脳の血流足りないモヤモヤ病 脳梗塞・出血の引き金に
脳の血流が足りなくなって頭痛や意識障害などを引き起こす難病が、モヤモヤ病(ウィリス動脈輪閉塞症)だ。子どもでも軽い脳梗塞を起こすこともあるが、早期に適切な治療を受ければ日常生活を問題なく過ごせるようになる。
最近は検査技術が向上し、症状が出る前に見つかる患者が増えた。遺伝子検査で早期発見の試みも始まってきた。
神奈川県在住の伊藤真実さん(仮名、40)は3歳ごろから泣いたり麺類をすすったりすると一時的に手足が動かなくなった。
小学校では笛を吹いたり水泳で息継ぎをしたりすると、ろれつが回らなくなり顔半分がマヒした。
小学校では笛を吹いたり水泳で息継ぎをしたりすると、ろれつが回らなくなり顔半分がマヒした。
女性は男性の1.8倍
モヤモヤ病は、脳底部にあり脳の中心に血液を送る血管が集まる「ウィリス動脈輪」が狭くなったり閉塞したりする病気で、軽い脳梗塞や脳出血、頭痛などを引き起こす。
女性で多く男性の約1.8倍の患者がいる。
モヤモヤ病は、脳底部にあり脳の中心に血液を送る血管が集まる「ウィリス動脈輪」が狭くなったり閉塞したりする病気で、軽い脳梗塞や脳出血、頭痛などを引き起こす。
女性で多く男性の約1.8倍の患者がいる。
日本人や韓国人に多く、1960年代に東北大学教授だった鈴木二郎氏が、画像検査でたばこの煙のような血管が脳に見える病気としてモヤモヤ病と名付けた。
5歳前後と30~40歳代で意識障害や脳梗塞などの発作を発症して見つかるケースが多い。
検査精度が向上し、症状が出る前に偶然見つかる患者も増えている。
国内の患者数は2005年に1万人以上と10年前の約2倍になった。
5歳前後と30~40歳代で意識障害や脳梗塞などの発作を発症して見つかるケースが多い。
検査精度が向上し、症状が出る前に偶然見つかる患者も増えている。
国内の患者数は2005年に1万人以上と10年前の約2倍になった。
診断では、脳血管撮影や磁気共鳴画像装置(MRI)で脳底部の血管が狭くなっていたり閉塞していたりする様子を見つける。
ウィリス動脈輪が狭くなり血液が流れにくくなると、それを補うため、異常な「モヤモヤ血管」が増える。
ウィリス動脈輪が狭くなり血液が流れにくくなると、それを補うため、異常な「モヤモヤ血管」が増える。
子どもで脳梗塞を起こすこともあり、症状が出る時期が早いほど症状が重くなりがち。
3歳前では知的障害などの後遺症の可能性もある。
宮城県立こども病院の白根礼造副院長は「子どものモヤモヤ病は精神疾患との関連も指摘されている」と説明する。
3歳前では知的障害などの後遺症の可能性もある。
宮城県立こども病院の白根礼造副院長は「子どものモヤモヤ病は精神疾患との関連も指摘されている」と説明する。
20歳代は子どもより脳血流量が減るため症状が出にくい。
血管がもろくなり始める30、40歳代は脳出血を起こしやすく、意識障害や頭痛、運動障害などの症状が出る。
脳出血を頻繁に繰り返すと命を落とすこともあるという。
血管がもろくなり始める30、40歳代は脳出血を起こしやすく、意識障害や頭痛、運動障害などの症状が出る。
脳出血を頻繁に繰り返すと命を落とすこともあるという。
大人で多い片頭痛とモヤモヤ病の頭痛とは症状がよく似ており区別がつきにくい。
東京歯科大学市川総合病院の野川茂教授は「片頭痛の薬を使うとモヤモヤ病は悪化することがある。気をつけなければならない」と語る。
最近は検査精度が向上し、ただの片頭痛と思っていても検査を受けてモヤモヤ病と判明するケースが増えているという。
東京歯科大学市川総合病院の野川茂教授は「片頭痛の薬を使うとモヤモヤ病は悪化することがある。気をつけなければならない」と語る。
