たんぱく尿

たんぱく尿 腎臓病のサインかも 再検査を


健康診断で「たんぱく尿」や「尿たんぱく陽性」と指摘されたのに放っていないだろうか。

自覚症状がなくても、腎臓の働きが落ちている可能性がある。
そのまま放置して悪化すると、血液透析が必要になる腎不全へと進行しかねず、心筋梗塞脳卒中などのリスクも高まる。
早期発見で腎臓の働きがさほど悪くないうちに治療を始めれば悪化を防ぐことが可能になる。
 
腎臓は血液を濾過して、老廃物を除く役割を果たし、老廃物は尿に出る。
健康な人なら、尿にたんぱく質はほとんど出ない。
尿たんぱくが陽性と出れば、腎臓の働きが落ちて尿にもれたことを示している可能性がある。
ただ、激しい運動をした後、発熱、脱水症状などがあると、一時的に陽性になることがある。
朝起きた直後の尿を調べるのは、運動などの影響が出ないようにするためだ。

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健診では、尿検査とともに、採血をしてクレアチニン検査をすることも多い。
クレアチニンは、筋肉を動かすとできる老廃物で、普通は尿から出て行くが、腎臓の働きが落ちると出にくくなり、血中濃度が高まる。
クレアチニンの検査値をもとに腎臓が血液を濾過する能力(GFR)を推定する。
 
たんぱく尿やGFRの異常が3カ月以上続くと、慢性腎臓病(CKD)と診断される。
 
一方、腎臓の働きの低下は、糖尿病など全身の病気の一部として起きる場合もある。
血糖値が高いと血管が傷みやすく、細い血管がたくさんある腎臓も傷みやすい。
高血圧で全身の血管が硬くなると、腎臓の血管も硬くなり腎硬化症とよばれる状態になる。
治療は原因を見極めてから始める。
尿に含まれるたんぱく質の量やGFRの値で重症度をみるが、さらに詳しい検査が必要になることもある。
糖尿病や高血圧がある場合、まずはその治療をする。
腎臓の病気の可能性が高い時は、背中から腎臓に細い針をさして腎臓の組織を取り、顕微鏡で詳しく調べる。

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予防のためには生活習慣に気をつけたい。
まずは禁煙と適度な運動を実行しよう。
 
毎日7千~1万歩歩き、週に1回は軽く汗をかく運動をする。
酒の飲み過ぎや塩分の取りすぎはよくない。
適量は日本酒なら1日1合未満、週に2回は飲酒を控える。
塩分は1日男性8グラム、女性7グラムまで。
ふだんから脱水症状にならないよう水分摂取にも気をつけたい。

肥満対策に魔法はなく、運動と食べ過ぎに気をつけるしか方法はない。


たんぱく尿といわれたら……
① ⬜︎ 血糖値が高め
② ⬜︎ 血圧が高め
③ ⬜︎ たばこを吸っている
④ ⬜︎ 脂質異常症
⑤ ⬜︎ 肥満
⑥ ⬜︎ 過去に腎臓を患ったことがあるか、家族に腎臓の悪い人がいる
⑦ ⬜︎ 疲れやすい
⑧ ⬜︎ 足がむくむ

尿検査は腎臓の異常を見つけるためのものです。
①~⑥はいずれも慢性腎臓病(CKD)のリスクを高める要因です。
④は、LDLコレステロール140以上、HDLコレステロール40未満、中性脂肪(トリグリセライド)150以上のいずれかで当てはまります。
肥満は、体重(キロ)を身長(メートル)で2回割った体格指数BMIが25以上。
これ以外に年齢もCKDのリスクを高める要因になります。
⑦、⑧は腎臓の働きが落ちている兆候かもしれませんので、かかりつけ医に相談してください


関連サイト
日本腎臓学会のウェブサイト
http://www.jsn.or.jp
(一般向けに腎臓の病気の解説を解説。診療ガイドラインも載っている)
全国腎臓病協議会のサイト
http://www.zjk.or.jp
(CKDについて詳述)

出典
朝日新聞・夕刊 2015.8.24(一部改変)



<関連サイト>
肥満関連腎症について
http://www.pariet.jp/helpful/vol59/no611/sp14.html
(専門的な話で少し難解かも知れません)
CKD(慢性腎臓病)
http://www.hiroclinic.net/aed/ckd.html
(こちらも少し専門的かも知れません)


本日のポイント
「たんぱく尿は腎臓の悲鳴である」
「腎臓は機能が落ちると回復はしない」