股関節痛

股関節痛 まず減量を

減る軟骨、中年女性ご用心 悪化なら人工関節手術
日常生活に支障を来すほどの股関節の痛みに悩まされる中高年は多い。
医師は減量や軽い運動に取り組んで症状を和らげる保存療法を勧めるが、痛みがひどくなれば早めの手術も選択肢に入ってくる。

変形性股関節症は股関節の軟骨がすり減り、脚の付け根が痛んだり関節が動く範囲(可動域)が狭くなったりする病気だ。
 
初期段階では関節の隙間が狭くなり、軟骨に凸凹が生じる。
進行期に入ると軟骨が著しく減り、強い痛みを覚えるようになる。末期では軟骨がほぼ消失し、関節が動かなくなる。

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主に発症するのは40~50代だが、30代も珍しくはない。
国内の患者数は200万~300万人と推定されており、女性が約8割を占める。
 
とくに日本人女性の多くは生まれつき骨盤のくぼみが浅く、加齢に伴って股関節が変形しやすい。
中高年が以前に比べて激しいスポーツをすることも原因のひとつという。
 
股関節の変形をもたらす大きな原因は肥満で、保存療法はまず減量が重視される。
 
片足で立つと体重の3倍の負荷が股関節にかかる。
歩くと着地時の衝撃も加わって10倍にもなる。
1キロでもいいから減量に取り組む必要がある。
 
軽い運動で筋力をつけて股関節の負担を減らすことは効果的とされる。
例えばあおむけに寝た状態で、膝を立てて骨盤をねじったり、足を開閉したりする。
いすに座ったときにおしりを左右に振ったり揺すったりする。
立って太ももやもも裏をゆっくりと伸ばすといったメニューがある。
 
また日常生活の工夫でも負担を減らせる。
痛みを誘発するような姿勢をとらないようにすることが大切だ。
なるべくしゃがまないようにする、低いいすや柔らかいソファは避けるといったことに気をつける。

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ただこうした方法で対応しきれないほど悪化すると、手術に踏み切らざるを得ない。
股関節周辺に小さな穴をあけ、関節鏡という器具を使って損傷部や軟骨のかけらを取り除く関節鏡手術や、変形した骨を切ってずらすなどして整える「骨切り術」が以前から知られている。
 
最近増えているのが人工関節に置き換える手術だ。
対象は進行期から末期の症状を持つ50代以上が主とされていたが、最近では30~40代の患者が置換手術を望むようになって来た。
それは材質の改良で長持ちすることが分かってきたからだ。
 
人工関節は種類やサイズが豊富で身体になじみやすく、骨切り術より短期間で社会復帰できる利点がある。
専用のロボットを使って傷痕が目立たない手術をする病院が増えている。
 
それでも手術をするからには、細菌による感染や人工物で不具合が起きるリスクもある。
痛みはすぐにとれるが、可動域は広がらない。
症状や年齢をよく考えて、最適な治療を見極めることが望ましい。

人工関節、強度向上「30年持つ」 日常生活に支障少なく
人工関節の耐久性が上がっている。
今世紀の初めごろは置換手術後「20年は持たない」とされていたが、ここ数年は「30年は持つだろう」といわれ始めた。
チタン合金製の半球がはまる受け皿に使う高分子材料の強度が飛躍的に増し、こすれても減りにくくなった。
 
英国やオーストラリアは置換手術の記録を残しており、ウエブサイトでも確認できる。
再手術の症例が着実に減り、人工関節が問題なく機能し、日常生活が送れていることがうかがえる。
日本での置換手術は股関節だけで年間約7万件にのぼるという。
 
こうしたことを受け、厚生労働省は2014年春、これまで置換手術を受けた患者に自動的に交付してきた身体障害者手帳を、予後に応じて交付する方式に改めた。
手術からおおむね半年後に受診した際、医師が筋力と可動域、歩行能力を調べて判断する。
正常であれば手帳を交付しない。

 
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参考
日経新聞・朝刊 2016.6.26


 
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長野・蓼科 彫刻公園  2016.7.17 撮影