かかりつけ医 どう選ぶ?

かかりつけ医 どう選ぶ? 専門性よりも総合力/歩行圏内、通いやすく/女性は産婦人科

体の不調や健康問題を気軽に相談できるかかりつけ医(ホームドクター)がいれば安心だ。
ただ医療機関の看板には数多くの診療科が掲げられ、ホームページにも医師の肩書や経歴がずらりと並ぶものの、何を決め手に選んだらいいのか決めかねるのが現状だ。
新しい生活の地で悩むこともある。
自分に合うかかりつけ医を見つけるためには、どうすればいいのだろうか。

かかりつけ医は、紹介状が必要な大病院でなく、身近な診療所や病院で健康のことを何でも相談でき、必要な時には専門の医療機関へ紹介してくれる医師だ。
 
ただ医療機関の看板は「内科・小児科・皮膚科」など複数の診療科が掲げられていることが多い。
どう判断すればいいのか。
 
多くは得意な診療科を最初に挙げている。
「循環器内科・消化器内科」と掲げていれば、循環器系を専門としているとみられるという。
主に高血圧や心臓など循環器系に不安がある人はこうした医療機関が選択肢の一つとなる。
 
診療所は病院の専門科勤務を経て開業する医師も多い。
ホームページには専門医などの資格のほか、「医学博士」や「元大学教授」などの肩書や経歴が並んでいることもある。
しかし、大切なことは「専門性の高さは、かかりつけ医としての能力と同じではない」ことだ。
 
かかりつけ医は、専門性の高い医師や地域の看護、介護の専門職と連携できることが重要だ。
ホームページなどで連携先として、専門科のある病院や診療所のほか、訪問看護訪問介護の施設名などを具体的に挙げているならば安心できる。
 
「通いやすさ」も重要な要素となる。
近くても車で通う医療機関だと、運転できる配偶者が先立った場合、通院できなくなることもある。
高齢者は体が弱くなることも想定して、歩いて通える距離にあることも判断材料となる。
 
女性にとっては「産婦人科」はかかりつけ医の有力な選択肢となる。

産婦人科は“女性の総合診療科”。
思春期から成熟期、老年期まで一生をサポートできる。


私的コメント
内科的な素養のない「産婦人科医」が「かかりつけ医」としてふさわしいかどうかいささか疑問です。
少なくとも外科系(産婦人科は外科系です。実は皮膚科の外科系です)の「かかりつけ医」を選択する場合には、その先生が内科的マインドを持ち合わせているかどうか、そしていざという時に「適切な病院、診療科、ドクター」を紹介してくれる先生かどうかを判断材料にしてください。


長く付き合うことになるかかりつけ医とは相性も大切だ。
予防接種や健康診断などで受診し、質問に対してどのように答えてくれるのか試してみるように勧める医師もいる。
 
例えば禁煙の相談をした場合、すぐに薬物療法の説明をする医師もいる。
体の不調や健康問題は食事や運動、喫煙、飲酒など生活習慣が大きく影響する。
生活習慣を変えられないならば、その原因は何かをしっかり考えてくれる医師がかかりつけ医には望ましい。
 
どんなかかりつけ医を望むかは一人ひとり異なる。
イメージが漠然としていると、悩んでしまう。
「丁寧に対応してくれる」「治療のマイナス面も説明する」など、何を望むのか具体的な基準をあらかじめ決めて受診するとよい。
 
事前に電話して応対がよかった医療機関を受診し、診察した医師が基準に合っていればすぐに決めればいい。
かかりつけ医という“人生の伴走者”を見つけるコツの一つだ。


私的コメント
あまり「試してみる」といった方法は、選ばれる医師の側としては違和感があります。
お店選びと違って、「感じがいい」といった選び方では選択を誤る可能性も潜んでいます。
なぜなら、選球眼がよいかどうかは患者さんのレベルによるはずです。
受付の対応の良し悪しも判断材料かも知れませんが、医師の力量が何より大切です。
医師と患者との出会いは、まさに「運」かも知れません。
実はここだけの話ですが、医師の側も「いい患者」との出会いを求めているのです。


かかりつけ医を探す際のポイント
⬜︎ 自宅や勤務先から近く、通いやすい
⬜︎ 高齢者の場合、歩いて通院できるかどうかも検討する
⬜︎ 掲げられている複数の診療科から、得意とする診療科を確認する
⬜︎ 専門性の高さよりも、幅広い病気の知識や経験を重視する
⬜︎ 健診や予防接種などで複数の医療機関を受診してみる
⬜︎ 医師が治療法だけでなく、食事や運動、睡眠など生活習慣についても尋ねるか確認する
⬜︎ 自分だけでなく、家族の病歴なども尋ねてくれるか確認する


40代以下5割いない
日本医師会総合政策研究機構が2014年に成人約1100人に面接査したところ、「かかりつけ医がいる」と答えたのは53.7%。
年代別では70歳以上では8割、50、60代で6割だったが、40代以下では半数以下だった。
だが40代以下も「いないが、いる方がよい」を加えると5割を超え、かかりつけ医が見つけにくい状況が浮かぶ。
 
背景には「探し方が分からない」だけでなく、疾患や臓器別の専門医の育成が中心だったため、幅広い病気の知識のほか、健康問題などにも対応できる医師が多くない事情もある。
 
高齢者が増加する中、受け入れに限界のある病院や介護施設だけでなく、在宅でも対応できる医師が求められる。
日本医師会は16年4月から「かかりつけ医機能研修制度」を導入。認知症を含め高齢者特有の疾患にも対応できる医師の育成を急いでいる。

参考・引用
日経新聞・夕刊 2017.4.27