見逃しやすい病気 肺高血圧症

動悸・息切れ、肺高血圧症? 手術・薬で血管広げ治療  専門家少なく診断が課題

http://www.nikkei.com/article/DGXKZO85477310Z00C15A4EL1P01/

高血圧は体によくないことが知られているが、心臓から肺に血液を送る肺動脈の血圧が上がる「肺高血圧症」も、息切れや心不全などを引き起こす難しい病気の一つだ。
肺動脈の内側が狭まったり、血栓によってふさがったりして発症する。
詳しい原因はよくわかっていないが、薬や手術などの進化で治療成績は上がっている。
なるべく早く病気を確定診断し、治療を始めることが重要となる。

肺高血圧症は通常の高血圧とは関係ない。
高血圧の有無と肺高血圧症の発症しやすさとの間には関連もみられない。
日本人の多くが発症する通常の高血圧は全身の血管に大きな圧力がかかっている状態で、脳卒中や心臓病などのリスクを高める。
塩分の取り過ぎなど生活習慣が影響していると考えられている。

これに対し、患者が少ない肺高血圧症は肺動脈の細い血管が何らかの原因で狭くなるなどして圧力が高い状態になる。
肺動脈の圧力は健康な人では平均で20mmHg(ミリメートル水銀柱)以下だが、安静時に25以上あると肺高血圧症と診断される。
家庭にある血圧計などでは測れず、超音波診断装置やカテーテルを使って測る。


心臓の右側肥大
この結果、肺動脈に血液が流れにくくなる。
肺動脈がつながっている心臓の右側が圧力によって肥大し最終的には機能が低下して全身に血液がうまく行き渡らなくなる。

疲れやすくなるほか、動悸や息切れ、失神などが起こる。
初期は階段を上るなど体を動かしたときに症状が現れるものの、安静時は普通に過ごせる。
病状が進むと心不全になり、安静時でも症状が出るようになる。

肺高血圧症は5つのタイプに分類され、治療法も異なる。
代表的なのが血栓が肺動脈にできる「慢性血栓塞栓性肺高血圧症」(CTEPH)と、肺動脈の内側の壁が狭くなる「肺動脈性肺高血圧症」(PAH)。
国内の患者数は2タイプの合計で約4000人と推定されている。


カテーテルで改善
慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)は40代~70代の女性などに多い。
治療では血管壁についた血栓を取り除くのが目標となる。
手術や薬物療法カテーテルを挿入し血管を広げる手法もある。

一方、肺動脈性肺高血圧症は膠原病や先天性の心疾患と関連がある場合もあるが、原因がはっきりしない特発性と呼ぶタイプを20代の女性などが発症するケースもあるという。
治療では血管を拡張する薬などを使う。
約20~30年前までは5年後の生存率が4割程度にとどまっていた。
その後、効き目の高い薬が出てきたことで今では9割程度に高まっている。

課題は正確な診断だ。
肺高血圧症を発症しても最初は風邪やぜんそくなどとと診断され、診断が確定するのに1年かかることもある。
これには肺高血圧症の専門家が少ないことなどが影響している。

発症後に専門の医師に診てもらうまで平均で3年半もかかっている実態がある。
肺高血圧症の治療は進化している。
初期段階で正確に診断し、早く治療を始めることが重要となる。

参考  
日本経済新聞夕刊 2015.4.20(一部改変)



<私的コメント>
基本的な心電図や胸部レントゲン写真から肺高血圧症の診断の手がかりを得る場合もあります。

スクリーニング検査;心電図
http://pah.jp/dr/cph/03/03.html

肺高血圧症をみつけだすには
http://www5e.biglobe.ne.jp/~PH_RHF/detection.html