大腸憩室炎

大腸憩室炎、食の欧米化で増える 食物繊維で予防を


腸壁の弱い部分が外に向かって膨らみ袋状になった部分に、細菌感染や便がたまるなどして炎症が起こると、痛みに襲われる。これが大腸憩室炎。
食生活の欧米化などで患者が増える傾向にあるという。

年齢とともに増加
■大腸の腸管の内壁の一部が外側に向かって袋状に飛び出したのが憩室だ。
内視鏡でみると、くぼみのようになっている。
大腸の検査をすると、10人に1人程度の割合で、憩室が見つかるという。

■憩室の数は人それぞれ。
一つとは限らず、複数ある人もいる。
憩室ができる割合は年齢とともに増加する。

■大腸憩室は上行結腸や大腸の手前にある盲腸に近い「右側大腸型」が一般的。
最近は、肉食や高カロリーの食事などが原因で、欧米人と同様のS状結腸付近にできるケースも増えている。
左右両方に憩室がある人もいる。

■大腸憩室があっても多くの人は無症状。
なかには下痢、軟便、便秘などの便通異常や腹部膨満感、腹痛といった症状が出る場合もあるが、それほど深刻ではない。

■しかし、憩室に細菌や便などがたまり炎症を起こす大腸憩室炎になると、強い腹痛や腰痛などが生じる場合が多い。
下痢、発熱、便に血が混じるといった症状も伴いやすい。
上行結腸に起きた憩室炎の場合は、急性虫垂炎と判別が難しいこともある。

■通常、憩室炎が疑われた場合は点滴による抗生剤投与で炎症を治める。
それまでは絶食する。
通院治療も可能だが、入院治療を勧めるのがほとんど。
症状が軽ければ4、5日から1週間程度で退院できる。

■憩室炎が進行し重症化するケースもある。
腸に穴があく穿(せん)孔、せん孔性腹膜炎、狭窄による腸閉塞など。
穿孔が起こると、腹の中が便だらけになってしまい、合併症(腹膜炎など)を起こす危険が高まる。
その場合は緊急開腹手術で、内臓を洗って穴が開いた部分を取り除いてつなげる。
一時的に人工肛門にすることもあり、その場合には患者の負担が増す。

■一方、抗生物質が効きにくく、繰り返し憩室炎を起こす患者には腹腔鏡手術を実施する。

早めの受診が大切
■大腸の憩室ができるのを防ぐ手立てはない。
憩室炎も確実に予防するのは困難。
ただ、食事で食物繊維を多く含む野菜などを多くとるよう心がけることは予防に役立つ可能性がある。
また、便秘をしないよう整腸剤などで便通をコントロールすることも大切。

■腹痛などを放っておくと憩室が破れるなど重症化する例もあるので、体に異変を感じたら早めに受診を。

■血液検査で白血球の値が異常に高いケースで、レントゲンやコンピューター断層撮影装置(CT)で撮れば、大腸憩室炎かどうか分かる」(太田センター長)。便検査や大腸内視鏡検査などを事前に受けておくのも有効だ。

■最近は大腸がん患者が増えているが、大腸に憩室があっても、がんとは直接関係ない。
ただし食物繊維の摂取量が極端に少ないと、大腸がんのリスクが高まる可能性があるとの研究成果も出ている。


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出典 日経新聞 Web刊 2013.9.6
版権 日経新聞


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下部消化管出血と大腸憩室
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大腸憩室症・大腸憩室炎の原因・診断・治療
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