長引く咳にご用心

「長引く咳にご用心」

風邪をひきやすい季節は咳が続いても「風邪のせい」と考え市販薬を飲んで過ごす人も少なくありません。
しかし、長引く咳や決まった生活の局面で起こる咳などは注意が必要です。
特に見逃せないのは3週間以上長引く咳です。


長引く咳の主な原因と特徴

【咳ぜんそく
・夜間や明け方に咳が出る
・たばこや香水の臭いをかいだ時、ペットの家に行った時など決まった局面で咳が出る
・風邪をひいたあとに咳だけ残る
・家族にアレルギー体質の人がいる

気管支拡張薬と吸入ステロイド薬で治療します。
多くの場合は1~2週間で症状が治まりますが、気道の炎症が完治するまで少なくとも2~3カ月の治療が必要です。

【百日咳・マイコプラズマクラミジアなどの感染症
・風邪のような症状があった
・成人が百日咳にかかると咳は出るものの比較的元気で熱が出ないことが多い
マイコプラズマ感染症は咳が弱いことも強いこともある
マイコプラズマ肺炎は50歳くらいまでの健康な人がかかりやすい

逆流性食道炎
・横になると咳が出やすい
・食後に咳が出る
・胸やけがする
・口に苦いものが上がってくる

逆流した胃液や胃の内容物が気管に入った刺激で咳が出ると考えられており、咳ぜんそく患者の約4割が逆流性食道炎だという欧米の報告があります。  
プロトンポンプ阻害薬という胃酸の分泌を抑える薬を約2カ月ほど服用するを1~2週間で徐々に症状は治まります。
私的コメント
「咳ぜんそく患者の約4割が逆流性食道炎」・・・ちょっと不可解な表現です。
「咳ぜんそく」と「逆流性食道炎に伴う咳」は全く別の概念だからです。

【慢性副鼻腔炎
・のどがゴロゴロして咳がからむ
・鼻水がのどに落ちる感じがする
・口臭が気になる

鼻水が鼻の奥からのどに落ちることで気管支に炎症が起こり長引く咳の原因となります。
副鼻腔炎気管支症候群)
抗菌薬と去たん薬での治療になり、3カ月以上の薬の服用が必要になります。

【薬の副作用】
・高血圧治療薬アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬の副作用で咳が出ることがある

慢性閉塞性肺疾患(COPD)】
・息切れする
・昼間動くと咳がでる
・動いた時に苦しい
・喫煙歴がある

結核
・血の混じったたんを伴う咳が出る
・胸部レントゲンで陰影
私的コメント;ただし一見正常にみえる気管支結核もある

【海外旅行帰国後の軽い咳】
東南アジアの風疹流行国へ旅行して風疹に感染してしまうことがあります。
成人の場合5人に1人は症状が出なかったり、軽い咳や微熱のみで治ってしまします。
その際も感染後2週間ほどは人に風疹をうつす可能性があります。
旅行前に、風疹のワクチン接種を済まし旅行後2週間以内に風邪のような症状が出たら人の集まる場所を避け医療機関を受診しましょう。

【その他】
・百日咳、マイコプラズマ肺炎
私的コメント;高熱が出ず、胸部レントゲンでも異常な陰影が見られない場合もあります。

出典  日経新聞・朝刊 2013.12.21