離乳初期の卵アレルギー予防に新説

離乳初期の卵アレルギー予防に新説

離乳初期から少量の卵を食べることで、卵アレルギーを予防できるという研究結果を国立成育医療研究センターが発表した。
子どもが卵アレルギーになるのを防ぎたい親にとって朗報だ。
家庭で実践する際は自己流ではなく、専門医に相談することが重要という。

アトピー治療と並行
研究はアトピー性皮膚炎がある赤ちゃんが対象。
食物アレルギーの予防は長らく、原因食品をできるだけ食べないという考え方が主流だった。
だがそれでは効果が出ず、「早くから食べ始めた方がいいのでは」という説が出てきた。
 
そのきっかけの一つが2008年の研究だ。
ピーナツを乳児期から食べ始めるイスラエルの子どもは、食べさせない英国に比べ、ピーナツアレルギーの発症率が10分の1だった。
 
食物アレルギー発症のメカニズムにも、新たな説が出てきた。
食品を食べるのがきっかけで起こるのではなく、異物の侵入を防ぐバリアー機能が落ちた皮膚から食品が入ることで、過剰な免疫反応が起こるという考え方だ。
国立成育医療研究センターの研究では、生後1、2カ月でアトピーがあると、3歳で食物アレルギーを発症する率が約7倍高かった。

試すなら医師と相談
研究チームは「早くから食べる」「皮膚をきれいにする」の二つの戦略で予防できるのではと考えた。
 
同時期に海外でも、早くから食べさせる予防研究が始まった。
だがほとんどがゆで卵ではなく、生卵を使ったため、強いアレルギー反応が起きてしまった。
 
そこで研究チームは、ゆで卵をごく少量から食べ始め、皮膚も徹底して治療した。
その結果、ゆで卵を食べ続けた子どもは、1歳の時点での卵アレルギー発症率が、カボチャだけの子どもより約8割少なく、強いアレルギー反応を起こした子はいなかった。

この方法を、アトピーの有無にかかわらず、自分の子どもにも試したい場合はどうすればいいのか。
ゆで卵は20分以上ゆでるなど、完全に火を通すことが必要だ。
また量も生後6~8カ月は耳かき2~3杯程度(0・2グラム)、それ以降は1立方センチ程度(1・1グラム)など、少量から始める。
 
研究を率いた医師は、「アトピー性皮膚炎がある場合は、適切な治療をしないと皮膚から卵成分が入るリスクが高いため、独自に実施せず、必ず専門医と相談しながら進めてほしい」という。
また、すでに食物アレルギーを発症している子どもにはしないよう注意が必要だ。
 
あるアレルギー専門医は「すばらしい研究だが、実際の臨床現場はもっと雑。研究に参加する人を増やし、それでも効果があるかどうかを確認する必要がある」とコメントしている。
 
今回の研究結果をもとに、来年度から全国の医療機関と共同で大規模な臨床研究が始まる。

参考
朝日新聞 2017.1.11



<関連サイト>
卵アレルギー、早くから食べると発症率低下
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy/43127278.html