたんぱく質にお菓子のようにベタベタとくっついていきます。
すると糖まみれになったたんぱく質は変性し、最終的にAGE(エージーイー)という老化を促進させる物質になります。
このAGEが体に溜まることで、体中の組織がどんどん劣化し、固くもろくなってしまうのです。
結果、心筋梗塞脳梗塞の原因となる動脈硬化が進行したり、アルツハイマー病、骨粗鬆症、がんなどがおこってくることがわかってきました。

■また肌のしわ、シミ、たるみ、関節の変形、歯周病などにもAGEが関わっています。
人間、生きていく上で糖分は必要ですから、AGE化は避けては通れない現象です。
さらにAGEは我々が毎日摂っている食品の中にも含まれているので、AGEを多く含んだ食品を頻回に食べていると体の中にAGEが取り込まれ、老化が進んでいきます。

■しかし、その一方でいつまでも若々しく見える人がいるのも事実です。
つまりそれは、日頃の生活次第、ちょっとした工夫次第でAGEはコントロールできるとういうことです。
ポイントは、「食後の血糖値を上げない」ことと「食品からあまりAGEを摂らない」こと。
まずは、自分のAGE度(老化度)チェックから始めてみましょう。

■老化は避けて通れないものだとあきらめてしまわずに、一人でも多くの方にAGEを体の中に溜め込めないライフスタイルを身につけましょう。

<私的コメント>
AGEと糖尿病の関係が頭の中で少し混乱しています。
糖尿病 → 体内のAGE増加 → 老化。
少なくとも糖尿病の人は「老け顔」の人が多いという理屈ですが、実際はそうでもありません。


<関連サイト>
http://kenko.asahi.co.jp/broadcast_dtl.php?broadcastId=86
(「みんなの家庭の医学」の公式サイト。イラストが入っていて非常にわかり易い内容となっています)
http://www.nhk.or.jp/asaichi/2011/07/13/01.html
(昨年7月13日放送のNHKTV「あさイチ」でもAGEが紹介されました)

<AGE豆知識>
■AGE年齢は、AGEリーダーというもので測定できる
■<おいしさの方程式> メイラード反応 タンパク質×熱=茶色で美味
■<老化の方程式> (タンパク質+糖)×時間=AGE(Advanced Glycation End-products)終末糖化産物
■血液中に糖が多い場合、糖が血管の外にしみ出す。
つまり糖化が起こる。コラーゲンは、糖の影響をうけやすい。
老化はコラーゲンの糖化。
■AGEは、水晶体、血管、骨、皮膚などタンパク質の代謝の遅い組織にたまる。
血糖値が高い場合、糖化反応が加速する。
糖尿病は、単なる血管病ではなく全身の老化を加速する。
■<糖尿病で増えるリスク>
動脈硬化 … 2~3倍
白内障 … 5倍
認知症 … 2倍
骨折 … 2倍


<追加>
今朝のNHKのTV番組「あさイチ」でもAGEの話題をとりあげていました。

「イチおし 美と健康の宝箱 ナッツ 」
http://www.nhk.or.jp/asaichi/2012/05/30/01.html


<自遊時間>
ある週刊誌のグラビア写真で紹介されていた「東京『珍名』病院めぐり」より。
医療機関の承諾を得ているかどうかは不明。

しもふり歯科
おまた眼科
おでき薬局
プロ歯科
こわせ歯科医院
しゅっとう医院
執行クリニック
いつか歯科
うみがめクリニック
いるかクリニック
さど接骨院
あさ歯科医院
ひるま歯科医院
熊の前歯科クリニック
うんのクリニック
元内科・胃腸科クリニック
たもり内科クリニック
You矯正歯科
わかすぎ小児科クリニック
うかり整形外科
サウジ歯科クリニック
おばま歯科

(これらの医療機関の先生が見られたらごめんなさい。あくまでも週刊誌の記事の紹介であり他意はありません。)


読んでいただいて有り難うございます。
コメントをお待ちしています。

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