むくみ

一日中立ち仕事をしていたら、足がパンパンにむくんだ経験をした人は多いはず。
むくみは健康な人にも起きるが、病気が隠れていることがあるので、症状が続くようなら注意が必要だ。
 
「むくみは、血管の外にある組織に余分な水分がたまった状態。
続くときは様々な原因が考えられるので総合診療科や内科で相談したほうがよい。

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毛細血管からは栄養分とともに水分が常に組織に向かってにじみ出ている。
通常は静脈やリンパ管を通して回収されるが、もれ出る水分が増えたり、リンパ管による回収機能が落ちたりすると、血管外に水分がたまってむくむ。
 
供給と回収のバランスが崩れるのは、腎機能や心臓・筋肉のポンプ作用の低下で体内の塩分・水分が過剰になったり、肝機能低下による血中の成分濃度の異常が起きたりしたときだ。
病気が原因かどうかは、むくみを見ただけで判断するのは難しい場合が多く、超音波や血液検査などで診断する。
 
全身がむくむ主な病気には、心不全や心臓弁膜症などの心疾患、腎不全やネフローゼなどの腎疾患、低アルブミン血症などの肝臓疾患がある。
肝硬変では手のひらが赤くなるなど、特徴的な兆候が出ることがある。
ほかに甲状腺機能低下症でも起こる。
狭心症や高血圧の薬、痛み止め、抗生物質が原因なら薬をかえる必要がある。
局所的なむくみはアレルギ‐‐やかぶれなどでも起きる。
足の静脈が詰まる下肢静脈血栓症や静脈瘤も原因になる。
静脈瘤では、血管のこぶや皮膚の変色などが手がかりになる。
    
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病気でなくても、むくみに悩む人は多い。
基本は減塩と運動で改善する。
 
塩分を取りすぎると、体内の塩分濃度を下げようとして血管から水分が出ていきやすくなる。
重力によって水分は足にたまりやすく、同じ姿勢を続けて筋肉が動かないと、リンパ管を通して水分を回収するポンプ機能が低下する。
座りっぱなしで足の付け根への圧迫が続くと悪化につながる。
 
減塩のコツには、塩の代わりに香辛料やだしを使うこと。
運動の目安は1日1万歩。
筋肉量が比較的多い下半身を鍛えるとよい。
敷き布団の下に座布団を3枚ほど重ね、足を高くして寝るのも効果的という。
お年寄りは、別の注意も必要になる。
味覚が鈍くなって味付けが濃くなりがちなうえ、体をあまり動かさないために食欲が落ちやすい。
栄養不足になると血液中のアルブミンが減り、水分がさらに組織にたまりやすくなる。
逆に、太りすぎも運動量を減らし、循環を悪くする。 


まとめ 要注意のむくみは?
① ⬜︎ 日中も続く
② ⬜︎ 息苦しさもある
③ ⬜︎ 全身にだるさがある
④ ⬜︎ 目や手のひらが黄色っぽい
⑤ ⬜︎ 食が細くなった
⑥ ⬜︎ 足に突然出て、血管が浮き出たようなこぶや痛みがある
⑦ ⬜︎ 長時間立ったまま、座ったまま仕事をしている
⑧ ⬜︎ 成年である

①重力の影響でむくみが出やすい寝起きと夕方だけでなく、
日中も続くのは異変のサイン
②③は心臓や腎臓、肝臓の病気、甲状腺機能低下の可能性がある
④は肝臓病が考えられる
⑤栄養不足でむくむこともある。お年寄りに起きがち
下肢静脈瘤血栓症が疑われる
⑦同じ姿勢や圧迫を続けると出やすい。1時間に1度は足や休を動かそう
⑧子どもに出るのはまれなので、注意が必要


出典
朝日新聞・夕刊 2015.6.8