最近は検査精度が向上し、ただの片頭痛と思っていても検査を受けてモヤモヤ病と判明するケースが増えているという。
一時的な意識障害などの発作症状が出るのを抑えるため、脳梗塞などを起こす血流が不足するタイプでは、血行をよくする手術を受ける。
閉塞した血管を迂回してバイパスを作る「直接血行再建術」と、脳の表面に筋肉などを置き2週間ほどかけて自然に小さな血管が形成される「間接血行再建術」がある。
両者を組みあわせるのがもっとも効果的だ。
閉塞した血管を迂回してバイパスを作る「直接血行再建術」と、脳の表面に筋肉などを置き2週間ほどかけて自然に小さな血管が形成される「間接血行再建術」がある。
両者を組みあわせるのがもっとも効果的だ。
手術を受けると症状が出にくくなり日常生活を問題なく過ごせるようになるが、子どもで発症した患者は「一生付き合っていくつもりでいてほしい」(白根副院長)。
大人になって再び頭痛などが起き再手術を受けるケースもあるからだ。
大人になって再び頭痛などが起き再手術を受けるケースもあるからだ。
関連遺伝子も判明
モヤモヤ病は、激しい運動をしないなどの生活の仕方によって発作が起きるのを防ぐことができる。
早期発見して手術を受ければ後遺症の危険も減る。
そこで、遺伝子検査を使った早期発見の試みも始まった。
モヤモヤ病は、激しい運動をしないなどの生活の仕方によって発作が起きるのを防ぐことができる。
早期発見して手術を受ければ後遺症の危険も減る。
そこで、遺伝子検査を使った早期発見の試みも始まった。
昨年11月、東北大学の呉繁夫准教授らはモヤモヤ病に関連する遺伝子を初めて突き止めた。
患者の1割でモヤモヤ病の家族がおり、もともと遺伝との関わりが指摘されてきたが、見つけた遺伝子に異常があると発症リスクが190倍になるという。
患者の1割でモヤモヤ病の家族がおり、もともと遺伝との関わりが指摘されてきたが、見つけた遺伝子に異常があると発症リスクが190倍になるという。
東北大学病院では、希望に応じて患者の家族の遺伝子検査を始めた。呉准教授は「発症前から定期的に検査していくなどして、脳梗塞や脳出血の発症を防いだりするのに役立つ」と話している。
版権 日経新聞社
(長倉克枝)
出典 日経新聞・夕刊 2011.2.25版権 日経新聞社
<私的コメント>
私自身が直接治療しているわけではありませんが、この病気を専門医に診察してもらっているという方が高血圧などで当院に通院中です。
中には突然なくなられた方もみえます。
この病気の治療(本人が服用している薬剤)でモヤモヤ感があります。
それは出血を起こすか血栓を起こすかが予想することが困難なのに抗血小板剤が処方されているのです。
ご存知のように出血を起こせば、抗血小板剤を服用している限り大出血とのる可能性があります。
要するに「治療が仇」となるのです。
そのあたりのことがか専門書にも書かれていません。
私自身が直接治療しているわけではありませんが、この病気を専門医に診察してもらっているという方が高血圧などで当院に通院中です。
中には突然なくなられた方もみえます。
この病気の治療(本人が服用している薬剤)でモヤモヤ感があります。
それは出血を起こすか血栓を起こすかが予想することが困難なのに抗血小板剤が処方されているのです。
ご存知のように出血を起こせば、抗血小板剤を服用している限り大出血とのる可能性があります。
要するに「治療が仇」となるのです。
そのあたりのことがか専門書にも書かれていません。
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