脳卒中の判断

「顔・腕・話し方」の3点に注意

体の自由が突然利かなくなり、話すこともできなくなる。
こんな症状が出たら、どうしたらいいのだろう。
脳卒中なら、早急な対応が必要だ。
 
国内の脳卒中患者数は約140万人で、がん、心臓病に次ぐ死因の3位となっている。
 
脳卒中は、大きく「脳梗塞」と「脳出血」に分かれる。
多くは脳梗塞で、脳の血管が動脈硬化で細くなり、そこに血栓(血の塊)ができて詰まる。

<私的コメント>
これは正しくありません。
「脳の血管が動脈硬化で細くなり・・・」は脳血栓といいます。
脳梗塞は脳血栓と脳塞栓とを併せた言葉です。

日本人には、高血圧が主因となって脳内の太い血管から枝分かれした細い血管が詰まる「ラクナ型」が多かった。
しかし、最近、高血圧や脂質異常症、糖尿病などの生活習慣病が引き金になって太い血管が詰まる『アテローム型』が増えている。
心臓の病気で心臓内にできた血栓が脳に飛んで詰まらせるケースもある。
<私的コメント>
これが脳塞栓です。

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05年に血栓を溶かす薬「tPA」が保険適用された。
発症から3時間以内の患者に有効性が認められているので、時間との闘いになる。

<私的コメント>
その後、4.5時間に延長されました。
参考
血栓溶解療法(t-PA治療)
http://www.fukuoka-stroke.net/webguide/article/detail/category_detail_id/133?k=t-PA
静注療法 適正治療指針 第二版 - 日本脳卒中学会
http://www.jsts.gr.jp/img/rt-PA02.pdf

脳卒中が疑われるなら、真っ先に救急車を呼ぶ。
そして、なるべく患者を動かさず、ネクタイやベルトなど衣服をゆるめ、もし、意識も呼吸もなければ、心肺蘇生法を行う。
 
顔と手、話し方の三つに絞って点数化して判断できる、救急隊員向けの基準がある。
 
まず、顔の様子を見る。
口元などが左右が非対称なら1点。
次に、手のひらを上にして腕を肩の高さにあげたうえで、両腕とも同じように動かせるかどうかみる。
片腕がふるえるか、もしくは下向きに回転するなら1点、片腕が落ちるか、または上
がらないなら2点。
 
そして、話し方が正常かどうかをみる。
不明確か、もしくは意味不明なら1点、発語がないなら2点。
合計し、2点以上なら脳卒中の疑いがある。
 
この方法は、家庭での判断にも生かせそうだ。
お年寄りが家にいても、高齢のせいにして症状に気づきにくい。
自宅であっても顔と腕、話し方の3点に絞って注意したい。

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脳卒中の危険因子は生活習慣のほか、喫煙や飲酒など。
動脈硬化などで血管が詰まりやすい人や、心臓病の血栓が血管をふさぐ恐れがある人は、血液をサラサラにする治療薬を服用するが、やめない根気が求められる。
また、暑い季節には汗をかいたら、十分に水分補給をしたい。
 
脳出血も怖い。
発作は血圧が上昇している昼間に起こりやすい。
特に脳の表面近くで出血する、くも膜下出血は非常に危険だ。

<私的コメント>
くも膜下出血」は、発症するとおよそ3分の1の方が死亡し、3分の1の方が障害を残しますが、残り3分の1の方は元気に社会復帰することができます。
社会復帰が出来るような場合には、脳出血のような手足の麻痺がないことがほとんどです。

脳血管内治療の技術開発が進み、血管の中からくも膜下出血のもとになる「こぶ」をふさぐ治療や、細くなって脳梗塞の原因になりそうな血管を金属の筒で広げる治療が進んでいる。

脳卒中を疑うポイント
① ⬜︎ 手足の片方や顔の半分にまひやしびれが起こる
② ⬜︎ ろれつが回らない
③ ⬜︎ 話そうとしても言葉が出てこない
④ ⬜︎ 他人の言っていることがきちんと理解できない
⑤ ⬜︎ 視野の半分が欠ける
⑥ ⬜︎ めまいがして、歩くとふらふらする
⑦ ⬜︎ 手足のまひはないが、激しい頭痛が突然生じる

いずれも脳卒中でよくみられる症状です。
① ~ ⑥ は脳梗塞脳出血の疑いがある場合で、すぐに救急車を呼んで専門医のいる病院に搬送してもらいましょう。こうした症状は突然起こることが特徴ですが、一過性の脳虚血発作として発症し、5~15分から1時間以内に収まる場合もあります。しかし、放っておくと、脳梗塞となる危険が十分あるので、必ず、すぐに専門医のいる病院を受診しましょう。⑦ はくも膜下出血の典型的な症状です

出典
朝日新聞・夕刊 2008.6.23(一部改変)



脳卒中の診断・関連サイト>
脳卒中の予防と最新治療|治療と検査の最新医療情報
http://www.asahi.com/ad/clients/iryo/archives/ent/20080131000704.html
・前触れをいち早くとらえて、大事に至る前に治療することが肝要です。
しかし、脳卒中の前触れ(特に脳梗塞の前触れ)には重症感がないことが問題です。
例えば、食事時に突然ご飯茶碗を落としてしまった。
「あれ、左手がしびれて動かない」と言っているうちに症状はなくなってしまった。
「どうしたの?たいしたことはないわね」と放置されてしまいます。
これで治療のチャンスを失ってしまうのです。
このような、一時的な症状を「一過性脳虚血発作」といい、とても重要な前触れの症状なのです。
これは脳の血管が詰まりかかっていることを示しています。
この段階で脳の血流を正常化する手術や薬での治療で大きな発作を防ぐことができます。