さまざまな頭痛

その頭痛、どのタイプ? 自己流の対処では悪化も

頭痛は多くの人が悩む。
大規模疫学研究によれば、15歳以上の日本人で慢性頭痛の人はおよそ3000万人と見られる。
世界保健機関(WHO)の調査によると、自立した生活を送れる期間である健康寿命も頭痛によって短くなるという。
我慢したり自己流で対処したりすると悪化することがある。

頭痛のタイプは約350種類。
しかし、大きくは2つに分けられる。
頭痛自体が病気である慢性の「一次性頭痛」と、別の疾患が原因となって起こる「二次性頭痛」。
 
二次性頭痛には、くも膜下出血脳梗塞といった脳の疾患のほか、副鼻腔炎、インフルエンザ、うつ病などさまざまな疾患が潜んでいることがある)。

一次性頭痛には、片頭痛、緊張型頭痛、群発頭痛、さらに最近増えてきた薬物乱用頭痛などがある。
このうち、患者数が多いのが片頭痛
 
片頭痛は脳の血管が拡張し、周囲の神経が刺激されて生じる。
痛みをコントロールする脳内物質の異常が関係していることが最近の研究で明らかになった。
脈打つように痛み、寝込むほど悪化することも少なくない。
吐き気をともなうケースもある。
女性、とくに働き盛りの年代に多い。
 
発症のきっかけはホルモンバランスの乱れなどさまざま。
女性の場合は、月経の前や期間中に起きやすい。


天候変化でも
生活や環境、天候などの変化でも痛みが出る。
例えば「週末頭痛」。
休日に朝寝をしたときに頭痛で目が覚めることがある。
激務から解放されてかえって心身のリズムが乱れる。気圧、気温など天候の変化も引き金になりやすく、季節の変わり目は要注意。
乾燥も大敵。
音や臭い、光に敏感な人もいる。

片頭痛と同様、慢性型で間違われやすいのが緊張型頭痛。
ストレスが原因で頭が締め付けられるような痛みが長時間続くことがある。
精神的なものだけでなく、頭の後ろの筋肉の凝りなどからも起きるという。
 
2つの頭痛の違いは「動いた時の状態」で見分けられる。
片頭痛が起こると、運動はもちろん、おじぎをしたり力んだりしても悪化する。
緊張型頭痛は体を動かすと改善しやすい。
私的コメント
混合型頭痛といいます。

ただし、両方の頭痛を併発する人もいる。
 
だから片頭痛への対処は、暗い部屋で横になるのがよい。
運動したり温めたりするのは避ける。
緊張型頭痛の場合は発症したとき軽い運動やマッサージで気をまぎらわせる。首や肩を温め血行をよくする方法もある。
 
群発頭痛の特徴は激痛。
明け方などに頭の片側、目の奥が激しく痛むことが多い。
鼻水、涙、結膜の充血を伴うこともある。飲酒は引き金になりやすいので注意する。
 
薬物乱用頭痛は、鎮痛剤に頼り過ぎることから起こる。
薬が効かなくなり、もっと強い鎮痛剤を飲むが、そのうちまた薬が効かなくなる。
それを繰り返すうちに頭痛が悪化する悪循環にはまる。
強い薬に慣れると痛みを調節する脳内物質がうまく働かなくなる。
 
頭痛は、薬でも痛みを抑えたり、発症しにくくしたりすることを期待できるが、生活を見直して予防できることがある。
 
片頭痛の人はできるだけ睡眠、食事のリズムを守るように心がけるとよい。
食事は生活リズムをリセットする。
片頭痛は空腹時に起こりやすいので、なるべく朝食を抜いたりしない。
定期的にストレッチなどの運動をすると心身のバランスが整い、予防にもつながる。
ただ、片頭痛は痛み始めてから体を動かすと悪化するので注意する。


■姿勢にも注意
緊張型頭痛の人は姿勢に注意すべきだ。
パソコンやスマートフォンの操作中、前傾姿勢になると背中の筋肉が引っ張られて凝り、頭痛が生じやすい。
特に猫背や、本来湾曲している頸椎がまっすぐになっている「ストレートネック」の人は意識して姿勢を正そう。
コツは耳と肩先が一直線に並ぶようにする。
 
自分の頭痛のタイプや状態を把握するには、「頭痛ダイアリー」も有効。
医療機関で配布しているほか、ウェブでダウンロードもできる。

◇  ◇  ◇

カルシウム取り、ストレス緩和
分泌量が減ることによって片頭痛を引き起こすことがあるとされる脳内物質がセロトニン
これを増やす方法として、材料の一つである必須アミノ酸トリプトファンを肉や魚、乳製品から取る手もある。
 
緊張型頭痛には、その原因となるストレスを緩和するカルシウムの摂取が大切。
乳製品や小魚を積極的に食べよう。
豚肉やウナギなどは筋肉疲労を緩和するとされるビタミンを含み、肩こりなどによる頭痛を起こりにくくする。
 
睡眠も頭痛改善のための大切な要素。
睡眠時間が短すぎたり、長すぎたりすると、頭痛を引き起こす引き金になることがあるので注意したい。



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様々な頭痛は大きく2つに分けられる
慢性の病気である一次性頭痛
片頭痛 (力むだけでも悪化)
・緊張型頭痛 (体を動かすと緩和する)
群発頭痛 (目の奥に激しい痛みなど)
・薬物乱用頭痛 (鎮痛剤の使い過ぎなどで)
                 など

別の疾患が原因の二次性頭痛
・脳の疾患
  くも膜下出血
  脳腫瘍
  脳梗塞
副鼻腔炎
うつ病
・インフルエンザ
・耳・鼻・歯などの疾患
                 など



出典
日経新聞・朝刊 2015.2.14(一部改変)