腱鞘炎からばね指に、手術も選択肢

スマホ使い過ぎ… 腱鞘炎からばね指に、手術も選択肢  「グー・パー」が効果的

指の使いすぎなどで起こる腱鞘炎は痛みを伴う。
さらに曲げ伸ばししにくくなると「ばね指」と呼ぶ状態になる。
指を伸ばしたときにバネのようにはじけるため、その名が付いた。
従来は重い物を頻繁に持ち上げる人に多かったが、最近はスマートフォンスマホ)などを長時間操作する人でもみられる。
指などを酷使しないことが大切だが、薬や手術で治療するのも選択肢となる。

手を握るなどする際に強い力を発揮する筋肉は前腕にある。その力を伝えるのがひも状の腱だ。指は手のひら側に屈筋腱があり、自由に曲げ伸ばしできるようになっている。この腱に力がかかっても浮き上がらないように抑えているのが腱鞘で、トンネルのような形をしている。

付け根に痛み
腱鞘炎は腱と腱鞘がこすれあって炎症が起こる。
指を動かすたびにこすれると、進行して引っかかりが生じ、ばね指になる。
手を握る際などに、指の付け根や関節に痛みが生じる。
重症化すると、指を曲げ伸ばしする際にゴリッという音が起き、激しい痛みを伴うこともあるという。
腱が炎症を起こし腫れて肥大し、腱鞘に引っかかってしまうのが原因。
この腱鞘炎やばね指の最大の原因は指の使い過ぎ。
重いものを手で握って持ち上げる仕事に従事する人や、高齢者の介護をしている人が患うことが多い。
野球やゴルフ、つりなど棒状の道具を強く握るスポーツなどをやりすぎても起きる。
最近ではパソコンなどを長時間使い続ける人が発症するケースも増えている。
また、腱や腱鞘が硬くなる高齢者のほか、40~50代の更年期やホルモンのバランスが崩れやすい産後の女性などでも多く見られる。
抗がん剤治療が原因で起こる例もある。
ばね指と同じ腱鞘炎だが、手首の親指側に痛みが出ると「ドケルバン病」(狭窄性腱鞘炎)と呼ばれる。
ばね指より患者は少ないもが、スマホを親指で操作するなどして酷使すると、このタイプの腱鞘炎になる可能性がある。

まず手を休める
指に痛みが出たり、曲げ伸ばしの際に引っかかりを感じたりするときの症状改善の基本は、手を休めること。
握りしめる動作などをなるべく控える。
ただし、日常生活では手を使わずにいることは難しい。
消炎鎮痛剤などでよくならないときは、腱の炎症を抑え症状の回復を狙う治療として腱鞘の内部にステロイド剤を注射する。
腱鞘炎やばね指を防ぐための工夫もある。
たとえば、キーボードを打つときに、手の甲を手前に反らせて作業すると、手の甲の付け根にある腱が炎症を起こしやすくなる。
なるべく薄いキーボードやノートパソコンを使い、手首の下に厚手のパッドやクッションを敷くと、手の甲を反らせずに作業できる。
マウスも自分に合ったものを選ぼう。
また、普段から入浴時に手をグー・パーと動かすと、腱や腱鞘を柔らかく保つのに有効という。
私的コメント;
その点、最近のMacのパソコンは人間工学的に優れていると思います。
他のパソコンは余り使用したことがないのでMac以外はどうかということは分かりません。
少なくとも現在使っているMacはキーボードやマウスが薄くスクロールもフェザータッチで出来るため、結果的に指に優しくなっています。
以前使用していた汎用のマウスで、右手人差し指の腱鞘炎になったことがありました。
おそらくスクロールの際の指への負担が原因だったようです。
もう一つ。
指や手首に痛みを感じたら、作業をやめて流水で2~3分冷やすこと。冷たい湿布やアイシングのスプレーを使ってもよい。
氷水を入れたビニール袋を指や手のひらにあて、4~5分間冷やして腱の炎症を抑えることも有効といわれる

引用
日経新聞・夕刊 2015.4.24(一部改変)


参考
①「ドケルバン病」
親指を伸ばす腱の腱鞘炎は別名「ドケルバン病」ともいい、親指の腱がある手首に痛みや腫れが出る。親指を曲げるほうの腱鞘炎は「ばね指」といって、親指の根元が痛くなり、指を曲げるときに引っかかるようになる。

②携帶電話で起きる可能性がある手の疾患・・・
ドケルバン病(親指の伸筋腱の腱鞘炎)とばね指(親指の屈筋腱の腱鞘炎)
親指を伸ばしたり広げたりする腱の腱鞘炎。親指の使い過ぎによって起こることもある。
ただし、指の変形は起きない。