アレルギー、食べて克服

文部科学省の調査で、全国の公立小中高校に通う児童・生徒の約4.5%が食物アレルギーを抱えているとされています。
アレルゲン除去食による対応が一般的ですが、アレルゲンを含んだ食物を少量ずつ食べて耐性をつけようという考え方が出て来ました。
正確には市民権を獲得したと言ったほうがいいのか知れません。
この考え方は特別に新しい考え方ではなく、多くの医師は一定の支持をして来た考え方です。
従来の医療現場の混乱はこういった考え方が十分には整理されていませんでした。
今でも「アレルゲン含有食はまったくダメ」という先生もいれば「少しぐらいならいい」といった先生もいます。
これが医療現場の混乱の一因でした。
こういった新しい治療法の出現で、一気に「少しぐらいならいい」派が増えるものと予想されます。

アレルギー、食べて克服 医師が指示、少量摂取で耐性

子どもの食物アレルギーの治療で、原因となる食べ物を少しずつ食べさせる方法が試みられている。
「食べない」という従来の考え方とは異なり、積極的にアレルギーの克服をめざすものだ。
医師の指示を受けながら一定期間、決められた量をきちんと摂取することが前提となる。

原因となる食べ物を少しずつ摂取して耐性をつけようという「経口免疫療法」が最近、新しい治療法として話題になっている。

この治療は、退院後も対象の食品を少しずつ食べ続ける必要がある。

食物アレルギーの患者は0歳児の5~10%、1~6歳児の約5%いるとされる。
成長とともに原因の食べ物に対する耐性が自然にできて、患者は減っていく。
その仕組みは解明されていないという。

経口免疫療法をするためには、原因の食べ物をどれぐらい食べられるかを判断しなければならない。
それには、実際に口に含む検査が有効だ。
検査は入院して実施した場合に公的医療保険が2006年に適用され、外来でも08年に対象になった。
しかし、この治療はまだ適用外。
研究段階のため、受けられる医療機関も限られている。

経口免疫療法の有効性は明らかになってきたが、治ったかの判断は難しい。
患者の安全を確保しつつどう取り組むかが課題となる。


調理法でリスクに差
食物アレルギーの子どもは、何をどれだけ食べてよいのか迷うこともある。

そのためには、対象の食品を使った料理やその調理法などの具体的な助言が必要になる。
同じ量の食材でも、調理の仕方でアレルギーを起こすリスクは変わる。
専門的なサポートが大切な所以(ゆえん)だ。

厚生労働省の研究班は、食物アレルギーの原因物質が加工食品に含まれている量を調べ、医師向けの「加工食品のアレルゲン含有量早見表」を2011年にまとめた。
食べられる量を指導するときは、アレルギー反応を起こさないと考えられる最大量の100分の1を示すとしている。

食物アレルギーに対応しているとうたう飲食店があるが、調理の仕方には基準がないので注意が必要となる。

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出典  朝日新聞・朝刊 2014.5.13(一部改変)
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