ばね指

指の痛みや関節の動きに違和感

事務系職員のIさん(仮名、50)は整理しなければならない書類がたくさんあり、手を休める暇もない毎日だ。

最近、母指(親指)の痛みが強く、時には関節が曲がったまま伸びなくなり、力を入れて伸ばそうとすると急にポキッと音を立てる。
指の屈伸ができるようになっても母指の付け根の手のひらの部分が腫れて押さえると痛みがある。

これはばね指の典型的な症状。
ばね指は中年女性に多い疾患だ。
母指に最も多くみられるが、ほかの指にも起こる。

屈筋腱(けん)という指を曲げる腱が線維性の鞘(さや)である腱鞘(けんしょう)の間を動く時の障害で、機械的な刺激で発症する。

進行すると指が曲がったまま伸びなくなって固まってしまうこともある。
関節リウマチ、糖尿病などと併発することもある。

子どものときにみられるばね指もあるが、大人のばね指とは原因が異なると考えられている。

腱鞘内への局所麻酔薬とステロイド薬の投与によって回復することが多い。
内服薬や貼り薬はあまり効かない。

保存的治療を続けても症状の改善がみられない時や指が曲がったまま伸びなくなった時には手術をすることになる。
腱鞘を切開し、腱の滑りをよくする。

手の動きは脳の活動の表現形で、実に繊細で美しく調和されている。
わずかな動きの制限が予想以上の障害を来す。
三重大学学長 内田淳正)
出典 日経新聞 Web刊 2011.2.15
版権 日経新聞


<関連サイト>
手の変形 メルクマニュアル医学百科
http://merckmanual.jp/mmhe2j/sec05/ch071/ch071c.html
■ばね指(指の屈筋の腱滑膜炎)は、手の指が曲がったまま動かない状態です。
指を曲げるための腱の1つが炎症を起こして腫れると動かなくなります。
正常なら指の曲げ伸ばしの動作とともに、この腱が周囲のさやの中を前後になめらかに動いています。
ばね指では炎症を起こした腱はさやから出ることはできるので、指を曲げることはできます。
しかし腱の腫れがひどくなると、さやの中に戻るのが難しくなるため、指が伸ばせなくなります。
■ばね指は、手の使いすぎ(重い園芸用ばさみの使用など)や、炎症(関節リウマチなど)が原因で起こります。
指を伸ばすには腱の腫れた部分を力ずくでさやに押しこむため、指が伸びたときに、ばねで弾かれたような感じがします。
ときには、炎症を起こした腱鞘内に、コルチコステロイド薬と局所麻酔薬を注射することがあります。
慢性化したばね指の治療には一般に、手術が必要となります。

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突然、指に激痛が! バネ指の原因と予防
http://www.ctv.co.jp/realtime/life/2008/03/0310/index.html



<自遊時間>
個人的な話で恐縮です。
実は私自身も数カ月前から「ばね指」に悩んでいます。
右手の人差し指ということで何かと不便です。
ジャンケンポンもままならない状態です。
何でこんなことになったんだろう。と真っ先に考えました。
思いついたのはブログのやり過ぎ。
マウスのスクロールがいけないと思い、スクロール機能を使わないことにしました。
少し前のタイプのMacのマウスにはスクロール機能がついていないのでそれに換えました。
しかし、治りません。
結局は強い筆圧で長い間カルテに書いていたことが原因ということに思い至りました。
今はボールペンの握り方をいろいろ工夫して凌(しの)いでいます。




他に
井蛙内科開業医/診療録(4)
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