早期がん「線虫」がかぎ分け

早期がん「線虫」がかぎ分け

九大、尿使い判定 腫瘍マーカーより高精度、費用も数百円の見通し
九州大学のチームが「線虫」という小さな実験用動物に人の尿のにおいをかがせ、がんの有無を精度よく判定できた、という研究成果を発表した。
検査費用も数百円で済む見通しという。

がんは日本人の死因トップで、約半数が生涯のうちに患う。
以前と異なり、早期に見つけて対処すれば治癒も見込めるようになった。
ただ、早期発見が難しい例も多い。
 
線虫は回虫などの仲間で体長は約1ミリメートル。
ウナギのような形をしている。
マウスなどと並んで実験によく使われる。
線虫はにおいをかぎ分ける能力が高く、嗅覚の鋭さで知られる犬並みという。

線虫がいる容器に、人の尿を1滴入れ、線虫の動きを観察する。
実験では、がん患者の尿には線虫が寄りつき、健常者の尿からは避けるように離れていった。

1時間半で結果
242人の尿を用いて反応を調べたところ、大腸や胃、乳房のがん患者24人中23人を陽性だと判断した。
一方、健常な218人では207人を陰性と判断した。
がん患者を見つけられる確率は95.8%。
血液中のがんの目印である「腫瘍マーカー」を調べる検査より、精度が高かった。
 
判定に必要な時間も1時間半ほどで済み、体の負担もほとんどない。
がんを発症していると分かれば、画像診断装置などを活用して、どの部位にがんがあるかを絞り込む。
 
なぜ、がん患者の尿だけに線虫が寄りつくのか。
患者は汗や呼気、尿などのにおいが健常者と異なっているといわれる。
体内でがん細胞が活動したり、死滅したりする際に出す物質が通常の細胞と異なっていることなどが原因だ。
線虫は人では分からない、患者特有の微妙なにおいを好んで寄りついていくようだ。
 
実験でがんと判別された人の中には、採尿時点でがんの発症が分かっていなかった5人もいた。通常の検査では分からなかったがんを線虫が見分けていたことになり、早期がんの発見にも威力を発揮できると期待されている。
 
動物を使い、患者が放つにおいからがんを見分ける研究は犬が先行する。
ただ、がん探知犬は空港などで荷物から麻薬を見つけ出す犬と同じく訓練が必要で、検査時に犬を集中させなくてはならない。
 
また、吐く息が含む微量の生体ガスで肺がんを検査する技術も開発中。
これはがんがあると出てくる成分を高性能センサーを使って検出する方式。
 
今回の成果は高い検査精度だけでなく、手法が簡単な点でも注目を集めた。
実験に使う線虫は寒天の上で大腸菌を餌として成長する。
約4日で世代交代し、増殖もしやすい。
凍結しておいた線虫を解凍すれば再び活動を始めるなど生命力が強く、保存も容易だ。

日立と実用化研究
九大は日立製作所などと組み、実用化に向けた研究を続けている。
システムは線虫の飼育装置とカメラ、画像処理用ソフトウエアなどを組み合わせるだけなので、一連の作業も自動化できそうだ。
1回の検査費用も数百円で済む見通しで数千円から1万円ほどかかる腫瘍マーカー検査より安い。
がんの有無だけでなくがんの種類の特定にも使えそうだという。
がんの種類によりにおいが微妙に異なる可能性が示唆されている。
あるにおいに反応するタイプや、逆に特定のにおいには反応しないタイプを作り出し、すべてのにおいに反応する線虫の行動と比べればよいという。
 
私的コメント
人間にも匂いに敏感な人とそうでない人がいます。
線虫のように匂いに超敏感な場合、臭い匂いを嗅いで悶絶死することはないのでしょうか。

参考;あるツイッターから・・・
<凶器の最臭兵器>
46歳で急死したプロレスラーのアンドレ・ザ・ジャイアント
当時の実況アナ古館伊知郎が「ひとり民族大移動」と絶叫した身長223cmの大巨人。
彼の「おなら」は鼻がひん曲がるほど臭く、試合中に爆音とともに放たれた悪臭はリングサイドを阿鼻叫喚の地獄に一変させたという。