口に含んでアレルギー改善

花粉・ダニ、体質変える治療

国民の多くが悩まされているアレルギー性鼻炎
スギ花粉症の患者が原因物質を自分の口に含むことで体質を改善させる新しい治療法が昨年、保険適用された。
ダニについての同様の薬も発売。治療は長くかかるが、根治できる可能性がある。
今月改訂された診療ガイドラインには治療の詳しい記述が加わった。

アレルゲン免疫療法は、少ない量のアレルギーの原因物質を体内に入れ、体質を変えていく治療だ。
舌下のほか、抽出物を注射する皮下免疫療法があるが、通院する回数が多く、注射による痛みもある。
 
舌下免疫療法薬シダトレンが昨年10月に発売された。
舌の下に薬液を入れ、2分後に飲み込む。
初日は医療機関で飲み、2日目からは自宅で段階的に飲む量を増やす。
その後、一定量を毎日飲み続ける。
 
保険適用は今のところ12歳以上で、3~5年の治療が必要。
血液検査などでアレルギーの原因がスギ花粉と特定された人が治療を受ける。
ある医療機関によると、治療をした人のうち約2割が治り約3割が花粉症の薬の使用が激減。
2~3割が症状が以前より楽になっている。
ただ1~2割には効果がないという。
 
最近は眠気などの副作用が少なく、効果的な抗ヒスタミン薬なども増えている。
免疫療法は即効性を期待できず、花粉が飛ぶ1~5月の治療開始はしていない。
花粉症の治療法としてよい選択肢が出たというのは違いない。
ただ、治療が長期間であることや、誰にでも効果があるというわけではないという点を理解することが大切だ。

副作用、起きることも
スギ花粉に続き、ダニのアレルギー性鼻炎舌下免疫療法薬が2種類、11~12月に相次いで発売された。
ダニの薬は錠剤タイプ。
ただ、スギ花粉とダニの舌下免疫療法薬を同時期に飲むことは推奨されていない。
 
免疫療法では口のなかが腫れたり、かゆくなったりする副反応(副作用)が起きることがある。
副作用の多くは軽度で持続時間が短い。
さらに続けていくと次第に出現しないようになる。
 
今月(2015.12)に発行された鼻アレルギー診療ガイドラインでは、免疫療法は「効果が認められている」と記載され、日本のスギ花粉症についてはおよそ70%の有効率という。
対象となる患者は重症度によらず全てという位置づけになっている。
 
現在の治療に満足していない人やどうしても治したいと希望する人が主な対象となる。
 
一方で激しい全身症状「アナフィラキシー」の報告が海外でごくまれにある。
舌下免疫療法薬物療法ではない。
アレルギーの原因物質を服用することになるので、副反応が出ることは当然ある。
安全性をフォローしていける医療機関でする治療法ということを理解する必要がある。

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出典
朝日新聞・朝刊 2015.12.15(一部改変)


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2015.12.9 撮影